七百七生目 宣告
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キリンの頭を観察したらデュラフィアと出た。
どうやらデュランマのトランス体であり仲間の様子。
彼女が例のはぐれた仲間か。
「この……話が通じるモノ、便利ね! これで誰かが死にそうな時に、警戒するように言えるもの」
「お、おお……まさか本物のデュラフィアとは……神よ……!」
「え……? どうしたんです?」
いきなり神父やシスターさんが悲しい顔をして祈りだした。
デュラフィアは信仰対象ではなかった様な……
デュラフィアたちも困り顔。
「ああ、ローズさんはご存じないのですね。デュラフィアは……死の死者なのです」
「デュラフィアが訪れるところには必ず災厄がふりかかり、多くの場合死者が出ます。散った命を吸収して我が物にする……との言い伝えもあるのです」
「うん……?」
「んん……今まで会ったやつらの中で、こっちを知っていそうなのは、なんだか恐れて追い返そうとしてきたけれど……アタシ達やっぱりそう思われていたんだ」
神父たちは真摯に祈りデュラフィアはそのキリンの顔をひどく落ち込ませた。
これは……
「この地方には、ほとんどいないはずの魔物のはずなのに……海を渡ってまで運んでくるとは、なんと恐ろしい」
「ふむ、つまりキサマらは死の宣告をしにきたのか?」
「アタシたち……帰るよ。みんなの迷惑みたいだし……なんだかさっきの大きな死の気配も薄れてきているから……」
「ま、待って! みんな、それは誤解があるよ! 実は――」
先程得たデュランマとデュラフィアの情報を語る。
なんとなく嫌な予感はしたけれどここまで嫌われていたとは。
普通翻訳機だなんてないからとんでもないすれ違いが行われていたのか。
「――と、言うわけなんだ」
「すごい、アタシたちのことを、そこまで詳しく……!」
「つまり、勘違いってわけだね! 良かったよかった!」
「デュラフィアが……危機を知らせるための存在と? にわかには信じがたい……」
蒼竜が明るくまとめたのとは打って変わって宣教師組は浮かない顔だ。
アヅキは……
「まあ、つまりは死の宣告をしにきたんだな」
「まあ、そうなっちゃう、けれど……もうそのことは大丈夫になったみたいだから、またアタシたちは旅に出るよ」
「お姉ちゃん……」
あ。デュランマとデュラフィアは姉弟なのか。
アヅキはなんというかどちらでもよさそう。
傍観にまわるつもりだろう。
「いや、デュラフィアさんちょっと待ってください。実は弟さんは継続治療が必要な呪いにかかってしまって、施設のある場所でしか治せないんです!」
「え!? ……うん、たしかに、死の気配ではないけれど、この未来は……危険だな」
デュラフィアが瞳を輝かせると何かを視たらしく納得する。
もしかして……
「未来視ができるんですか?」
「ああ。弟はまだできないが、アタシなら出来る」
「なるほど……未来を……」
宣教師のふたりは顔を見合わせてうなずく。
「……私達は、はっきり言えばデュラフィアさまのことを信用は出来ません。言い伝えがありますから。ただ、ローズさまの言ったこととあなた自身の未来を視るという力があるそぶり、そういったことから、もっと私達はデュラフィアさまたちのことを知ってから、ちゃんと判断したいのです」
「それじゃあ!」
「ええ、治療もしますし、デュラフィアさんを無知ゆえにただ怖がるのは止めにします。不快な態度、申し訳ありませんでした」
宣教師のふたりが実質折れてくれた!
これで彼らを滞在させられる。
「え、えと……? もしかして、アタシたち、ここにいていいの?」
「キミたちのことを見て怖がるひとも魔物も多くいるだろうけれど、少しずつでも周知していけたらなって思うよ。実際、今回の危機は彼の勇敢な助けによってなされたんだから、私はキミたちを信じるよ」
「がんばった!」
デュランマの笑顔にデュラフィアも何か思うところがあるようだ。
「だから、キミたちさえよければ、ココで治療をして、滞在してもらいたいんだ。それに……今日というお祭りも楽しんでもらいたい」
「……わかった!! アタシたちも、本音ではどこかで骨を休めたかったんだ。いつまでいるかはわからないけれど、少なくとも、弟が治るまではいる。その……ありがとう」
デュラフィアも笑顔をみせてくれた。
どうやらこの件はなんとかなったようだ。
取り敢えず今日の呪い治療をしたあとあれこれ話し合い私とデュラフィアは外へと向かった。
そう。教会の外。
そこには。
「うわっ!? キリンの身体……!?
あっ、デュラフィアさんの!?」
「そうだよー、ここ小さくて、邪魔になりそうだったから頭だけ飛ばしたんだよ」
当たり前のようにスタンバイしてあったデュラフィアの身体。
そりゃあキリンだから大きいに決まっているが正直ビックリした……
どうやらまずは私から慣れる必要があるようだ。