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六百三十四生目 斬首

「危なっ!」


 大蛇は毒注入に焦ってより執拗に私本体を狙って攻撃してくる。

 上位魔法使ってくるかなと思ったけれど今の所大丈夫。

 ただ油断すると大きく長い身体で縛り上げされそうになったりする。


 さっきはまさに背中の棘を活かしつつの乱れ打ちされた。

 急いで武技"蛇の構え"で防ぎきったもののあんなの食らったら全身穴だらけになってしまう。

 実際受けたイバラは穴だらけだし私自身も細かな傷が増えてきた。


 大蛇の頭と剣ゼロエネミーは熾烈な闘いを繰り広げている。

 やはり剣そのものに勝つのは難しいと頭が回避と撤退を中心に行っているため深く切り込みにくい。

 ただその分意識はなかなかこちらに向けられないから目的としては十分。


(あったよ!)


 2ヶ所目の鱗と皮が剥げた場所だ。

 さっきは大蛇の力を利用して一気に剥いだから改めて傷つけるよりアインスに探してもらうほうが手っ取り早い。

 跳んで大蛇の身体をまたぎ背の毒針を避けて猛撃をなんとかかわし到着。


 1ヶ所目と同じようにイバラを伸ばして"縛り付け"して……と。

 上に乗り尾を振り上げ……長く伸ばして先端を刺し込む!

 注射の時間だ!


 しっかりと入り込んだら赤い花の部分の棘先はみなきっちり刺し入れる。

 固定して毒送信。

 大蛇は暴れたがっているが『拘束』状態のためうまくいかないらしい。


 きっちり毒を入れ込んで……この感じアレに通じるものはあるかもしれない。

 きっちり出して自切!

 イバラを残して危険域を脱した。


 イバラはすぐ再生できる。

 再生に行動力を使うが大した問題はない。

 大蛇は……どうやらさすがに毒が回りだしたらしい。


 ひどく気分が悪いのか頭がフラついている。

 剣ゼロエネミーとのせめぎ合いで傷も多い。

 ……毒って普段は"峰打ち"みたいに死なないように加減も出来ないから使いにくいんだよね。


(いくぞ!)


 剣ゼロエネミーが節ごとに分かれ魔力線でつながる。

 なった形は長いツルギ。

 巨獣をも斬り裂く力!


(ガアッ!!)


 土魔力も開放して全力を首元に叩き込む!

 一瞬光が走り影が飛ばされ逆光。

 激しく噴き出す血の影を見た。

 ……正確には霧だろう。霧の魔物だから。


 それでも大蛇は耐えた。

 瞬時に癒着して生き延びている。

 これが生命力はまだあるというこの世界の常識。


 だから油断はせず……

 イバラを何本も束ねて巨大な塊に。

 そして……


「だああーっ!!」


 大きくふりまわしてフラついている大蛇の頭へ……横から叩きつける!!

 大蛇の最後の抵抗で差し込まれた尻尾を軽く弾き飛ばして頭へ重く響く!

 その長い身体が重りとなり思いっきり地面へと倒れ込んだ。


 そして今度こそ……動かない。

 勝った。激戦だ。

 あとは……


「みんな、慎重に!」


 15匹たちに声をかける。

 地上からこっちの地下を見下ろすみんな。

 棘をひっこめたイバラ……つまりツタのようなものを伸ばして15匹たちを次々巻く。


 高いところから地下へゆっくり引き寄せおろした。

 大蛇はまだ何とか息があるようだけれど毒と猛攻で頭をまともに起こすことも出来ない。

 15匹たちはまともにダメージが入りそうな剥げている部分に移動する。


 緩やかな反撃はあるものの15匹たちも油断しなければ楽に回避出来た。

 そして……一気に攻撃を行う。

 毒で灼けている内臓に追い打ちのように衝撃が叩き込まれ……


 大蛇はひと鳴きして尾から順に霧へと爆発四散した。


 トドメを彼らに行わせるのは……彼らを強くするためでもある。

 せっかく仲間になってくれたのだし活躍してほしいからね。

 実際道中数の暴力は非常に有効だった。


 それに……霧の魔物とはいえやはり未だに私はトドメを刺すということに抵抗が大きいのだろう。

 結局指示しているのだから変わらないのに。





 地上に戻るための木とツタでてきた道が生えてきたのでそこを伝って地上に戻り門の向こうへ行く。

 もはやこのぐらいで驚いたりはしない。

 このダンジョンはそういうところだ。


 奥には休めるスペースと恵みの泉それに宝箱。

 中には良さげな食糧や使えそうな道具類が入っていた。

 ありがたくもらっておこう。


 "進化"も解いてケンハリマに戻る。

 ふう。

 恵みの泉を飲むと生き返る気分だ!


 細かい傷とは言え泥だらけだし毛皮は傷むしそもそも傷というのは少しでも十分に痛い。

 生命力は治っても根本的に傷跡というのはこの恵み泉ではどうしようもない。

 聖魔法"トリートメント"で治……イテテテッ!


 治療痛も痛いがすぐにひいていく。

 傷そのものが治ったからだ。

 シバイヌがぺろぺろと舐めてくるのでボディランゲージでもう大丈夫だと伝える。


 まったくキュートな子らだぁ。

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