六百四十生目 拷問
ついに魔人に1度はヒザをつかせた!
ドライが私の身体でイバラを伸ばし瞬時に"縛り付け"。
『拘束』にして武技"拷問打ち"をしかけた!
"拷問打ち"はイバラを執拗に何度も魔人の全身に打ち付ける攻撃。
さらに打ち付けるたびに黒い光が暗く輝く。
『拘束』が悪化状態として"拷問打ち"の力が増しているのだ。
数秒だが膝つきとしては結構時間をかけて再び相手は動き出す。
身体が大きく重くそしてほとんど怯まない分1度の怯みが大きそうだ。
ただそう簡単にはいかせてくれないだろう。
初めて大きく跳んで槍を振るう。
イバラたちがすべて的確に薙ぎ払われた。
せっかくおそらくはいい感じに生命力を削っていたのに!
槍を私の身体と鞭剣ゼロエネミーに向け構える。
どうやら……かなりやる気のようだ。
しっぽを攻撃されたのがかなり頭に来たのかもしれない。
「行くぞ金ピカッ!」
ドライによる吠え声と共に両者駆けて再激突した!
互いに何度もぶつかり合い本気の激突を繰り返す。
お互い少なくない傷を増やしつつもこっちは治せる差が大きい。
行動力切れを起こすような大技も今の所使うハメになっていない。
魔人は全身に傷をたくわえつつもいくつか腐食された部分が見える。
ドライが私の身体で尾先で何度も激しくぶつけおまけに毒を射出する。
魔人は槍で受け止めずなんとか避けようとしているが深くは入らないものの何度もヒットしていた。
お返しにといわんばかりに槍を縦横無尽に連続突きされる!
まっすぐのはずの槍が光を纏ってたくみな技で繰り出されるせいであらゆる方向から曲がって当てにくるかのように錯覚する。
鞭剣ゼロエネミーで薙ぎ払えるのも限度があった。
ドライが野生的勘で槍の軌道を読み串刺しは避ける。
それでもまた顔に身体にと血が吹き出た。
そしてイバラたちはまた"猫舌打ち"を仕掛け尾のイバラは毒を向ける。
まさに互いに息をつかせぬラッシュ合戦。
実際はどちらもうまく息をつくスキマをつくりうっかり息を切らさないようにしている。
あっちは駆けてこっちは"ミニワープ"で立ち位置も頻繁に変わっていた。
もしうっかり息を切らしたらどちらかが致命的な串刺しを喰らうこととなる。
それでお互い死ななくともかなり厳しくはなるからね。
そして打ち合うことでわかったことがある。
尾の花が吐いた毒が避けきれず魔人の腕に付着する。
すると音をたてて変色し黒ずんでいった。
腐食だ。
色々試してみて火に対しておそらく無効のスキルを持っていたり毒に対しても効かないと言って間違いない。
あの槍はシンプルな見た目と違って高い破壊力と防御性能の他に"連重撃"と同性能の力が込められているらしい。
こっちと同じく一振り2撃。
それがこっちの攻撃を防いでいた理由か!
さらに相手は毒が効かないのに必死に避けて食らうと変色する理由。
それは私の毒は私が思う以上に凶悪だったからだ。
この毒は当たれば何もかもを腐らせるのだ。
腐食した部分に鞭剣ゼロエネミーが薙ぎ払って斬り裂く。
他の部分と共に切り裂いたのに変色部分だけ深いキズが入る。
"猫舌打ち"による防御性能悪化も影響あるが腐食はとにかくもろくする。
お面や鎧のような顔や表情は伺えないがにおいや気配では気持ちが伺い知れる。
"見透す眼"でもそうだが……こちらの強さにイラつきつつも楽しそうだ。
つまり興奮している。
槍が輝くたびにこちらを削るようにえぐりドライは的確に反撃を食らわせている。
あの槍を腐食させれば折れるのだがなかなかそううまくはいかせてくれないらしい。
それでもドライは決して手は緩めない。
「ガアアッ!!」
光魔法"ヒーリング"!
痛みが少し引いてゆき傷口が止血していく。
ドライは傷つかない戦いは望まないが私の身体が大変なことになるので加減して欲しい。
魔人は駆けイバラを大きくかわし鞭剣ゼロエネミーに位置を食いつかせる。
そして振るい伸ばし相手の槍に当てに行く。
魔人も槍でしっかりと反撃し互いに光が弾け合う。
駆ける速度は速くイバラを伸ばしていてはかけ離される。
ドライはイバラを足にして高速で跳び移動する。
近くによって高く跳ね上がり複数のイバラで一気に武技"龍螺旋"を仕掛ける!
うん!? 鞭剣ゼロエネミーを強く弾き返したあとに動きを変えた!?
槍を地面へ支え棒のようにしよくしならせて……勢いをつけて跳んだ!
光を纏った槍はそのまま凄まじく大きな槍先のような輝きを放つ。
魔人の半身が包まれるほどに。
「まずい! ぐあッ!!」
そのまま高速で光の力でイバラたちを跳ね除け私の身体とすれ違う。
イバラで多少軌道は変えれたが轢かれてしまった!
いたたっ……