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六百八十六生目 生喜

(お、帰ってきたか)

(おかえり! 1時間くらいかかったね!)


 ここは……現実に戻ってきたのか。

 いつの間にか蒼竜は寝ている。

 表の時間だと1時間程度しかたっていなかったか。


 私1年以上は向こうにいたんだけれど。


(ええっ!? ながっ!?)

(そんなに長い間戦っていたのか!?)


 ええと厳密には違って……

 おや?


「ん? その様子……戻ってきたのかなー? 成果はどうだった?」


 蒼竜が浅い眠りから目が覚めたらしく起き上がるさいもちょっとカッコつけつつ立ち上がる。


「そこらへんも含め、説明するよ」





 かくかくしかじかと説明。

 蒼竜の予想が当たっていた部分があったからドヤ顔もされたが……


「とりあえずなんとかなった、ということで良いのかな? 1年も心の世界にいられるとは……普通のやつだと耐えきれずおかしくなって死ぬよりひどいことになるところだったよ! まあ、無事で何より!」

「待って、それ聞いてない!」

「聞かれなかったからね!!」


 こいつなんで神様やってるんだろう。


「それより、それで戦いは終わったのかい? 能力の変化は?」

「あ、なんかすっかり満足しちゃって忘れていた……ええと」


 とりあえずあれこれさぐってみよう。





 それからしばらく。


 よし。一通りチェック終わり。



[スキル外の強化→色々調べたらツバイやらドライやらの能力が均一化されている つまり誰が攻撃に出ても強くトラウマは苦手を意識してもなんとかなるように。

 血をやたら求めだしたりもしないし処理演算も3つの性格で並列3倍速度処理だなんて離れ業も可能に。

 それはそれとして個々人の面としての性格は残ったまま]

["無敵"レベル10 自身が認識している数キロメートル以内のあらゆる攻撃意思や能力を弱め弱体化する。ただし近ければ近いほどしっかり効果が出る。敵の攻撃そのものや自然崩壊による落石にまで適用ができて見方によってはラッキーな人。ただしこの能力は影との対立を乗り越えたものだけが使える]

["自己無敵" 影との対立を乗り越えた"無敵"レベル10から派生した能力でレベルは持たない。効果は以下の通りで他スキルでレンタル不可

 精神暗転→精神系や魂系などに対して何らかの不利状態異常が発生したさいにそれらをすべて好転させる。これは不利発生しそうになった瞬間に発動させる。ただし直接ダメージはこれに含まれない

 ※※※※

 ※※※※

 ※※※※]


「つ、強っ……」


 解析しきって思わず言葉が漏れた。

 スキルとは関係なく強くなった点は……色々と乗り越えたからだろう。

 ただ"無敵"レベル10がかなり強い。

 距離減衰するからなんら今までほとんど触ってないと効果なかったんだぞと言わんばかり。


 ちなみに説明文だとよくわからないので色々試した結果がこれである。

 不意打ちなんかには弱いんだけれど正面きって戦うのならこれほど頼もしいものもない。

 もちろん減らしても威力が高ければ残るので過信できない。


 多分対敵でも何か違うんだろうが今手頃な敵がいないので不明。

 平和だってことでもある。


 そして派生した"自己無敵"……

 これの最大の特徴というか……なんというか……わからず不明で使えないという部分がいくつかある。

 解放条件すらわからない。


 蒼竜もよくわからんとのこと。

 まあ私がまだ"自己無敵"を使いこなせていないのだろう。

 "無敵"を鍛えていけばわかるかな。


 精神暗転の段階でかなり強い。

 実際ヤラレるとどれだけ私の方が強めでも一気に逆転されかねない異常も多い。

 ちなみにコカケロスなどが使う石化もこれに含まれると思う。


「おめでとう! 神にひとさし指くらい近づいたよ!」

「それほとんど変化してないんじゃあ……まあ別に神を目指しているわけじゃあないからね」


 褒められたっぽいけれどまったく嬉しくないのはなぜだろう。





 私は影との対立を乗り越えた。

 それで見た外の景色は……なんだか清々しい。

 いつもの景色なのに心の底にまでぬくもりが届くかのようだ。


 まだ私はみんなには言えない夢がある。

 それも生きよう(・・・・)とする今ならそれを胸中でも形にできる。

 私は……強ければ偉いという時代を終わらせたいのだ。


 誰だって生きていて良い世界にしたい。

 もちろん実態はどこまでも誰かが誰かを食べなければ生きていけない。

 けれどこの世界はそれ以上に実力主義だ。


 力が財力だったり知力だったり政治力だったり……それこそレベルだったり。

 血筋やなんなら生まれでも。

 選ばれ勝ったものが勝ち取るのは良い。


 けれど今は……勝ったものだけが全てかき集めていて他の者たちには生きようどころか生きたいとすら思えない。

 そんな地獄はこの世界の至るところにある。

 まだ胸の中にしまっている話。


 けれどいつかきっと……

 堂々と胸を張って言える時が来るだろうか。

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