六百五十二生目 死得
20匹のみんな+イタ吉にジャグナーそしてダカシを引き連れ突撃!
奥の部屋の扉の先には……
「あ、あれ?」
「なんだ、この複数扉」
敵が! と思ったら違った。
広めの空間で扉がたくさん。
具体的には……5つ。
「うーん、このどれかが正解ルートか……?」
「それか全て正解か。ここは霧のダンジョンじゃないから、普通に各部屋つながっているんじゃないか?」
「それもそうか。なら別れて突撃して、取り囲むぞ」
「さっきの彼がなにか知って……いても吐かないか。召喚獣だから痛めつけられる恐怖もないし最悪消えるから無駄骨かな」
召喚獣は死なない。
そしていざとなれば還れる。
余裕で寝ている時点でそういうことだ。
こっちは罠覚悟で突っ込むしかない。 もちろん解除出来る罠は全て解除のつもりで。
"絶対感知"! うぐっ。何かに妨害されて扉向こう1部屋しかダメだった!
多分"絶対感知"を退けるということは妨害魔法かなにか仕組まれていたかな。
とりあえずそれぞれの部屋1部屋分を調べられた。
扉に罠はなし……それぞれ別の部屋につながっている。
「どこも別のところにつながっているみたい。罠や敵はいないよ」
「行こう! 俺は狭い部屋はいけないから……ここか」
「俺はこっち!」
「んじゃあ俺はここかな」
私の言葉にダカシが1番大きめの扉を。
イタ吉とジャグナーも部屋を選んだ。
私は余った2つのうち端っこの扉を選んだ。
みんなはそれぞれ強力なイタ吉やジャグナーそれにダカシに振り分けてサポートをしてもらう。
よし行こう。
みんなが扉をくぐったのを見届けて進む。
1つめの部屋は特記事項のない普通の廊下だ。
途中の扉があったがトイレだった。
奥の扉には……罠があるな。
これは私が向こう側に行ったら自動的に鍵がかかるタイプ。
コレは解除が面倒なわりに最悪扉壊したほうが早い。
なら気にしないで行くかな。
バタンと扉をくぐり閉めたらガチャリと鍵が閉まる。
正面には……魔物が2体。
"観察"したところ極めて一般的な魔物……が鍛え上げている。
4足型と2足型どちらも武具をつけていてかなりおだやかではない。
ううむ……これはもしかしたら。
互いに睨み合っていたら言語解析が終わったので話しかけてみるか。
「……もしや、キミたちは魔王復活させようとしているカエリラス?」
「む?」
「言葉が……? まあいい、確かに、俺たちはカエリラスだ」
ゲッ! やっぱり!
ほかのところと違ってカエリラスのメンバーが潜んでいるとは!
最後の1拠点だから念入りだ!
「ここを落とされたらマズいからな……ここまで来るとは驚きだが、少しでも抵抗をする!」
「そ、それは……自分たちが切り捨てのコマだという認識を?」
「でぇーじょーぶ、俺たちの死すらも、魔王様復活の糧になる!」
「そんな……!」
ダメだ。死を覚悟した目をしている。
時間を稼がされるわけにはいかない。
「いくぞ!」「ガアッ!」
「うっ」
突っ込んできた!
はや……くはないな。
今の私との比較になってしまうとどうしても。
私の背のイバラたちが相手の気配察知裏から正確に突き吹き飛ばす!
全力の相手には全力を持って答えるのが正解。
イバラで吹き飛ばされた2匹のうち2足の魔物に対して飛んでから蹴り込み!
ガードしきれずに相手は吹き飛んでもう片方と衝突。
そこに土魔法"Eスピア"!
上空落下と下からの突き上げが合わさって……
「「ガフッ……!」」
"峰打ち"をこめてなければ刺殺になるところだった。
気を失って転がっている2匹を"縛り付け"でイバラ拘束したあとに自切。
生命力も少しは治しておいて……こんなものか。
よし次!
「多いー!!」
「「まてーっ!!」」
困った。
こんなことならみんな合流して進んだほうがよかったか。
いやそれだと狭すぎる……
罠があちこち敷き詰められ敵は今も私を追い回している。
1体1体は大した強さではないのだが……
波状攻撃でこっちの体力をごっそり減らそうとしているわけだ。
いっぺんに来てくれれば狭い室内。
まとめて魔法やイバラの餌食なのだが……
延々としかもいつ尽きるかもわからない魔物たちの襲撃が続いている。
明らかに私のところへ兵力が注がれている以上他のところは手薄になっているはず。
建物ごと吹き飛ばす! のもなあ……
さっき"見透す眼"して外を見たらここは蒼竜神像の近くにある歴史的または宗教的に重要な大きな建物の中。
間違いなく気軽にふっとばして良いものではない。
様々な面で。
つまりは効率よく私から時間と体力を奪っているわけで……
行動力や生命力の心配があまりいらない身体で助かった。
"無敵""峰打ち"をあわせて打ち払いつつ横や床から飛び出す槍の罠はしっかり壊して次へ進む!