六百四十五生目 五十
進んで45階。
ここも階段を創ろうとしたがうまくいかなかった。
謎解きの階だが謎を解いたことがないせいで無理やり次階へいけないのだろう。
このエリアは……なんなんだろうか。
四方を壁に囲まれた屋内……のように見える。
寒さやむき出しの氷結晶もかわらず。
ただ静かな空間が広がっている。
おそらく何かしかけが……今いる場所はその部屋の中央。
1歩動くと床が光る。
うん? なんだろう。
……あっ! 一気に周囲から敵の反応!
どこからともなく現れた魔物たちは私たちを完全に取り囲む。
今いるのは……14匹。
ただし強さはバラバラのようだ。
この階層以外の魔物も多くいる。
それにこちらは17から19匹になっているのだ。
私の補助魔法もばっちり行き届きみんなやる気十分。
負ける要素はない!
目配せのあとみんな一斉に駆ける。
少し歩き光っていない地面に足を踏み入れるとまた新たに光りだした。
反応は私にのみ。
……?
とりあえず目の前の氷で出来た小さな岩みたいな凶暴そうな面に回転蹴りを叩き込む。
みんなも各々戦い出した!
そうこうしている間にたくさんの魔物たちを霧に返していた。
幸いな事に強さは最初の層から今の層までバラバラの相手がいるうえおそらくはひとりで切り抜ける前提。
数もこちらは合計20匹。
出ては殴り倒している状況でおかけで私はこの謎解きに集中することが出来た。
私は"鷹目"を使って全体を眺めつつあっちこっち走ったり低空飛行をしていたが……
私が地面を踏むと1ブロック区切られた部分が光る。
そして私がその光ったところから出てからまた戻って踏むと光が消える。
そして踏んでも変化のない他と違って氷の床部分があって……
閃いた!
これ踏んで全部光らせるやつだ!
5階で踏んで色を変える床があったけれど……
あれの変化版だ。
全部の床を光らせるには1筆書きが必要。
幸い判定は私のみ。
ただ今の所私があっちこっち飛び回っていたせいで飛び石状態。
ただ……これは気づけてあと上からどうにかしてみるスキルがあれば余裕だ。
何せ1ブロック範囲はそこそこ広く敵の相手をしながら走り抜けるのは容易!
この姿だと2足歩行なので思うほどに走る速度はでないが……それでもまあ低空飛行と合わされば。
足元がスレるギリギリで浮遊感に気味の悪さは感じつつもうまく着地と浮遊を繰り返し全ての床を光で埋めていく。
氷の床はおそらく大丈夫だから……と。
完成!
出来た模様は……つまりは氷の床の模様は45か。
この国の言語で。
アラビア数字ではない。
ゴゴゴ……と音が鳴り響くとともに天井から何かが降りてくる。
……エレベーターかな。
全員急いで乗らせこの魔物がたくさん出てくる部屋から脱出!
エレベーターはガシャリと檻がしまり上へと移動していく。
そして何も見通せない闇を通過する。
……いつの間にか46階へとたどり着いたようだ。
さすがに疲労から毛皮のうるおいがきになりだした。
みんなは19から20匹となり今や大所帯を連れて歩いている。
50階層にたどり着いて……控えから中の様子を伺った。
これまでとはまったく違う空間が広がっている。
まず真っ暗である。
私の目でも見通せないあたり自然な暗さをこえている。
そして広い。ただっぴろい。
まるで外かのようだ。
でも身体感覚はまだ霧の迷宮だと訴えてくる。
補助魔法更新……オーケー。
とりあえずの魔法詠唱完了待機……大丈夫。
胸の宝石に触りちゃんと精霊たち3体も唱えられている。
みんなにはいつもどおり待ってもらって中へと踏み出す。
すると闇が晴れていった。
ただし薄暗さはそのままで……
代わりに現れたものはあまりに巨大な竜。
私の目の前に現れたのは私の身体など楽に裂けそうな大きさを誇る足爪。
つまりは私の目線に足が見えるほどの巨躯。
分厚い青い龍鱗がたっぷり蓄えられ後ろ足はその身を直立させるためにしっかり踏みしめられ岩山のようなヒザがあり……
そして全貌の見えない胴があった。
腹部はまるで大地のように茶色く硬質化していた。
さらに首が縮まっていたらしく硬質なものがこすれる音をたてながらこちらへと首を伸ばしてくる。
上体を倒しこちらにむける頭は……見覚えがある。
その太い腕さえも。
巨大な竜は表で飾られていた大仏ならぬ大神像蒼竜そのものだ!
ホンモノのとはまったく違うが何を考えているんだこれの作成者は!?
一応帝国の民は誰もが蒼竜に対して深めの信仰を持っているんじゃあ!?
これはもう明らかに冒涜的という部分に足を踏み入れてない!?
いやまあ教義とか詳しく知らないんだけど!