表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
713/2401

七百四生目 転生

 アラザドの頭上に重いイバラたちの一撃が入り先程までの顔は崩れ去る。

 代わりにひしゃげてもまだ生きていて泣き言とそれでも曲げない方針をわめいていた。


『我は、我の心の赴くまま、この世を狂乱と血の宴にしたいだけだ、それの何が悪い! 客人よ! なぜココまで邪魔をする!!』

「そんなことされたら、世の中がめちゃくちゃになっちゃう! ただ大人しくしてくれればいいんだよ!」


 私は基本的に攻撃に"無敵"を込めている。

 相手の疲弊や心の折れを狙えるし何より停戦できるかもしれない。

 だからアラザドも今言葉数が多くなっているのだろう。


『黙れぇい! 我のしたいことが出来ぬ世の何の意味がある! そんな世は……滅んで当然だ!!』

「だったら……こっちも抵抗させてもらうってだけだよ!!」


 交渉はやはり決裂!

 相手が無茶苦茶に腕を振るって黒い塊を生んでは破裂させたりまた地面に手を置いている。

 地面から多数の怨嗟をかたどる(エフェクト)が噴き出して私を呪おうとして……


 また"精神暗転"が邪魔をし力として吸収した。


『なぜだ!! なぜ我の全力でも、通じぬ!!』

「迷惑をかけあうのなら解決策を探れる! けれど……そんなふうに迷惑を押し付けて搾取するのなら!」


 思いっきりタメて力をあげた聖魔法"レストンス"!

 彼の力の源がアンデッドなどの邪気とされる暗黒の力のようだから……

 おそらくこれは効く!


「こっちはお断り!! だ!!」


 本来は柔らかい光が相手に伸びる魔法。

 しかし私から放たれたのはタメにためた力。

 それはまるで太陽の光のように輝き放たれる!


『なっ――』


 それは途端にアラザドの肉体を包み……

 彼の邪気を……肉体を焼き払う!

 それは燃えるのではなく。


『――我が……灰に……!?』


 端の方から徐々にその肉体は終わっていく。

 すでに生命力も少なかったアラザドはこれでキメられたらしい。

 "峰打ち"の無い全力の一撃。


 ただ彼の言うことが本当なら……


『赦さん……貴様だけは……! 幾千年の時を越えて……その時に再び立っているのは我だけだ……! 決して逃さん……!』

「あっ!?」


 崩れ行くアラザドの肉体。

 崩れた端から灰になっているが……

 彼はいつかは蘇ってしまう。


 しかし今は私が困る。

 空間の穴が消えてしまっている!


『我を喚ぶ声が……狂乱と暗黒の宴が……また我を……呼び醒ます……』

「なるべくなら……キミはもっと、そんな苦しまなくてすむ存在に、産まれてこれたら良かったのに」


 一応……そういう魔法はある。

 聖魔法だ。


[リボーン 対象が死亡している場合、その魂を誰かの子どもとして生まれ変わらせる。生物指定はある程度可能で記憶は物心ついたころに取り戻す]


 なんと転生である。

 この星限定だが。

 魂がどうなるかは宗教によってまばらで真実は不明。


 しかしこの魔法はそのよくわからない行き先を拒否する。

 拒否して勝手に道筋をつくるのがこの魔法なのだが……使ったことがない。

 そしてこの相手が死んだ状況として判定されるかがわからない。


 確かに対象の生命力は削りきった。

 そして肉体が灰になっていく。

 だけれども……


『宴のたびに……我を思い出せ……宴のたびに……そして……幾千年と言わず、貴様の仲間が生きている間に蘇り……配下に加えてやろう……!』


 まだ喋っている。

 一応魔法は唱えだしたけれども。

 もしかしてこの肉体が消えるまでの時間だけがこの魔法を当てるチャンスか?


 転生先……

 そう考えた時に脳内ですばやく思考がつながっていく感覚。

 これは! もともとはアインスしか無理だった私の本来の力!


(お! そういえばこのこがいたね!)

(なるほどなあ、頼むには良い相手だ)


 全員で精査すればすぐに終わった。

 こんな相手を押し付けられる相手……

 記憶を残していてもなんとかなる相手!


「アラザド、キミを転生させる。行き先は……テテフフだ」

『何!? 転生だと!? 貴様何を……!?』


 この転生は全ての能力を失わせる。

 記憶もしばらく封印。

 意思や能力は転生後の肉体に依存するようになる。


 つまりウロスさんのような自己転生や私の異世界転生とはだいぶ代物が違う。


『やめろ……近づくな! なんなんだ、そのテテフフというのは!? 我は……我であるぞ!?』

「大丈夫、きっとうまくやれるよ」


 "リボーン"! あのテテフフたちの元へ!

 発動すると(エフェクト)が虹色に輝きつつ塊となってアラザドへ飛ぶ。

 そうしてアラザドの中へと入り――


『ぐ、ぐあああああーーーッ!!!』


 ――瞬時に天へと光が飛び去って消えた。

 それっきり念話が聴こえてくることはない。

 なんとか……なったか?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ