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七百三十九生目 偉大

ローズオーラのアクリルキーホルダーができました。https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/473009/blogkey/2187801/


活動報告、ぜひチェックしてみてください!!

 テテフフを叔母上と呼ぶ番犬ナブシウ。

 ふたりはしばらく口論をかわした。

 というよりほぼナブシウが突っかかってテテフフが受け流す形だ。


 私……忘れられてないかな。

 そんなことを考えつつしばらく待って。

 やっと落ち着いた。


「あのー、そろそろよろしいですか?」

『はあ、はあ、叔母上は本当……! はあ、今はもう良い。とにかく改めて、侵入者、私はナブシウと言う。我が主から頂いた名と力で、主が眠る床の守り手である』


 テテフフはヒラヒラとナブシウを馬鹿にするように舞っている。

 ナブシウ側も本気で殺したいわけではないらしくうっとおしがって追い払っている。

 ただなんというか……あまりに足が遅くてまるでテテフフのスピードについていけていない。


 テテフフは速くない。

 番犬としても大丈夫なのだろうか。


「ローズオーラって言います。ここには勇者の剣の材料をさがしにきました」

『なるほど、盗掘をしにきたということか。神の資産を手に入れようとは浅ましい』

『管理者に。聞きに来ている時点で。盗掘ではないのでは?』


 まあだからこそ聞きにきたのだからね。

 ナブシウはイライラと尾を叩きつけている。


『まったく! 侵入者と叔母上、誰が何を言おうと、我が神の資産を渡すはずがなかろう!』

「ええと、その神の資産……というか、その神さまとは? どうやらキミのことではないみたいだし」

『あっ』

『おお!! よくぞ聞いてくれた!!』


 テテフフが今何か私の発言にミスがあったかのような言葉をもらす。

 そしてやたらテンションが上がったナブシウ。

 これ……もしかして。


『良いか、我が神は全知全能なりてこの世界を創り給うた存在、そして何より! 私に寵愛を賜った!! 我が神はその力を振るいこの世界の安寧と存在を約束してくださり、我々が安心して日々を暮らせるように多くのことに対して身を粉にして働いてくださったのだ。我々はその恩恵を神への愛で示す! 何も返さずともやり遂げてくれる神であるからこそ、我々はそのことを忘れずに常に思う必要があるのだ! 今神は眠りにつかれているがそれでも神のご加護の元に我々があるのは間違いがない! 偉大なるかのお方は夢の中から我々ひとりひとりをしっかりと見守り、今こうしている間も問題がないかどうかしっかりと見ていてくださる! 邪悪な存在を退け黄金郷を作った神の存在は太陽!! 太陽と神は同一である! 故に――』

「あー! わかりました! すごいことがわかりました!!」

『ナブシウはこれだから』


 ナブシウがドヤ顔でこころなしか毛皮がツヤツヤしている気がする。

 仕える神について語る健康法。

 まあともかくようするに…、


「ナブシウさんが仕え敬う相手で、今は眠っておられると、そういうことですね」

『侵入者ごときが、我が神を語るな!』

「ええっ」

『ナブシウはいつもこうだから』


 カッ! という勢いで怒られたが本当に扱いに困る……

 なんという盲目的な愛。


「え、ええと……その、神さまは眠られているとのことでしたが、いつごろ起きるので?」

『ほう、ちゃんと話は聞いていたか。そうだな、いつ起きるか……そんなことは重要ではない。というより、いつ起きるかなど、神の御心ぞ知る』

『ここの古代神。ずっと起きてはいない。ずっとね』

「えっ、それって生きて……」


 あ。まずい。

 余計な言葉だった。

 みるみるうちに殺意が膨れ上がり――


『生きている。ただ。眠る感覚が古代神レベルなだけ』

『……ふう、そう、叔母上の言う通り、矮小な死あるものたちの基準に我が神を当てはめてもらっては困る』

「あ、ええと、ごめんなさい」


 テテフフのおかげで殺意が消え去った……

 本当に一触即発。

 会話するだけでハラハラする。


 けれどやることはやらなきゃ。


「改めて……神さまの資産かどうかは私にはわからないのですが、勇者の剣の材料を探しているんです。固体と液体それに気体の特性を持ちつつ、頑丈で聖なる特殊な金属で、膨大なエネルギーを秘めた、砂漠の白金と呼びれているものなんです」

『ほほう、我が神の偉業は外の世界にも広がっていると見える。その特徴はピンポイントに我が神の一級品を指し示しているな』

「本当ですか!? それがぜひ欲しいんです!」

『ダメだ』


 すごくそっけない対応。

 だけれどもソレじゃあ困る……


「いえ、タダでとは言わないので、そこをなんとか!」

『くどい!! 私はこの地を……神の所有物を守る者。我が神の偉大なる所有物に、侵入者が触れてよいものではないわ!』

『ナブシウは。頑固』

『叔母上、そういう問題ではない!』


 どちらかというと私よりテテフフに食いかかっている……

 ただ……どうしたら譲ってくれるのか。


『ナブシウは頑固。だから納得させるにはひとつしかない。力で勝つ』


 ……えっ。

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