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六百二十八生目 螺旋

 海に満たされた15階。

 メモに従っていると底に沈む不自然な岩を見つけた。

 ズラされた跡もなんとか見えたのだが……


「うーん……どうやって潜ろう」


 私は魔法で水の上。

 下に沈んで岩をズラされた跡通りに押す必要があるのだが……

 嫌すぎる……!


 海に潜って深い底まで行き岩を押すだなんて……高等技術すぎるじゃないか!!

 死ぬぞ!!


「な、なんとか魔法であの岩押せないかな……? って……?」


 あれ。

 海で泳いだりのんびりしていた3匹が私の目先に集まっている。

 言語は通じないけれど……まさか。


「ええと……あの岩を、押してきてくれる? あっちに!」


 大きく身振り手振りを交えジェスチャーする。

 するとわかったのか否かわからないものの3匹とも水に潜っていった。

 陸上組5匹も興味深そうに集まってきた。


 3匹水中組はあっという間に潜ると岩を3匹がかりで押し出す。

 正しい方向に押される岩は思ったよりすんなりと動いた。

 そうして跡のついた端までしっかり動かすと……


「うん? この音は……」


 音の発生源を探ると水上が輝きだしている。

 渦の流れる音のようだ。

 あそこが次に向かう場所だ。

 いやあ……"指導者"がこんなところで役に立つだなんて!


 戻ってきた3匹の魔物たちに空魔法"ストレージ"に入れてある食糧をあげる。

 嬉しそうに食べていた。

 顔を見てもわからないがなんというか動きやにおいでなんとなく。


 光の方に歩いて行くと足元が動く。

 渦か!

 引っ張られるが落ち着いて。


 ふー……すー……

 うん。私は水の上。

 問題はない。


 足元とられて転ばないようにだけ気をつけつつ光の中心へ。

 もちろん渦の中心でもある。

 光は強烈で中に入ると真っ白で何も見えなくなり足元の感覚がなくなる。


 ……キモが冷えた!

 次の瞬間には床に立っていたのだが。

 続々と8匹たちもやってくる。


 心臓に悪いのでこういう演出は二度とやめてもらいたい。

 水の中に引き込まれるだなんて2度目はゴメンだ!!





 16階から19階は事故も起こらず無事20階へ!

 海水が流れヌメつく壁面。

 踏み込みに力が入りにくい砂地。


 そして埋まっている何か。

 その何かは私たちの侵入を感知するやいなや砂地から飛び出す!

 あたり1面に砂を飛び散らし"影の瞼"が発動して目に入るのはさけられた。


 砂埃に8匹……から10匹になったみんなが咳つく。

 そして現れたそれは……渦巻状の貝。

 だがあまりに大きく見上げるほどにある。


 貝の下側に開いた穴からうごめく本体は6本の太く硬質な足とともにはいでてくる。

 足先は鋭利な槍のようだ。

 本体からは2本の漆黒の触覚が生えている。


 つまりは飛び出した眼。

 何も映していないような黒い真珠。

 だが実際はその2つの黒真珠でこちらをじっくり見ているのだ。


「ヤドカリッ!」


 あのキュートな見た目もここまで大きかったら洒落にもならない!

 砂煙を上げてザクザクとうごめくヤドカリ。

 私は相手の周囲を旋回。


 10匹はまた控え場にひきこもっている。

 即死の可能性があるから特にね。

 ヤドカリは足をリズミカルに地に叩きつけている。


 そして突然グルリとこちらを振り向き脚を伸ばしてきた。

 思ったより長い!

 跳んで避けるとちょうどそこに鋭く重い脚が振り下ろされる。


 まさに槍の1突き。

 だがニンゲンサイズの質量ではないそれは砂を吹き飛ばすほど。

 間違いなく近くにいただけでも爆散した物が身体を叩く。


 脚は1本ではない。

 さらに別の脚が私めがけて振り下ろされる!

 幸い偏差攻撃はしてこないから狙った瞬間の場所に落ちてくる。


 わかりやすいから砂に足を取られないよう駆け回れば避けられる。

 ただ脚の攻撃は止むことがない。

 相手にとっては6本のうち1本を伸ばすだけで他の脚が伸ばしている間に前の脚は戻せばいいからね。


 キリがないし攻撃はだいたいわかった!

 とりあえず"フレイムボール"!

 灼熱の青い炎の玉が3つと3つ発生。


 "二重詠唱"の効果だ。

 炎の玉たちは高速でヤドカリの身体全体へと飛来していく。

 ヤドカリは急いで殻の中に入ろうとした。


 しかし1本の脚が"フレイムボール"に命中。

 炎の柱をたてて瞬時に消失した!

 悲鳴のようなきしむ音をたてて逃げることでなんとかそれ以上の被害を逃れる。


 渦巻状の貝に当たった炎の玉たちは不思議なことに明後日の方向へと弾かれた。

 燃えない?

 ああいう特殊な貝なのかな。


 だとすると本体が重要。

 さっき確かに1本は消し飛んだ。

 貝以外は固くないはず……うわっ!?


 水が触手のように魔法で作られ鞭のように振るわれた!

 なんとか跳んで避ける。

 空魔法"ストレージ"から剣ゼロエネミーを取り出す!


 ここからが本番だ!

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