七百二十四生目 試練
勇者1行と私達は砂漠の迷宮へとやってきた。
「んっんー、ココに来るのも久々!」
「いや、そうでもないですよね?」
「どこにあんだろな? 砂漠の白金ってやつぁ!」
光の鎧を纏うオウカ。
弓使いで人狼風のゴウ。
牛人風で拳使いのダン。
「まあ、ともかくテテフフさんたちに話を聞いてみよう」
「そうだね、それがてっとりばやいと思う」
勇者のグレンくん。
そして私の5名だ。
前もこの5名で来たね。
そして……
移動し崖下にいるテテフフたちに呼びかけて……
寄り集まって進化してもらった。
『先日に引き続き。また来たのか』
「ええ。今度は聞きたいことがありまして……砂漠の白金と呼ばれるもの、何かわかりませんか?」
『……特徴は?』
砂漠の白金の特徴らしきものは……
カジートに教えてもらった要求品がそのまま意味をなすだろう。
「固体で液体で気体のようで……なおかつ膨大な魔力と聖なる力を秘めていて、とてつもなく強度のある金属です」
『ふむ。金属に関しては。詳しくはない。ただ。私達は心当たりがある。前に言った。しばらく会っていないヤツ。覚えているか?』
「隠した秘境の先にいる、番犬?」
テテフフはしずかに肯定する。
その相手からすぐに話を聞けるといいのだけれど。
『そう。けれど。その道程は険しい。故に。試練を受けてもらう。耐える力を試す。用意が出来たら。話しかけること』
「え!? わ、わかりました」
「試練……! 勇者っぽい響き!」
グレンくんがワクワクしているが……試練かあ。
耐久力と言っているあたり何が起こるかわからない。
全員に補助魔法の耐久性上昇系をかけまくる!
さらに!
私は"進化"! グラハリー!
全身に針が変質した鎧を纏った姿だ。
みんな各々のスキルと魔法を使用しガッチガチに身を固め……
「ウォーリーライト! よしこれで全員分の防御はだいぶ増したぞ」
「それじゃあ今のうちにお願いします」
『わかった。試練ゆえ。加減しよう。無理なら言うように』
テテフフの姿が変わる。
正確には元の姿へと戻っていく。
大量のテテフフの姿へと……
……つまり?
「まさか」
「おいおい、マジか?」
「ええーっ!!」
テテフフの群れが作り出す自然のミキサー。
……蝶嵐!!
テテフフたちが渦を巻くように飛び回り竜巻を光と共に生み出した!
凄まじい風圧!
「全員、耐えろ!!」
オウカの号令と共に蝶嵐がこちらに突っ込んできた!
凄まじい風圧の直後に……
「「うわああああーー!!」」
身を削られる!?
鎧を纏っているのにこすれるたびに毛皮すらこえて皮膚へ徐々に痛みが!?
なんというか……確かに攻撃のほとんど……羽根裏のヤスリによる痛みは防いでいるのに。
まさに生命力が直接削られる思いだ!
こ……これだとみんなは!
「ぐ……うぐっ! もうこれ以上……」
ゴウが膝をつくとパッとその場から蝶嵐が引く。
良かった。耐えれはしなかったが死にはしなかった……
あだだだ!! 常に全身にじわじわペチペチと与えてくるような痛みが!
「あぐっ、まず……」
グレンくんも脚を折り――
「ここ……からだ!!」
全身が輝いたあと復活した!?
ピンチになると復活するスキルかな?
なんて便利!
「うごお!? これ以上はムリだ!!」
「こ、この全身鎧があるのに……身体が削れる!」
1分もたたないあいだにダンとオウカも膝をついた。
ただ頑丈なもので身をまとっているだけでは耐えきれなさそうだ。
私は幸い体力もこの『グラハリー』だと多いから単なる防御能力以上に頑強だが……
ドラゴンすらも削ってしまった蝶嵐はニンゲンが耐えられるものなのか……!?
『以上。終わり』
「「はあ、はぁ……」」
最終的に私とグレンくんが傷だらけで立っていた。
テテフフはまた集合してひとつの大きな姿になっている。
つ……疲れた……!
本当になんの致命傷を与えず代わりにヤスリで削ぐようにジョリジョリジョリジョリ痛みを与えてきて心が折れかけた……
さすがに何の準備もせずに蝶嵐に突っ込むこととなったドラゴンのように即血煙になることはみんな無かったようだ。
それでもみんな……私含めてボロボロにさせられたが。
『ふたりにも耐えられるとは。一応合格。でもちびっ子は多分ダメ』
「え!? なんでです!?」
『見てみればわかる。癒やしてから。こっち』
とりあえず全員の傷を治療する。
それからテテフフに誘われるがまま移動。
崖下の横穴に入りいり組んだ道のりをグネグネと進む。
十数分進めば行き止まり……とはいいづらいものが見つかった。
「巨大な……封印!?」