七百三十二生目 宝石
岩に擬態する魔物グラウロドとの戦闘!
たぬ吉は草ゴーレムの草木パワーでちぎっては投げの大活躍!
「うおりゃあ! 俺の大技! 見せつけてやる!!」
ジャグナーもたぬ吉の勢いに触発されるかのようにグラロウドに強烈に取っ組み合う!
だが当然足を止めれば周囲から砂塊弾で狙われるが……
「どっせい!!」
ジャグナーが前方に向かって足を踏み鳴らすと光が地面に沿って走る!
すると組み合っていたグラウロドは地面下へと足が引き込まれ固定された!
「な、何ぃ!?」
グラウロドの声が理解できるようになった。
そのままジャグナーは大きく動き先程までいた場所に他のグラロウドから砂塊弾が打ち込まれる。
被害はグラロウドへのみだ。
「ウッ、見えな――」
「どっせい!」
ジャグナーが頭部に光を集め形なす。
光はより巨大なクマの厳つい頭を作り……
勢いよくそれで頭突き!!
「「ッ!!」」
両者痛そう……
だが当然仕掛けた側の方が有利!
あまりの衝撃にグラロウドは大きくぐらつく。
そこでジャグナーが気合でグラロウドをかつぐ!
肩に背負って……
頭から叩き落とした!
重量級に投げ技はとてつもないダメージだ。
ひとりさっそく倒しきって次の相手へと駆けていく。
オウカは3体のグラロウドに囲まれていた。
次々発射される砂の弾を足さばきだけで避けていた。
偏差射撃が甘いおかげで見ずとも体重移動で誘導して避けているらしい。
とはいえそれが出来るのは卓越した技術ゆえ。
達人の捌き方だ。
当然当たらなければ行動力が摩耗し体力も使うからやめたがる。
ではどうするかというと……接近戦だ。
3体のうち1体が突撃をかます!
「それを待っていた!」
オウカの光の剣がきらめく。
一瞬でオウカが突撃してきたグラロウドとすれ違ったかと思うと強烈な光と共にグラロウドが打ち上がる。
そしてなすすべなく背中から地面に叩き落とされた。
今のはああいう武技なのかな。
すれ違う瞬間にグラロウドの勢いを利用し光の剣で投げ飛ばしたのだ。
跳ね上げというのが近いだろうが……どちらにせよ絶妙な力加減。
2体に減った相手に今度はオウカから攻める!
相手はタジタジだ。
私の方は……
砂塊弾を"無敵"で弱めつつ体で受ける。
"影の瞼"のおかげで目に入ったりはしない。
砂煙を突っ切って頭のトゲを変形。
スコップのようにグラロウドの足元へと突き刺し――
かち上げ!
「うわあああっ!?」
「さあ、そろそろ話を聞いて! 私達は通りたいだけ!」
「なぜ言葉を話す!? より怪しいやつめ、ここは通さん!! お前たちを食――ぐわあっ!?」
体だけじゃなく頭も硬い!
ほいザックザック!
次掘って次!
てこの原理でポンポン吹き飛んでくる。
"無敵"もかけつづけているしひっくり返れば身動きはとれない。
後は流れるようにこなすだけだ。
「はああ、すまんかったね。もうやめてくれ……良い鉱物だと思って……それにテリトリーに入ってきたから、こちらに地の利があったしねぇ」
「いえ、こちらもムリを言って通してもらってごめんなさい」
いつもどおり"無敵""ヒーリング"重ねがけで話を聞く体制を整えた。
魔物は負けないと結構話を聞かないんだよね。
そもそも食べようとしてくる。
いつもどおり勧誘をしたら数名興味を持ってくれたのでとりあえずキープ。
今彼らを転送すると番犬に何かを言われそうだからね……
テテフフも『何かを持ち出すのはやめたほうがいい』と言っていた。
ひとまず和解して別れを告げる。
水晶の荒野をしばらく駆けて何度か突発的な遭遇戦をこなした後……
また暴風の質が変わった。
「うわっ! 嵐が強くなってきた! 鉄嵐以来だ!」
「痛っ! 硬っ!? なんだ!?」
「やたらきれいですねえ?」
嵐の風がキラキラときらめきだしている。
明らかに嵐の威力が増したことに文句をたれつつしばらく進むと。
「眩しいっ! ついに黄金の砂漠か!?」
「い、いや、これは……?」
足元の大地がふたたび砂地へと変わる。
ただそれを砂と呼ぶにはあまりにも美しすぎて。
見渡す限り続く光景は……宝石箱。
美しい光景を指すにはあまりに月並みな表現だがそうとしか言いようがなかった。
地面の砂を良く見てみるともう現実でしかない。
……本物の宝石だ。
「これ、全部、宝石……!?」
「ええっ!? 大きいのも小さいのも全部!? ほ、本当だ!」
「しかも魔力が籠もっているのが多くないか? さっきの水晶たちもそうだが……だとしたら莫大なエネルギーがここに眠っているのと同じだな」
「こんな迷宮もあるんですねえ〜!」
こんなの……うっかり市場に乗ったら……うわあ。




