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六百九十三生目 算盤

 ハロウィンプレイベント夜。

 ここから各員たちが非常に忙しくなってくる。

 まず昼行性たちがアウト夜行性がインをする交代関係でもスタッフたちがバタバタするのだ。


 当然客も夜行性に変わる。

 さっきまで閑散としていたエリアが新規入場時間に詰め寄せて来たわけだ。

 予想はしていたが……


「昼の奴らが面白いってさ!」

「俺らも参加したいなあ」

「なんだかこの気配……仲間な気がする!」


 それぞれの思惑が色々とオーバーヒートして一気に詰め寄せたようだ。

 現在入場規制中。

 大人気アトラクションの場所ではないのだけれど……まあこういう催しは珍しいからなあ。


 特に明るい雰囲気に合わせるタイプは数多いがコレは暗い雰囲気に合わせるもの。

 恐怖とは違う視線で夜組は見てくれるだろう。


 幽霊やコウモリ型に切り抜いた透過素材にあかりをとおしてクルクル回したり。

 大きな月……偽物だけれど……それが照らす幻想的な空間。

 サイケデリックのような使えるもの使い込んであらゆる感覚を乱しに来る空間。


 私のスキルや魔法も炸裂するしみんなの技術も炸裂する!

 暗い夜の空間に夜行性のみんなは知らずして足を踏み入れるのだ!

 まあ彼らの場合恐怖じゃなくて楽しいという方向に走るんだけれどね。





 そうこうして。

 プレイベントが大好評で終わると各自そこから得たものを持ち帰り……

 本番へと備える。


 この世界は闇に生きるものたちが当たり前にいる。

 もちろん忘れたわけじゃなく彼らは知能がある種ならばそこにも配慮をこめていく。

 だからこそだ。


 この時の私達はまだ背後にうごめくものを知らなかった。





 おはようございます私です。

 本日はハロウィンの日!

 今日に向けてみんなが街の飾り付けを行ってくれたし準備も万端!


 カボチャを甘味としたクッキーも量産できたし今日用の料理もたくさん用意済み。

 まあもちろんそれはアヅキたち調理版やインカたち狩猟班そして農家組の力だが。

 私の話や知識だけでうまく魔物やニンゲン用にそれぞれ調整したものを作れて良かった。


 まず始まりの朝は朝日が登りかけている時から始まる。

 みなスタッフ用に特別に先駆けて用意された食事にありつくのだ。

 なんかかんやと私が話すことになったので前に出て景気づける。


 なんか夢中になって話せば内容は殆ど覚えてなくてもなんとかなるものだ。

 短い内容でみんなから喜びの声が上がる。

 ……おっとそうだ。


「――ここで突然ですが、今回多くの調理を再現し開発してくださったアヅキにも、みなさんに挨拶してもらいましょう」

「「わぁーー!!」」


 アヅキは私のものすごい近くにいたからびっくりはしていたもののスムーズに交代が済む。

 ……私に指名され妙に張り切っている様子だったけど暴走しなきゃあいいなあ。


「今紹介に預かったアヅキだ。今日までの激務を良く乗り越えここに集ったことに、感謝する!」


 相変わらず私以外にはすごく強気だ……


「先程も、ある……ローズオーラ様がおっしゃった通り、この祭りは収穫祭、豊作を祝う面がある! そして同じくローズオーラ様の言った通り、それは誰かの命をいただくということだ! まさしくその形は暴力というのは、我が胸にしかと響いた!」


 そんなこと言ったっけ。

 覚えてないからなあ……


「故に私からも送ろう!

 今私達が食らう肉は誰かの親子が引き裂かれ命を失ったもの。

 植物の実りを食うのは子のためにあらん限り尽くした財を全て奪うもの。

 命を刈り取りうまい! と叫ぶ」

「それこそが収穫祭だ!」

「だからこそ我々はそのことを肝に銘じ……そして祝おう! 生きていることを!

 食らう糧の分も、我々は生きる!! 乾杯!!」

 

 無音。

 それから喝采。

 カボチャスープが身に染みる。


 アヅキが前から下がって私の横についた。

 うれしそうな顔をしている。


「なんだかすごく良かったよ、アヅキ」

「ありがとうございます。主の言葉を考えたら、自然に言葉が溢れてきました。やはり主の1言1言が天啓なのですね」

「そ、そう……」


 本人何言ったか覚えてないほどなのに……

 重い……!






 ハロウィン本番!

 この日実はアノニマルース内だけで終わらせるのはもったいないとして外からもお客さんを招き入れている。

 たまたま先日来た大商人の使者と話したらすぐに大商人がやってきてそろばん弾いてくれた。


 彼らが全面バックアップしてくれるので商品の融通も利きかなり楽に。

 もちろん彼らは彼らでもうける算段がついたからこそ……なのだろう。

 それならそれで私達はそこに乗るだけだ。


 アノニマルースハロウィン。

 門からジャック・オー・ランタンや黒塗り紫塗りとおどろおどろしい。

 邪悪な笑顔が見守る中で冒険者含む観光客たちが中へと門をくぐる……

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