六百十六生目 逆転
とりあえずコカトリス5羽を倒した。
蛇の部分と闘鶏部分がつながっているということは片方殴られればもう片方にも痛みが入る。
殴ったのは蛇部分のみでちぎれるかというほど叩いた影響で闘鶏部分もノックダウンだ。
そして用意してあった光魔法"ヒーリングラージ"!
敵味方指定するのは55羽もいると難しいからまとめて行う!
"無敵"も同時にかけておこう。互いに熱が頭に登りやすいみたいだから落ち着かせなければ。
「あ……き、奇跡だ」
「勝った……のか?」
「混乱しているところごめん! コッコクイーンの援護と倒れているコッコたちの救援よろしく! まだコカトリスたちの気配があるから私はそっちを!」
どこか唖然としているキラーコッコたちへ声をかける。
気絶しているコカトリスたちは今しっかり施している"無敵"によって戦意はガタ落ちする。
放置して起きた時にはほうほうに逃げ出すだろう。
これはもう散々やったことだからね。
「あ、ああ! そうだ!」
「クイーンとプリンセスを御守りしなくては!」
「おいしっかりしろ! まだ仕事は残っているぞ!」
「うぐぐ……ここは……天界の戦場……ではなさそうだな」
悪いが本格的な治療や石化を治しているヒマはない。
すぐに次の場所へと駆けた。
ここは……複数箇所でコカトリスたちがキラーコッコによって閉じ込められていた。
例の大きな鳥籠閉じ込め作戦だ。
ただどっちが優勢かと言われれば……
「た、隊長! もう持ちません!」
「うぐぬ……それでもやるのだ! 籠の維持を!」
「はぁ……はぁ……まだこいつらたおれないのか!?」
「くそっ、また1羽エネルギー不足で倒れた!」
……キラーコッコたちが不利だ。
「クッ、どうしたどうした! その程度か!」
「おらっ! 早く出せっ!!」
傷を負いながらもコカトリスたちの方が断然有利。
捕らえるには捕らえたものの火力担当が相手するには多すぎるようだ。
「任せて!」
「救援!? ……きゅう、えん?」
さっきと同じようなリアクションは置いといて。
"針操作"!
頭の鎧から多くの針を生み出し籠のスキマから真っ直ぐ飛ばしまくる!
速度の乗った針がコカトリスへと向かい……
「なあっあだだだだだ!! ぐおぉ……」
まず1体仕留めた。
それを見たキラーコッコたちはわきたちコカトリスたちはさっきまでの威勢がなりをひそめる。
「お、おお!! 凄まじい!」
「よし! これなら押し切れるぞ!」
「な、なんだ……あんなの聞いてねえぞ」
「話が違うぞコカケロスー!!」
そのコカケロスはもう討ったんだけれどね!
2体目!
こうして私はあっちへ行っては針を飛ばし……
そのあとみんなを治療し……
コカトリスたちから戦意を奪って……
さらに次のコカトリスたちを蹴ったり斬ったりしつつ……
こうしてコカトリスたちをやっと撃退するまでに多くの時間を費やした。
再び集合し本格的な治療を行うが帰ってこなかったキラーコッコも少なくない。
それでもキラーコッコたちは猛攻を生き延びたと勝どきを上げていた。
「我々は、勝ったぞ!!」
「「おおー!!」」
それは戦死者への弔いの意味もあるとコッコクイーンが教えてくれた。
そして私はコッコクイーンの宴が終わる前に……
彼らの前にとある物を運んできた。
こういう時"ゲートポータル"は大事だね。
簡単に2つの区間を行き来できるから楽にコカケロスの巨体を運べた。
というか1つめの穴に落としてその穴とリンクしているコッコ側の穴から出現させただけだ。
「う、ぐぐぐ……」
「おお、こ、これが……」
「敵の軍将……」
コッコたちがざわめきだす。
コカケロスは拘束の他に目隠しもしているため石化睨みはできない。
コッコクイーンが私の横に立った。
「よくやってくれた。私の期待以上の働きを見せてくれた。後で報酬は話そう」
「殺してくれ、じゃなくて鎮めてくれ、だったものね。それに私がそこまで深入りするのは、今度は逆方向に生態バランスが崩れるから」
「生態ばら……? まあ、ともかくよくやった」
コッコクイーンは私の前へ行きキラーコッコたちの前に躍り出る。
後ろにプリンセスたちもついてきていた。
ちなみに"観察"したところ『コッコクイーン』と出た。
つまり彼女らは大人になると1つのコッコ軍を率いるクイーンとなるわけだ。
「よくやった! ほめてつかわす〜!」
「チョ〜シにのらないでよね!」
「プルプル」
赤と青と黄色の信号カラー3羽が通り際に私のことを褒めて? くれた。
ちなみに黄色はいわゆる自然のひよこ色ではなく何か塗ったかのような着色カラーの真っ黄色だ。
目にまぶしい。
コッコクイーンが前に出てきたということでキラーコッコたちのざわめきが静まる。