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七百一生目 異貌

 ネオハリーになって戦闘準備!


 すぐに"ファストトラベル"をしなおして私の家に戻る。

 倉庫まで駆けて行き扉を開く。


「おまたせ!」

「うわっ!? 誰!?」

「さっきの私だよ! 戦いの姿になっただけで!」

「え!? ええー!?」


 ゆっくりと状況説明したいがその余裕はおそらくない。

 多重に自身に対して補助魔法を唱えつつ(くう)魔法"ストレージ"で亜空間から剣ゼロエネミーを取り出しいつもの手順で空に浮かべる。


「私は突入するから、この亜空間の穴がどうなるか見てて!」

「わ、わかった、その中を確認したらすぐ下がるよ。けれどたったひとりでアイツに挑むつもり!?」

「多分だけれど、相手は複数いればいるほどこっちが不利になる技を持っている……多分私だけなら、対策ができる!」


 あの呪い効果の技だ。

 "呪怨連鎖"という攻撃が"観察"によって読み取れた。

 エリア対象という広さがどこまでかわからないものの少なくとも狭くはない。


 おそらく使用者の指定や力量で大きく出来るタイプ。

 アノニマルースに解き放ったらアノニマルースに呪いが振りまかれる。

 私なら"魂の守り"や"精神暗転"で対処できるかもしれない。


「え!? そ、そうなの!? まあ、たしかになんだかとんでもないのは、わかるけれど……」

「よし! 行こう!」

「あっ、待って!」


 亜空間の穴に突入!

 空気が吸い込まれていないから向こうもほぼ同等の気候のはず。

 その予想は当たっていて穴を抜けた先でも普通に呼吸が出来る。


「ど、どうですか!?」

「おお、首だけ……うん、まあ、見てのとおりかな」


 首だけデュランマが亜空間の穴を通ってやってきた。

 世界は意外なほどに明るかった。

 ただしそれはあまりに赤い世界。


 その赤々とした光源のわからない世界で照らされる巨体。

 顔はニンゲンのようでいてあまりに人外じみた形をしていた。

 肌は青白さを通り越して死者かそれ以上に不気味に青く白い。


 骨に皮だけ張ったかのように肉質で瞳は魔法陣じみた紋様が瞳孔のかわりに浮かぶ。

 白目のかわりに黒いその瞳は邪悪さを物語っていた。

 血はないのに瞳は血走っているかのように力が込められている。


 まるで古代の上位層のニンゲンが着るような神秘的な重ね着……

 それが見るも無残に朽ちている。

 全身をゆったりと覆い破れているせいで見える手や足はあの穴から出てきた質のものと同じ。


 あの赤黒い宝石のような四肢を見た後に見る顔はまさにその宝石部分にニンゲンの皮を剥いで貼り付けたかのようでおぞましい。

 それがギリギリ人型を保ってわずかに

宙へ浮き圧倒的巨躯で私を見下ろしていた。


『歓迎しよう。遙かなる時を超えた先の、はじめての客人』

「念話……!?」


 言葉の意味が脳内に響いてくる。

 言語を介さなくても話せるようにか。


「ぎゃあ!? 今のは!? コイツは!?」

「多分アラザド! 下がって!」

『ほう、その意味、我の名か。先程、火遊びをしたのは貴様だな? 礼をしてやろう』


 赤い空間の周囲はまるでこの地のみが孤立して浮いているかのよう。

 不可思議な魔法陣がこの場を取り囲んでいるのはこの元神を封じ込めているのか。


「あっあっ! まずいまずいまずい!」

「空間の穴へ!」


 デュランマの頭を急がせて下がらせる。

 ただそれよりもアラザドの腕が早く地面を叩きつけた!


『呪怨連鎖……』


 "怨嗟喰い"による恨みつらみによる攻撃への悪寒。

 それを感じるまでもなく攻撃が具現化する。

 地面から暗くおぞましい黒の(エフェクト)が放たれた。


 呪怨の塊として(エフェクト)が形作り大量に地面から立ち上る!


「「うわあああっ!?」」


 身体に痛みが走り……

 何事も無かったかのように平然となる。

 これは私の"精神暗転"が働いたのだろう。


 ということは!


「あ、アアッ、タスケッ!?」


 デュランマの頭は呪いを受けた。

 ギリギリ頭は空間穴を通れずにその近くで落ちる。

 見た目が瞬時に悪化していく。


 毛皮が腐り落ち目がそこから無理やり這い出てくる。

 耳がさらに荒く強く生えだし凶暴な牙が草食動物なのに生え……

 泡を吹き出したところで……止まる。


「大丈夫!?」

「ア……え……?」


 ギョロギョロと多数の目が覗いていた……のが徐々に元に戻りだす。

 私の"無敵"で彼の精神異常……呪いに干渉する。

 これが特に狂気的な敵愾心を持つ精神状態異常を含む攻撃なのだから……"無敵"にとても効果的だ。


『何……? 客人よ……其の力、何の代物だ? なぜ貴様らに我の力、通用せぬ?』

「それは……キミがみんなと仲良くする気がないからさ!」


 神の力を纏うマントをはためかせる。

 治ったデュランマ頭は穴の向こうへ送り。

 私はキッと視線をアラザドへ向けた。

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