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七百十四生目 大鼠

 竜人種(ジンド)鍛冶師がどこかへ行ってしまった。

 足取りを追う。


 幸いなことに彼は追跡を警戒していないらしい。

 痕跡はいともかんたんに追えた。

 ただ距離がながい。


 家から離れ霧の境目を何度も越えたからエリアの境目は何度も越えているだろう。

 うっかりするとこの霧で魔法的に惑わされ追跡ができなくなる。


  光魔法"ディテクション"とあらゆるスキルそれに自身の感覚そのもので脳内マッピングの管理は緩めない。

 この先は魔物冒険者たちには調べてもらっていないのだから。

 迷子になったら恥ずかしい……だけで済めば良いけれど。


 駆けること10分。おじいさん無事だといいのだけれど……

 お! 痕跡がやっとどこかにたどり着いたようだ。

 森の風景ではなく建築物が見える。


 円柱に人間大2等身程度ふかく掘り扉が据え付けられている。

 周囲には木が人工的に植えられて幹に染み込ませるように強く化粧が刻み込んであった。

 記憶と知識を精査……


(ふーむ、前世のことも考えると、古墳に近いか?)

(でもいまでもつかわれてそー。おはかかな?)


 あと多分神殿のような作りもみられるから神様も祀ってあるかも。

 まあそれも含めてお墓っぽいけど。

 古びた様子からして何が棲み着いているかわからないので慎重にかつとっとと入ろう。





 お墓の中は当然のように真っ暗だった。

 だが松明を使った残り香がある。

 最近鍛冶師が通ったのは間違いない。


 夜目が当然のように働き視界は昼のようにクリア。

 ようにであって実際見える世界は明かりがあるところとはだいぶ色合いが異なる。

 光神術"インファレッド"で赤外線視界も確保。

 本当はこの術は赤外線をあやつるものなんだけれど今の所そこまで使いみちがないからね。


 比較的丁寧作られている内部。

 彩色が刻み込まれ劣化を防いでいる。

 おそらくこの魔法化粧自体が風化の防止に効果があるのだろう。


 全面に決まった文様が描かれて洞窟のようにどこまでも続いている。

 逆に言えばだいたい1本道。

 迷わず進めるだろう。


 数分駆けて。


 グネグネまがりながらも歩いていたら死んでいる魔物がいた。

 何かにザクザク雑に斬られた大きなネズミ型の魔物。

 ちなみにサイズは私くらい。


 明らかに鍛冶師に襲いかかって撃退されたな……

 ……鍛冶師の剣の腕を思い出す。

 すっぽ抜けるあのシーン。


 ……あんまり長居させるのはまずそうだ。

 この子は蘇生させるには少し時間が経ちすぎている。

 と言いつつも一応蘇生させる魔法は手に入れた。

 聖魔法最後の習得魔法だ。


[リザレクト 死亡した対象を蘇らせる。準備と使用者の静止それに対象の損壊具合により成功するかどうかの変化がある。また蘇生を受け過ぎると悪化する]


 ただこれおそらく1時間はかかる。

 その間足止めは少し……かなり困る。

 代わりにまずこちらの聖魔法を。


[アンチロット 対象の腐敗状態を治療ししばらくの間腐敗を防止する]


 食品を保存する時なんかはこれよりもずっと効率が良い氷魔法なんかもあるらしい。

 しかし死体に対して使うなら断然こちら。

 これの効果は腐敗と書かれているが腐敗を指すが実はアンデッド化も含まれる。


 アンデッド化は死体ならなんでもより固まって成る可能性は否定できない。

 ただそれが起こるようなところは普通そんなにない。

 しかし……死の気配が濃い場所は別だ。


 それは戦場しかり……墓場しかり。

 周囲の壁に埋められているものがあるとにおいでわかる。

 おそらくはジンドたちの土葬遺体。


 文様と共に刻まれる色彩化粧はアンデッド化阻止のための何かかな。

 その範囲外にいるネズミがアンデッド化しない保証はない。

 それに……彼も助けたいから腐敗は避ける。


 死体の損壊には腐敗も含まれているらしく重要な点となる。

 使ったことがないので本の知識だが"リザレクト"は復活の権限は対象にあるんだとか。

 対象の意思が否定したら蘇生はできない。


 そして老衰は"リザレクト"では癒せない。

 正確には復活した同時に老衰で死ぬので意味がない。

 あくまでダメージによる死しか回避はできないわけだ。


 よいしょ! 魔法が放たれ大ネズミの遺体は空気が凍てついたかのようなまばゆく輝く(エフェクト)の風に包まれる。

 これでしばらくの間は彼の遺体は腐らない。

 今のうちに――


 周囲に敵意。

 遠くから集ってくる何か。

 いや……大ネズミの集団だ!


「チチュッ!」「チチチ」


 あっというまに囲まれた。

 どうやら仲間を殺されたと思ったらしい。

 "観察"! して言語を覚えつつ

 "無敵"を併用しつつ跳ぶ!


「な!?」「どこへ!?」


 もう言葉がわかるようになった。

 場は狭く相手の方が地の利で上。

 それならば正面から落とすのみ!


 "峰打ち"も機能させつつ1体目殴る!

 そのまま飛ばして背後のも! 2! 3!


「「うわあああ!?」」


 4匹目と5匹目は尻尾でなぎ払い……

 5、6、7匹目は土魔法"ロックボーン"でまとめて薙ぎ払った!


「「ぎゃあああ!?」」 

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