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六十三生目 完勝

 もはや手慣れたもので"私"がひっこみ私に変わって進化もとけて回復に走る。

 もちろん相手には無敵をのせる。

 今回は大変だった……

 数え切れないほどの骨軍勢、広範囲での撃退戦。

 強力な追加召喚された黒骨たち……

 そして何より。

 眠い!!


 行動力もスタミナもいくらなんでも限度がある!

 薬での回復はズルいわぁ。

 私が睡眠耐性やら行動力節制やら幸楽でなんとか抑えてるけれど。

 途中うつらうつらしながら戦局指示していたよ。


 一応途中で2時間ほど寝たけれど、ニンゲンみたいに『頑張れば3徹出来るし、頑張らなくとも5時間くらい寝れば1日動ける!』みたいな回復力はないの!!

 1日12時間は何回かにわけて寝なきゃなのに今日は昼から起きっぱなし。

 グロッキーで倒れなかった自分を褒めたい。

 ちなみに睡眠耐性のレベルは2に上がった。


 その他にもカウンターが4、峰打ちが5、回避が6、魔感が3、怨嗟喰らいが2、殴打が3、切り裂きが4、影避けが3、肉斬骨断が2、頑張るが2にレベルアップした。

 前一通りチェックした時よりモリモリと強くなっている。

 成長期だ。

 なのだからしっかり寝たい。

 いい加減身体壊れるぞ!


「主、ちょっと良いですか? こちらをご覧ください」


 はいはいあるじですよー。

 眠いのになんだろう。

 案内されるままボロ小屋へと足を踏み入れる。


 ……!?

 びっくりして目が覚めた!!

 私達のつくった土器じゃないか!!

 なぜソレが小屋の中に?


 しかもハック作の言葉で表現が難しいゲージュツ品が多数ある。

 確か、交換された品々はよくわからない呪いとかにまつわりそうな品々……

 ……もしや彼女が交換していたのか!?

 うーむ意外なところでお得意様を見つけてしまった。


「いかがいたしましょう、回収しますか?」

「いやぁ……まあ、置いといて良いんじゃないかな」

「了解しました」


 そのあと残された罠などが無いかをチェックしてからアヅキにレヴァナントを運ばせた。

 そして私も帰るのだが……


「オジサンは、どうする?」

「お、俺はまた、いつものところにいるから……ヒマになったときにでも会いに来てよ」

「うん、またですね! 今回も本当にありがとうございます!」


 そう言ってわかれることになった。

 オジサンもいつかは一緒に……とは思うんだけどね。

 それは彼の意思次第。


「うん、ま、またね!」


 そういったオジサンの顔は優しく微笑んでいた。




 群れの中にアヅキと共に戻る。

 道中に出会った鳥籠から話を聴くと骨軍団はまだもう少しだけいるらしい。

 ただ、今までの統率された感じから足並み乱れたために、数は少しだが残党狩りに時間がかかっているとか。

 なので私はひとまずみんなに休んで貰うことにした。

 もう親玉は倒したからね。


 残った少しの骨軍団は親玉の指示がなくなりバラバラに動いているようだが、それならばもう簡単に狩れる。

 鳥籠達は鳥籠たちの、私たちは私たちの縄張りへと帰ることになった。

 鳥籠たちとの話し合いはまた後日行うと伝えて飛んでいってもらった。




 私達が群れへ帰るころには殆どみんな帰宅済み。

 事前に鳥籠たちのサインの意味は知らせてあったから当たり前とは言えるが、それでもみんないるのを見るとほっとした。

 今度は、誰も死ななかった。


「おかえりー!」

「ただいま戻りました!」

「烏くんもおかえり、その抱えているニンゲンって……」

「うん、今回の敵だった相手だ」


 そこからクローバー隊の面々にも来てもらい確認してもらった。

 彼等はニンゲンの見分けはつかないが、ニオイなら多少判別がつく。

 そしてみな一様に認めた。


「確かに、この独特の死のかおりはあの時襲われ死者の出た相手だ」

「やっぱりそうなんですね……ありがとうございます」


 この群れにとってのその時から続いてた戦いは、今終わったのかもしれない。

 なんてね。

 おそらくホエハリ的にはそんな詩的な事思っているのはいないだろう。

 怒りとかもまずそんなにないだろうね。


「一応この通り眠ってもらっていますけれど、どうします?

 罪を罰するために一応痛い目にはあってもらいましたが……」

「うーん、そういうのよく分からないからな。

 任せる」


 だよねー。

 一応キングとクイーンにも話は通したが、もはやアヅキの時に完全に慣れている様子。

 なんというか『群れに危険が無いなら飼っていいよ』みたいな扱い。

 信頼されているというか、呆れられてるというか。

 何度も捨て猫拾ってくる子みたいな気分だ。


 ニンゲンならばニンゲンを殺した猫など飼わないし復讐し殺す話になるだろうが、もともとホエハリはそっち方面の考えがゼロに等しい。

 私も結構ホエハリカラーに染まってきてるからわかる。

 恨み、つらみ、恐怖に怒りは高度な社会文明の中で育ち得る心。

 殺す殺されるに正義だ悪だとやれる暇人にのみ許された特権。

 結局、暇は最高の贅沢なんだなぁ。


 私も暇な中で正義と悪を考えながらゴロゴロしたいが残念ながら今はホエハリ。

 んな正義と悪について語るよりも合理的に生存していくのが良いわけだ。

 『ただしさ』で味方が増えるならそうするが、そうじゃないものね。


 私が得をする、相手も得をする。

 感情面でやりきれなかったり面倒な要因がからんだりなどを含めて考えなきゃだけど、なるべく大多数が幸せになる選択はしていきたい。

 まあ、そのためにはガンガン襲い食う事もあるからね。


 それに彼女には聴きたいことがある。

 ホエハリを襲う理由だ。

 わざわざ雄鶏たちまで使って……

 それに理想郷云々も気になる。

 こういう不安の目かつ興味対象はちゃんと調べておかないとね。




 おはよーございます。

 ちょっと寝て待っていたらアヅキに触られ起こされました。


「主よ、ニンゲンがもうじき起きそうです」

「ん、う〜……ん! ありがとう」


 まあ私が頼んでおいたんだけどね。

 彼女が起きるまで寝かせてくれーって。

 さすがに限界だったのよ。


「いえいえもったいないお言葉!

 ……では、私は背後に。」

「うん」


 レヴァナントが起き出す。

 アヅキは少し離れたところに立ってもらった。

 さすがに近いと殴り殺されそうに見えるしね。


「……ん、あれ……?」

「おはよう、大丈夫?」


 ものすごくやさしーく声をかけてあげた。

 サウンドウェーブは無限の可能性があるなあ。

 何せ彼女は適当ななめし皮の上に寝かされただけ。

 しかも危険物を調べるために脱がしたらどれが危険かすらわからないほど色々でてきた。

 服自体もなんかの霊媒用道具っぽかったので彼女は今、適当な革かぶせているだけだ。

 ニンゲンでこれで不安にならないとしたらそっちのがビビる。


 ニンゲン相手、しかもドチンピラとはまた違う相手との交渉は緊張する。

 獣とかと違って駆け引きがかなり高度になる恐れがある。

 自害しようとするタイプだったりしたら最悪だな……

 こっちの目的はもちろん情報とつぐないだが……はてさて。


「えっ……ホエハリがしゃべ……あのホエハリと違う……?

 あの時にワタシは死んで……これは死後の……しかし研究では……

 だったらココは一体……あれ!? 服は!? あ、あの時のミルガラス!?」


 うん、見事に取り乱してるね!

 まあそれは仕方ないか。

 落ち着いてやっていこう。


「まあまずは落ち着いて? 私はひどいことしないから」

「え、ええええ、ど、どういうこと、ええええ??

 な、なにより分からないのは、なぜかワタシはあなたを知ってる気がするの……! 知らないのよ!

 でもあの時の喋るホエハリは白かったし……どういうことなの!?」


 さて……これをなだめるのは苦労しそうだ。




 結局何度も質問ラッシュを受けて適当に答えるハメになった。

 情報を聞き出すつもりが聞き出されてるがな!?

 ただまああまり隠す必要も無い事実しか述べてない。

 ちょっと私は変わったホエハリだとか、ここはホエハリの群れの中だとか、結局本当は私達大多数の魔物連合を相手してたのだとか。


「結局、瀕死まで追い込ませてもらってからあなたを捕らえました、ということ。つまり生きてる」

「……色々と納得はいかないけれど、事実みたいだから認めるしか無いのね。

 それで、ワタシを捕らえてどう料理する気なの?

 あと服は返して!」

「今はダメ」


 やっとなんとか落ち着いてくれたようだ。

 なんだか交渉前にすっかり疲れてしまった……

 気合入れろー私、ニンゲンから情報を聞き出すのだ!

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