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六百十八生目 報酬

 コッコクイーンからコカケロス自体を貰った。

 とりあえず処遇は向こうに決めてもらうとして事情を説明してから空魔法"ファストトラベル"で拘束したまま送った。

 うちの魔物たちは血の気の多い者も少なくないからああいう輩の扱いがうまい魔物も多いはずだ。うちの兄とか。


 場所はかわってキラーコッコたちから少し距離を置いた場所。

 コッコクイーンとプリンセス3羽そして私だけがこの場にいる。


「さて、改めて礼を言おう。本当に助かった! これで我が軍の将来は安泰だ!」

「それはどうも。こっちもこの森を落ち着かせられたみたいで良かったです」


 荒れていた森の様子も悪魔の力でかき乱された生態系も時間をかけて戻っていくだろう。

 少なくともコッコたちがこの森から消えることはなさそうだ。

 昔はキラーコッコたちにも悩まされていたが今ではこうしている。

 時代の流れはわからないものだ。


「落ち着いたところで改めてプリンセスたちについて話そう。彼女たちは私たちが命をかけて守らねばならぬ存在だ。将来はクイーンとなり1羽につき1つの軍を従えるからな」

「ならぬのだ〜!」

「プルプル!」

「なるほど……いずれ独り立ちするんですね」


 やはりコッコクイーンであることに間違いはないらしい。


「そのために私は他の卵さえ一切産まずにすべてプリンセスたちに注いできた。本当はもっと安泰している状況が長く続くと思っていたからな。それがこうなってしまったのだから笑えない」

「ま、ママは悪くない!」

「そうだね、これは読めないし……確かに悪くないよね」

「それでも、トップの立場というのは責任を負うものだ」


 プリンセスたちのよくわからないけれど言葉を追って行こうとするのがちょっと微笑ましい。


「……新たな卵を産んでいないということは、じゃあ今の戦いで減るキラーコッコたちは……」

「そうだ。プリンセスがクイーンになるまで我が軍は兵を産み増やすことそのものができないのに他のクイーンが落ちたというのは非常に最悪だった。この森にいる兵たちの総数そのものが減るからな」


 確か前聞いたコッコたちの生態は……

 クイーンがキラーコッコを産んでおとなになる頃に群れを追い出される。

 そしてしばらくははぐれコッコとして暮らしエリートになれば親元ではないクイーンの元にスカウトされるという仕組みだったはずだ。


 つまり他のクイーンがいない……他のエリートはぐれコッコがいないというのはこの軍の増強ができないという状況。

 また訓練兵時代のコッコたちも今さっきみたいな最悪な時は立派な戦力となる。

 だから自身が産め育てれる時期じゃないのも最悪状況に加算をしていたわけだ。


「他の散った軍の残兵たちに声はかけなかったのですか?」

「スカウトか。新規ならともかく途中の場合そもそも前のクイーンを引きずっていて非常に士気が低くしばらくは使い物にならないことが多くてな……それだけではなく、断られやすい。また雇いたいエリートはすでにクイーンを守る盾となって散っている事が少なくない。さらに森の中広くバラバラになっていて、こちらが動くわけにはいかない状況では、探しに行くのには博打すぎた」

「ああ、なるほど……」


 理由を聞いて納得した。

 確かにあの状況でスカウト部隊を編制して出す余裕はまったくないな。

 間違いなく道中コカトリスに襲われ死ぬ。


「それで、追加の報酬だが……そのローズオーラ殿の群れはかなりの広さがあると聞いたが……」

「え? うん、確かにかなりまだかなりの開け地があるよ。それが一体……?」

「なら話が速い。将来プリンセスがクイーンとなるさいに、1羽そちらへ行かせ軍を作る。貴君の私有兵として自由に使ってやってくれ!」

「「ええーっ!?」」


 驚きの声は4つ。

 私とプリンセスたちだった。


「きいてなーい!」

「しらなーい!」

「プルプル?」

「絶対持て余しますよ!?」


 何せコッコたちはいるだけで不快音をひたすら撒き散らす。

 コッコたち以外での協調性ができない種族なのだ。


「だが、報告は入っているぞ。はぐれコッコたちを寄せ集めているのはお前だろう? アイツらは普通集まることは無いからな。奴らにもクイーンが必要で、将来のクイーンには兵が必要。違うか?」

「あっ、そういえば……」


 すべて終わったつもりだったが頭の片隅に覚えていた事が掘り返される。

 彼らも一応集めていたんだ。

 当初は何か援助したりコッコクイーンから話を聞いて適切処置するなりすればいいと思ったが……





 そこにははぐれコッコたちがたくさん……それも本当にたくさんいた。

 数十羽程度ではなく100は越えている。

 それらが互いになんとも言えない緊張した空気の中みな籠の中に入り待っていた。


 臨戦態勢は解かずかといって何をするでもない。

 怯えと諦めが入り混じった空気だ。

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