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六百二十ニ生目 遊戯

 蒼竜を信じる者たちの大都市。

 巨大な湖の中にあり人口爆発に合わせ高さのある建物だけでなく湖自体の拡張もあわせ街の範囲を増やしている。

 普通は埋め立てるのだが凍った湖をあえて増やすあたり宗教的な意味合いも強そうだ。


 近くの針葉樹林に隠れて……

 空魔法"サモンアーリー"!

 承認待ちで数分後。


 召喚を受けていつものメンツが揃った。

 元ニンゲンでたてがみのない大きな黒ライオンダカシ。

 尾が刃のイタチであるイタ吉。

 全身あちこちから頑強な岩が生えている熊であるジャグナー。


 以上私含め4名で向かう。

 みんなには魔物使いの魔物証。

 私は"変装"で普段のように2足歩行のホリハリー風にして着服。


「みんな、準備はできた?」

「ああ」「おうよ」「良いぞ」

「じゃあ、行こうか、キャンプへ」


 ……今回ここに来たのはもちろん魔力送信装置の破壊狙いだ。

 しかし本来は他の面々がここで戦い突破するつもりだった。

 そのための頭数も揃っている。


 それでも駄目だった理由は……





「改めて状況を説明する!」


 宗教の街近くにたてられた簡易拠点。

 つまりはキャンプの外で火に当たりながら私たちは久々に見る顔から経緯を聞いていた。

 ぶら下げた剣は私たち獣に対して異様な忌避感を覚えさせる。


 宝石剣ビーストソウルの持ち主であるダンダラだ。

 流しの剣士であり帝位継承権争い外らしいが一応第4王子と偉い人。

 周りには基本言っていないようだ。


「えー、まず俺たちは場所をここと断定。宗教の街トップに掛け合おうとしたものの絶妙に中間職っぽいやつにしか会えずにしかも何度行っても追い払われた。まあこれに関しては後から入った情報で理由はわかったんだけどな」

「人質……か」

「ああ、おそらくそうだろう。この街すべてを人質としている。神聖なる土地に100万人を超える人口。帝都を落とす戦力に飲まれたらと思うと表面上は従うフリをするしかない」


 ダカシがつぶやいた言葉にダンダラが肯定する。

 周囲にはダンダラのような剣士や私たちのような冒険者それに兵のなかでも単独行動できるエリートたちが複数人いるため形としては再度説明となっている。

 けれどイタ吉たちはちゃんと聞くのはほぼ初めてだから初歩的なことから言い直してくれているのだ。


「えー、でだ。俺たちは徐々に現地民たちの信頼を取り付け情報を集め貴重な魔力探知まで使い道のりを特定したまでは良かったんだ」

「貴重だったんだ……」

「普通のならそうでもないぞ? まあ剣士としてはちゃんと数を用意しておくのが大変で、魔法使いはズルいなあって思っているけどな……貴重なのはグレードがかなり高いものだ。暗号化がかなり複雑で、骨が折れたもんだ」


 軽く魔力の流れを追おうとしたら……確かに。

 他の街より『やり手』が隠している気がする。


「確か魔法も使える剣士だったよね、お前さん」

「え? ああ、まあうん。とっておきだけど」


 前ダンダラが魅了されたさいに戦ったが記憶は曖昧になってそういう記憶のされ方をしている。

 まあ好都合ではあった。


「えー、それでだ。場所を特定し、なだれ込んだら……こうなっていたわけだ」


 ボードに新しい資料が貼り付けられる。

 それは……何度も書こうとして書けなかった地図のような。

 複数人のものがあるがいずれ頓挫していた。


「なんだ、これ?」

「1つの居城を攻めたもの、というにはいささか地図がおかしいが?」

「そうだ熊くん。こいつは『おかしい』。みなが同じところに突入しのに全員がバラバラのところに到着。しかも探索した地図は探索するごとに無駄になる」

「超常現象ですね……」

「四角い廊下や部屋が永遠と続くんだ。さながら迷いの地下ダンジョンだな」


 まさにこれこそが頭を悩ませる原因だった。

 突破できないようになっているかもしくは永遠に出られなくされる可能性もある。

 情報は命あっての物種だから危険を感じる前に引き返しているわけだ。


「帰還用の糸を毎度使って帰るのが現実的な帰り方だが、普通に入ったところから出ることもできる。が、その日は再度入場できない」

「なんだそりゃ」

「それと……声だ。これは入ればすぐわかるが、ルールと煽りを入れてくる声が最初にどこからか聴こえてくる。不気味だぜ」

「ルール……?」


 イタ吉やジャグナーそれに私とダカシも頭にはてなを浮かべるのはもはや仕方ない。

 何せこの言い回しまるで……


「遊んでいるんだ、俺らでな」


 ダンダラが悔しさをにじませた口調で語った。





 私たちは宗教の街門前にやってきていた。

 迎えるのは遠くからでもはっきりとわかる偶像。

 『蒼竜』の像だ。


 もちろん本物のソレとは違う。

 宗教的な厳かさを保ちつつ父性的風格というものだろうか? とにかく厳しくも全てを受け入れるような竜の顔が飾られていた。

 青銅をまぜたりしているのか自然なカラーで青っぽい。


「さあ、行くぞ!」

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