表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/2401

六十六生目 思考

 ふぅ〜、この1冊読了!

 深獄探索記。

 言ってしまえばノンフィクションでの俺つえー系。

 これが特別なのかどうかはわからないが、この世界のニンゲンは恐ろしく個でも強い!!

 最後山のような大きさのドラゴンと殴り合い溶岩に投げられたのに生きてる! しかも勝った!

 なんなん? 私達の戦闘が陳腐レベルで強いんだけど?


 それだけじゃない。

 プチとかミニとかついたやつらばかり見てきたから勘違いしそうだった。

 トランスを多数こなしていけば人の身でありながらニンゲンというジャンルにすら入らなくなっていく。

 そこまでいくとさすがに普段は肉体をニンゲンに近くする魔法を使うようだけど……


 二足の狼! 昆虫人! 竜人間! 霊魔体! 全身凶器悪魔!

 コワイ!

 ここにでてくる登場人物のほうが魔物かよってなったわ!

 ガンガン巨大化したりドカンドカン爆裂したりと書いている。

 それが普通とされてるから恐ろしいな!


 ただ少なくともこの森に訪れる人たちはそこまでニンゲンやめてない感じだ。

 おそらくこの森の基準の強さはそんなに高くないのだろう。

 ヤバイのもいるけれど大人しいし。

 それとここから知識をいくつか仕入れられた。


 冒険者たちはランク分けされていて、基準まではよくわからなかったがA-から始まる。

 その後はA、A+、B-……と続く。

 あらゆる冒険者が目指すのはS+だ。

 この日記小説の登場人物たちはO+でこの探索成功でP-にランクアップしている。

 ちなみに厳密にはローマ字ではないがほぼローマ字だったので脳内変換だ。


 それと人の町の様子もなんとなく。

 迷宮がメインだがちょこっとだけ出ている。

 いわゆるニンゲン風も多く歩いているが獣人みたいなのや鳥みたいなのも普通にいるらしい。

 特に変わった事ではないように書いてあったので、多分普通なのだろう。


 そしてメインである迷宮。

 入り口から入ると別世界が広がる異常な空間。

 切り取られたように区切られたその小さな世界は独自の生態系を築く魔物の巣窟。

 迷宮に住まう者は理性を無くし徘徊して侵入者を襲うという……

 うわぁ、関わりたく無い。


 ただその分、資源と宝物の宝庫になっている。

 そこへ切り開いて立ち向かう冒険者たちは重要な役割を持つそうだ。

 もちろん魔物自体もその資源の1つにもなる。

 根絶やしにしないように、増えすぎて生態系崩壊しないように調整しつつ狩っているようだ。


 この深獄と名付けられた迷宮世界では未探索すぎる箇所のためあらかじめ狩猟許可がおりた状態で探索している。

 もちろん殲滅は許されていないが常識範囲内で自己判断で斃して良いというものだ。

 溶岩を泳ぐ巨大ワーム、四つの骨のような翼を持つ恐竜、老人のような氷の魔法を放つ悪魔……

 そんなのがここらへんにいなくて良かったと思えるやつらばかり。

 それらがうちのめされたり時にはトドメを刺しつつ数週間かけて探索した内容で凄かったなぁ。


 それと人たちはある程度の範囲なら蘇生可能な組織もある。

 定期的に見回ったり依頼されて向かったり、冒険者組合が管理してて異常に気づいて向かってもらったりするようだ。

 蘇生魔法……やはりあるのか。

 高度なことではあるが、冒険者の認定証に仕組まれたもので死んでしまってもだいたいどこなのかも位置発信してくれるとか。

 もちろん、それすら残らず塵芥になったり、まだまだ未探索でとてもそこに死体回収いけなかったりしたら……お陀仏。

 冒険者自体もこの日記小説に出てくるほどの強さならば使える人はいるそうだ。

 死が前提だとしてもやる冒険かあ、なんとも遠い世界の話のようだ。


 私の世界比較したさいの弱さを再認識した所で天然洞穴の方へ行こう。

 おそらく今日あたり家が出来上がるはず。

 ニンゲン的にはお昼ご飯の時間だし今のうちにお邪魔しよう。


 そしてログなんだけれど……

[相手軍団に勝利 +経験]

[レヴァナントを従える +経験]

 とか出ていた。

 骸骨軍団はそういう表記になるのか。

 あとレヴァナントはどちらかといえばハックにだったような気もするんだが……まあもらえるものは貰っておこう。

 そしてレベルが1つ増えた。

 新しいスキルは……と。

[思考伝達 考えていることを相手へ伝え、また相手の考えていることが伝わる。全ての思考ではなくある程度自由が効く]


 これは身体リンクの隣で、組み合わせれば便利そうだと取ったんだけれど……

 まあ見事に飛距離短い!

 現状互いが見える範囲が圏内かな。

 レベルを上げることで範囲広げようと思う。


 よし、アヅキたちの元へ行こう。




 うん……?

 珍しく縄張り内なのにニンゲンがいる。

 プチオーガやレッサーエルフたちではない。

 観察……ああ、5人いるがみんな初心者っぽいなぁ。


 ちょっとだけ寄り道。


 進化をして"私"を呼び出す。

 といってもぶっころは禁止だ。

 全ての攻撃にスキル峰打ちを乗せる。

 私がどれぐらい強くなっているのか、それと冒険者たちとももっと仲良くなっていきたいし一度戦ってから親睦深めよう。


「なあ、地図で今本当にここらへんか?」

「やっぱり違うような……」

「結構奥に来てない?」

「うーん」

「みんな、何か来る!」


 うん、森の中でそんな賑やかに行進してたらダメだよね。

 取り敢えず正面から歩いて登場。

 一様に驚いて武器を取り出しているあたり、本当に初心者って感じだ。

 自分も昔はこのぐらいおぼつかなかったなぁ。


「ホエハリか!」

「嘘っ、もうその範囲まできちゃってる!?」

「仲間を呼ばれる前に倒そう!」


 2つのミス。

 まずこの状態はミリハリ。

 進化しているからホエハリより危険度は上がると思う。

 そして威嚇せず雰囲気を抑えているとは言え実力がわからず交戦判断。


 うん、やるかー。

 軽く跳んで一撃。


「うわっ!?」


 隣に爪。

 もうひとりに蹴り上げ。


「うわぁぁ!!」


 大振りの子に炎弾魔法(フレイムボール)


「つ、つよっ……」


 最後の相手にガブリ。

 終わり! 終わり!

 そうかあ、"私"も少しは動けるようになったんだなぁ。

 あの本の人たちなら指先1つで倒せそうとかは考えない。


 全員あっさり気絶まで追い込めた。

 普段の稽古では割りかし苦戦するからココまで強くなってるイメージが無かった。

 さて、首元に差し込んだ牙を……あ、いいね!

 あー、ニンゲンの血もなかなか……

 それにお肉もよくよく上質で……

 いや、食べませんよ、治しますよ!

 ただ、もうちょい得るものがほしいと言うか、ね?

 じゅるる……




 私にチェンジ。

 ペッ、口の中サビくさい!

 取り敢えず治す&無敵をしたけれどまだ起きていない。

 寄り道に時間をかける気はないから起こすかな。

 そうれ尻尾で顔はたき。


「……うわっ」

「ひゃあ!?」


 さくっと起きた所でさらに錯乱しているな。

 まあ、なんで寝ていたのかとかなんでさっきのホエハリがとか色々あるだろう。

 無敵の力で剣に手を伸ばす気がわかないというのも不思議だろう。

 さーて5人に対して思考伝達!


(おはよーございます)

「お、おはようございます……」

「今の、頭に声……?」

(目の前の魔物が使ってるスキルだから気にしないで)


 はぁ……といった納得しきれていない声を漏らしているがスルー。

 そこは大事じゃない。


(はい、取り敢えず今回は私が相手だったので生きるように加減して治しもしました。

 でもね、いくらなんでももっとなんとかしようがあったと思うよ?)


 そこからは初心者冒険者たちに生きるためのアドバイス。

 いくらなんでも見てられない!

 警戒不足、見間違え、あげく戦力差誤認。

 歩いている場所も最悪だし場所わからなくなってるのにガンガン進んでいるのも最悪。

 ニンゲンたちの顔が苦くなっていくなぁ。


(それではこちらをご覧ください、コレがさっきの接敵イメージ図です)


 思考伝達の良いところはこちらの考えたイメージも伝えること。

 映像や音を想像できれば渡せるのは強みだ。


(では今回のさいに、どうすれば接近に気づけたのか……想像してイメージをこちらへ送る感覚で答えてね)

「え……えっと……こう?」

(はい、今のイメージですが……ここが、こうなっちゃうのでダメです)


 ダメ、コレもダメ。

 正解はこう。

 コレを相手は座らせて繰り返す。

 なんかニンゲンたちがだんだん泣きそうになっているがめちゃくちゃ大事なんだぞ!

 生きるか死ぬかの話なんだ!

 これすらわからんのにお気軽に冒険するな!!

 はい次!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ