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六百二十四生目 確認

 魔法扉をくぐり暗黒をこえた向こう。

 そこにはこれまた空間が広がっていた。

 先程の外観を全て無視したような四角く切り抜かれた地下空洞が前後につながっている。


 先程通ってきた場所だけ切り抜かれたように光をはなっている。

 おかえりはこちらということか。

 まだ帰る気はない。


 光魔法"ディテクション"で脳内マッピング。

 まだあまり音やにおいは拾えていないため広域はチェックできない。

 次はジャグナーたちを呼び出すために――


『ようこそお出でくださいました』

「っ!?」


 聞いていてもいざとなるとびっくりする。

 いきなり脳内に男性とも女性ともつかない声が響いた。

 これが噂の『声』……


『これは、自動的に流れますので、質問や苦情にはお答えできません。どうかそのことをご了承ください』


 なんとまあテンプレじみたことを……

 むしろ前世以外では聴かないセリフだけれど。

 今世初。


『霧のダンジョンへようこそ。このダンジョンは1人ずつ挑んでもらいます。50階層を踏破すれば、目的の場所までつけるでしょう。何らかの手段で出ると明日まで再入場できず、次の挑戦時は1階からとなります。その他細かいルールはその都度身を持って体感してください。それでは、スタートです!』


 頭の中の声が小気味笑いでフェードアウト。

 本当になんというか……

 ゲーム感覚だなあ。


 正直かなり怪しいしヘンだしこの力の出所は一体……

 相当な能力だと思うんだけれど。

 とりあえずさっき考えた通り喚び出してみよう。


 それからしばらくの間はウンウンうなりながら試し続けていたが結局どの方法もうんともすんとも言わなかった。

 それと外部連絡ができない。

 こりゃあ危険だ。

 他もろもろもやることやって……


 というわけで。


「事前決定通り帰るか!」


 実は今回攻略する気がまるでない。

 そりゃあこれだけ危険そうなものにさすがに未知で突破! はない。

 まず実地でできることを試したかっただけだ。


 できることは割と多かったができない制約がかなりポイント抑えてある。

 まず他者にワープ系を使うことはできない。

 自身に使って脱出は可能だろう。


 それと連絡系も全滅。

 道具なんかも駆使してみたがまるで手応えなし。

 それと……床を掘ってみた。


 軽くは掘れたが必要以上は掘れない。

 なぜかヌメッとかしたものに触ってしまって掘れなかった。

 なんというか手応えが無く滑っていくような奇妙なものだ。


 天井はジャンプしても届かないくらいだが思いっきり跳べば届くかな。

 届いても流石に天を掘る気はない。

 落盤が恐い。


 壁。これは意外にサクサク行けた。

 ただ疲れるからどうだろうか……次の場所までが分かっているならアリかな。

 それと龍脈は感じれる範囲にはないが"進化"までなら問題なくできた。


 これらのデータを持って入ってきたところを抜ける。

 景色が光で覆い尽くされ……

 気づいたら外に戻っていた。


「お、帰ってきたか」

「ただいま。予想はしていたけれど、喚び出しはできなかったよ」

「あー、やっぱか」


 ジャグナーやダカシはちゃんと待っていてくれた。

 少し経つとイタ吉も帰ってくる。

 ダンダラたちは今回もどこまでいけるかアタック中だ。


「どうだった? ダンジョンの方は」

「敵は問題ないな! ざっとやったが雑魚多かった! だけれども問題は罠だな。踏んだらいきなり飛ばされたり天井まで打ち上げられたり、それにワープしたり、実ってた果物食ってたら敵がたくさんきたり、ありゃきついぜ」

「前データから大きな変化はなさそうだね」


 イタ吉の実体験の感想は事前に聞いていた話と変わらなかった。

 普段パーティーを組んで戦うものや個別で戦うもので感想が違うだろうからどうかなーとは思っていた。

 冒険者の種類のひとつシーフと呼ばれるニンゲンの報告だと『罠は素直で解除は簡単。敵は数がいて辛い』ってものがあったかな。


 ともかく私の方の情報も共有した。

 背後の扉は閉じていて先ほどと同じ手順を踏んでも開かない。

 明日まで待つ必要があるわけだ。


 この近辺に龍脈あったら良いんだけれど……外界は少なめなんだよねえ。





 翌日。

 ダンダラたちは帰ってこない。

 調査がうまくいっている証拠だ。


「とにかく、あんたたちを呼んだように勇者様一行が来るまでにできる限り情報を集めたい。何度も挑んでデータを集めまくるんだ」

「うん。今日はしっかり準備したから大丈夫です!」


 実は私たちが呼ばれたのはもちろん腕は見込まれているがそれ以上に人海戦術のためだ。

 確かに分離され挑んでいる瞬間は単独の力だ。

 しかし何度も持ち帰ってきたデータはやがて巨大なデータとなり多くの答えを導き出す。


 最終的に勇者グレンくんたちに繋げるのが目標だが……私もやれるだけやらねば。

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