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七百四十生目 太陽

 テテフフが提案したこと。

 それは戦ってナブシウに勝てということだった。

 なんという力技の解決法!?


『ナブシウは。言って聞く子じゃない。力を示すのが手っ取り早い。それ世界の道理』

「いやいやいや!? そんな強盗みたいな真似――」

『ほぅーほーう? 私に挑むと? 守り手としての誇りがある私をもし殺せるのならば、その力に免じて許そうではないか?』

『ほら』

「そんな堂々と言われても!?」


 もっとこう中間はないのか!?

 なんでこんなに力押しなんだ!?


「そもそも殺すって……穏やかじゃなさすぎます!」

『大丈夫。ナブシウは殺しても死なない』

『私は我が神の恩恵を受けており、肉体の生き死に程度で存在が揺らぐようなヤワさはない! まあ、そもそもこの私の体に傷を付けられればの話だがな!』

「えっえっ!?」

『うーん。わかりやすくいえば。不老不死。殺されても復活する。普通に』


「ええええっ!?」


 不老不死とか神様だ!?

 あっ違う本当に神なんだっけ!?

 常識外の存在か……って。


「だからといって殺し合いをするかどうかとは……!」

『大丈夫だ。万に1も私は負けん。侵入者よ、貴様は私が殲滅してやろう』

『また大層な口を聞いて。また後で泣いても知らない』

『っ! 叔母上、過去のことは持ち出さないでもらいたい!』


 えっ。この会話……

 もしかしてテテフフ。

 過去にこのナブシウと戦って勝ったのか!?


 だからこういう会話に……?


「えっと、テテフフさん。もしかして彼の弱点を知っていたり?」

『おい叔母上!』

『む。知っていると言えば知っているが。ナブシウは頑丈だから。私たちのように相手がどれだけ頑強でも必ず少しずつ痛みを与える能力があれば……』


 さ……参考にならない!

 というよりもそんなに硬いのだろうか。

 もしや……このダイヤモンドストームの中でも無傷でいられるほどに?


「ううん、確かにあんまり参考にならない……」

『当たり前だ! あんな卑怯なこと出来るのが叔母上以外いてたまるか!! この体は神の恩恵によりあらゆる物理を通さぬし魔法も我が結界と神から賜ったこの体質により一切通さぬ!』

『回復魔法もね。だからあの時大変だった』

『余計なことをペラペラとー!!』


 またテテフフがヒラヒラと避けてナブシウが鈍足に追いかけている。

 走れなさそうだからかとにかく遅い。

 歩むたびにドスドスと重い金属が歩む音がする……


「その……拘束具って……?」

『んん!? ああ、これか……これはわけあって自前で用意した。けして我が主の趣味ではないがゆえその旨を勘違いせぬように』

『自縛趣味』

『ではない!!』


 な……なんでか知らないけれど理由があるのならそっとしておこう。

 突くのは危険な気がする。


『あ、あと熱いのにも――』

『叔母上!!』

『おっと』


 今のはなかなか惜しかった。

 飛びかかったがすんでのところでテテフフが回避。

 外れたナブシウは派手に地面にころんだ。


「えっと……大丈夫ですか?」

『……ああ! 傷ひとつない!』

「そうですか……」


 えっと……彼はいろいろと大丈夫なのだろうか。

 レベルを見るに弱くないことは確かなのだが……


『さあ、戦いの場へ行くぞ!!』

「えっ!? いきなり一体どこへ……」

『我が神から賜った聖家で戦えるか! はあっ!!』


 ナブシウが吠えると床が輝く。

 転移陣!?

 あたりが光に包まれ……






『ここが良い』


 落ち着いたころにはあたりの景色が変わっていた。

 というよりも外に出ていた。

 周りは何もない砂漠空間。


 そして上空には光の降り注ぐところがだいたい真上あたりに。

 太陽でないとしたら本当にピラミッドなのかな。


「あの上のって……ピラミッドの光?」

『ああ! 我が神の眠る地からこの場を照らす光が降り注ぐ! その真下はまさに侵入者を屠るに相応しい! ……ピラミッドの中に不届き者が紛れているようだが、後でまとめて始末してやる』


 うっ。

 ジャグナーたちのことだ……

 なんとかして勝たないとマズイことになりそう。


 ダイヤモンドストームがまた辺りを包みだす。

 テテフフがさっと私の鎧に隠れた。

 いだだだ! 本当にこれはつらい!


 仲間の支援もとっくに消えているし今は私がプログラム化して自動的に維持している魔法効果強化のみ。

 強烈なダイヤモンドストームを防ぎ切ると言うにはあまりにも脆い。


『どうした、戦う前からずいぶんつらそうだが?』

「うぐぐ……それでも戦うからには……勝つ!」


 互いににらみ合いをきかせ……

 間にダイヤモンドが落ちて刺さる。

 それを合図に戦闘開始!


 相手と私が同時に駆ける……あれ!?

 相手駆けている……?

 うそっ……遅すぎるんだけれど。


 あの……全力に見えるけど歩いてらっしゃる?

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