六百四十六生目 蒼竜
50階に来たら蒼竜をイメージした像……が更に生きていたらという想像に想像を重ねたような超巨大竜に襲われた。
こう信仰的に大丈夫なんですかね。
いやむしろ逆なのか。
高速で飛び回り相手の様子を窺いつつ思考を重ねる。
……信仰が厚ければ厚いほどにこの50階にいるコイツに手を出すことは出来ない。
たとえ偽物だとしても信仰する神に対して踏み絵を行えない。
その心理をついた相手か!
しかも単純に強そうだから余計に危ない。
まずは……イバラだ!
背のイバラたちが伸びていく。
1本は尾だ。
こんなデカい体どこを叩いても基本痛みは浅いだろうから……
ひとまずは背中の魔力が高まっている部分に!
あそこよくみると1つうろこが大きく逆さについている。
いわゆる逆鱗だ。
他の龍鱗よりもはるかに目立つ大きなこれは多分弱点だろう。
そうでなくとも怒らせる程度には痛いはずだ。
イバラたちは"猫舌打ち"そして尾のイバラは"猛毒の花!
とにかく防御能力を落とす!
4連撃! さらに尾の毒!
腐食し"猫舌打ち"の光とともに暗い光がまとわりつき侵食していく。
よしよし。このまま連撃――
うわっ!
なんか煙が噴き出してきた!
いや冷気か!
これもしかして汗みたいな物?
しかも反射行動で噴き出した攻撃?
私は雑菌じゃない!
まあ相手からすれば雑菌だろうが。
とにかく火魔法"ヒュージフレイム"! 土魔法"ロックボーン"!
青白い巨大火球が叩きつけられて空に火柱をのぼらせる。
骨状の私の今ある背丈ほどの大きい岩が回転し空を舞ってなんども逆鱗を打ち据えた。
「ゴォ………!!」
「うっ」
凄まじく騒がしい咆哮!
お怒りの様子。
さらに冷気ガスが噴出され周囲が凍てついていくのをなんとか光魔法"ライトウォール"で薄い壁を作りつつ防ぐ。
剣ゼロエネミーはドリル状になって何度も逆鱗を刺しながら激しく回転!
刺さりガリガリと音が響く。
回転がうまく回らないようならまた別のところを刺し直す。
もうひとつの用意魔法である"ヒーリング"は大丈夫そう。
まだ油断できないが。
火が効いてたし補助魔法を足そう。
火魔法"フレイムエンチャント"!
これで私の攻撃とドリルゼロエネミーに対して炎が付与される。
"猫舌打ち"は防御能力を落とすものの破壊力は下がるため通常の近接攻撃に切り替え先分かれを元に戻す。
燃えている各々の攻撃が逆鱗をえぐり破壊してついには崩れ去る。
ガス穴が塞がれて冷気が止まった。
"魔感"で魔力をさぐるとここからは消えて別の場所に発生する。
いや……すぐ近くに魔法も来る!
大量の氷の槍が空に浮かんだ。
つらら……!
飛んでくるつららをイバラで打ち払いわき腹をかすめ背中から迫るのを剣ゼロエネミーが切り落とした。
よ。よし。多少切れて痛いだけですんだぞ。
次のが来る前に別の部位へ!
……おや? みんなが出てきている!
「危ないよ!」
「「!!」」
うっ。なんだかやる気だ。
任せとけと言わんばかりに足元の魔力反応を狙いにいった。
まあ今の所私がおとりになれば彼らが大きい被害は受けないだろう。
強化済みだしね。
「みんなー! 気をつけて! ダメージ受けたら下がって!」
「「!!」」
各々鳴き声返事を聴きとりあえず私は別のところへ。
ええと……左前足かな。
前足と言っても手にもなる便利な竜手だ。
目の前まで来るとさすがに警戒されたのか思いっきり振られる!
大きいは早いが……タメは長い!
アインスにうまく飛行コントロールしてもらい戦いに集中!
追いかけつつ前方に見える魔力の高い氷に向けてとにかく魔法を放つ!
えー……偏差考慮して射撃し背中のイバラたちで先回りで薙ぎ払って……
ドライにも立ち回り手伝ってもらってドリルゼロエネミーで採掘だ!
(でかあぁい!)
(コレで血が出ればなー)
そのまま右腕氷結晶を何度も攻撃!
出来る限りはずさないように……とは言ってもここまで大きいのが光を纏いつつブンブンふられると下手に近づくだけで吹き飛ばされる。
中距離を維持しつつ上と下に振り終わる時を狙って集中砲火!
多くの攻め手が私から放たれ放射状に拡散してから向かい命中!
激しい破壊音をたてつつエネルギーのたまった氷結晶が砕けた!
「ゴオオオオオォォォ……!!」
「ううっ」
凄まじい咆哮!
耳鳴りがする……
ただそれだけ効いているらしい。
右腕からお返しらしく光の衝撃波!
大丈夫落ち着いて……迫る直前まで唱えれば!
ギリ! 発動してくれ空魔法"ミニワープ"!
次視界が捉えたのは遠くで全ての暗闇を晴らすほどに輝く爆散している光の衝撃波だった。