六百六十四生目 朝整
おはようございます。
ここはアノニマルース。
私達魔物のための町だ。
先日のひと騒動を終えその後結界にエネルギーを送る装置も見つけ出し破壊した。
結界はじきにエネルギーが切れてそのうち外部から刺激すれば消えるようになるだろうとのこと。
それまでに兵士たちが進軍したどり着き包囲する予定だ。
で。私達の仕事はというと。
無い。
まずこれにかかる準備期間がそこそこあるという点。
奇襲可能な山ルートを開拓したが軍は通るのに他より早いルートだと考えても時間がかかる。
さらにここから先は軍のお仕事。
彼らは少しでも兵力は欲しいだろうがあくまで一般人のしかも他国の冒険者に頼ることは難しい。
集団戦訓練もしていないからね。
邪魔になるかもしれないから置けないのだ。
だから今日は完全な休みである。
何をするにも起床したらまずは朝の準備である。
早速空魔法!
[ミラービジョン 対象の分身を出す。分身は実体を持たず対象の意思どおりに動く。指定がなければ棒立ちする]
これを使うことで遠隔攻撃してくる相手をかく乱できる。
近づくと魔法の気配に悟られたり切り合いは結局本人しか実体ないから攻撃時にバレる。
デコイとしての利用方法がメイン。
まあなので前回の戦いではかなり活躍してもらったが……
私の使い方としてはもうひとつの活用方法が輝いている。
「よし……と」
私の目の前に私が現れる。
"鷹目"でも問題ないんだけれどこっちのほうが多くの目で見られる分は楽。
姿勢は棒立ちに指定して肉体は常に現在の状況を反映するようにして……と。
よし! 簡易鏡の完成だ!
360度どこからでも自分の状態をチェックできる。
さて……
私は案外寝癖がつきやすくまた日々のダメージで全身の毛皮は痛む。
毎朝のケアはかかせない。
比較的短毛種といえどやはり差は大きく出るからね。
昔はグルーミングしかやりようがなかったが今は違う。
夜は身を清めるセットがあるし……
朝は身を整える道具があるのだ!
とは言ってもニンゲン用に作られている化粧品類はどれもケンハリマや魔物向けではない。
その代わり魔物使いの使う魔物用品があったのだ。
まずはどんな魔物の剛毛でもしっとりさせるという霧吹き。
道具の操作は空魔法"フィクゼイション"で操るゼロエネミー式だ。
昔はものひとつ浮かすのにも苦労したがいまではトリガーを引いたりするのもできる。
複雑な操作もなんとかなる!
シュッとやれば私の毛皮を徐々にしっとりとさせていく。
これに対しては抵抗する気がないのですんなり受けられるのもある。
水魔法だといろいろ悲惨だが。
何度も全体にやり続ければなんとなくしんなりしてきた。
ひんやりと水が浸透してきて気持ちいい。
この水は自分でかけたので驚異は感じないしね。
次はブラシ!
ニンゲンの髪ではなく獣用にしっかりして広く作ってある。
このブラシを順に全身にかけていく。
私の分身はこういう状況がリアルタイムで更新されていく。
持ち手に誰も持っていないブラシが私の頭をなでつけるたびに目の前にある分身頭の毛がかきわけられている。
向こう側にはクシそのものは反映されていないからだ。
もはや手慣れたもので全身くまなくブラシをかけていく。
鼻歌まじりに丁寧にかけ……
尾もしっかりブラッシング。
よし! なかなか気持ちのいい感じに仕上がった。
最後は頭ではねているくせ毛の向きを整えて……と。
これで完成だ。
いつもどおりの私。
いきいきとしたアホ毛も含めて。
だからこそ……この休みを使ってどうにかしてやらなくちゃならないことがある。
ケンハリマ ローズLv.50 ポイント0
"無敵9→10" "近接攻撃13→14" "光神術5" "観察8→9" "峰打ち13→14" "魔感10" "鷹目9" "止眼8"
"頑張る7" "変装9" "ズタ裂き5" "回避運動13→14" "三魔10" "無尽蔵の活力10" "空蝉の術6" "四耐性7→8"
"以心伝心11" "怨魂喰い6" "言語学者9" "率いる者9" "見透す眼7" "地魔法4→5" "魂の守り5" "救急魔術師10" "指導者8"
"戦士の心7" "影の瞼7" "森の魔女8" "猛毒の花6→7" "空の曲芸者6→7" "電気魔法3→4"
"戦場の獣4→5" "触手マスター1→4"
多くのスキルが上昇し観察が9レベルになることで相手の驚異的な武技や魔法の存在を1つ看破できるようになった。
そして……
無敵が10となる。
まだ新たなスキルはなぜか解放されていない。
それどころかスキル解放表で脳内で無敵を選ぶとログに表示される文字。
これがいままですごく気がきでなかったのだ。
[精神世界での対立を行います。 はい/いいえ]