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六百十四生目 寸出

 空から降りてきた謎の極彩色の美しい声を持つ鳥。

 それが告げたのはキラーコッコの群れがコカトリスたちに襲われているということだった。


「探すのに少し時間をくった。急いでくれ!」

「くっ……くっくっくっくっ……」


 苦しげなそして愉快そうな声が私たち以外から響く。

 私たち以外にここにいるのは……

 コカケロスだけだ。


 5つの頭のうち闘鶏部分のひとつだけ頭が持ち上がる。


「や……やつら、純正なコカトリスは、言うことは聴かないが……ノセてやればすぐに動いたら……これでキラーコッコどももおしまいさ……」

「……なんていってたんだ?」

「あー、わからないほうがいいよ」


 私という通訳を介さないとコカトリス語はわからないだろうからね。

 それにしてもやはり悪魔産じゃないコカトリスたちもたくさんいるのか……

 それだとこの鳥の唄も効かないだろう。


 言うだけ言ってコカケロスは目を回しついに倒れた。

 "無敵""ヒーリング"をかけつつふんじばっておこう。

 そして空魔法"ファストトラベル"を準備。


「どうだ、いけそうか?」

「うん、一緒に行こう!」

「……ああそうだ、吾輩の声は他種族にはどう聴こえているのだ? あまりキラー……げふん、仲間たちには評判が良くなくてな」


 ……実はさっきから会話に使っている言語はコッコ語。

 "観察"したら彼がキラーコッコの"進化"体だとわかった時は驚いたが納得もした。

 なのでまあキラーコッコの仲間なのはわかっているけれど隠したいらしいから仕方ない。バレバレだけど。


 やはりキラーコッコの間ではこのきらめいた声は不評なのだろうか。

 キラーコッコたちの本来の声……私からするとあらゆる不快音を混ぜて大音量にさせているようなものだからなあ。

 魔法防御ないととても厳しいが彼ら自体はとうぜん平気だし美しく聴こえると前聞いた。


「キミの声……とってもよかったよ!」

「そ、そうか!」

「それじゃあ魔法発動するから触ってて!」

「ふ、ふふふ。っとと、分かった」


 そして私たちの姿が消える。

 ……森の魔物あたりの気配が近くの物陰から見ていたようだけど少し騒がしかったかな?





 私たちが"ファストトラベル"で向かいたどり着いたキラーコッコたちの住処は……かなりのひどいありさまだった。

 急いでふた手に別れて対処にあたることにした。

 まず鼻につくのは圧倒的に血のにおいだ。


 あたり一面に羽根が舞いキラーコッコたちの鳥籠が高速で飛び交う。

 私はクイーンの気配を特定してその近くへ飛び出した!


「くっ……やらせは……」

「おい、こいつ石化しているのに鳴けるのかよ……」

「誰から行く? どちらにせよあとはなぶっちまえば終わりだ」

「後ろのヤツらはデザートだな! 卵がないのは残念だが……うん!?」


 コカトリスたちだ。

 数は3。今は全身大型鎧状態ではないが……多分大丈夫。

 真っ先に気づいたやつに"近接攻撃"を仕掛ける!


「このっ! っがあっ!?」


 今は相手の方が大きい影響で上段から嘴が振り下ろされるがこっちのほうが早く潜り込んで……サマーソルトキック!

 つまりとんぼ返りキック。

 コカトリス自身の勢いもあって強打が入る!


 見事に吹き飛んだコカトリスを横目に驚いた顔でこちらを見るコカトリス2羽。

 こっちが休まず駆け出すと慌てて石化睨み。

 "影の瞼"と"戦場の獣"効果で無効化!


「止まらなっ――」


 思いっきり跳んで重さを活かして突撃!

 (エフェクト)を纏った1撃は相手の身体をへこませるほどに強く当たりそして吹き飛ぶ。

 最後の相手が足元蹴り込んで来たのを跳んでかわして……


 回って地についた瞬間とんで後ろ足蹴り!


「ぐほぅ……」


 ドサリと倒れ込む。

 ふぅ。なんとか間に合った……

 クイーンの方を見ると翼を広げたまま固まっている。


「すまない、助かった。すまないがついでに石化も解いてくれないだろうか……」

「わかりました!」





 クイーンの石化を光魔法で解いた。


[リフレッシュ 能力悪化、死亡などを除く多くの悪化状態を魔法と悪化状態の対抗で成功すれば回復できる]


 なんとなく最後の光魔法のうちのひとつな気がする。もうひとつある。

 つまりこの魔法は魔法の強さと相手の悪い状態どちらが強いかで成功か失敗が決まる。

 毒に対して適切量の解毒剤がいるみたいな話だね。


 クイーンが守っていたものは先程の話からも分かる通り卵ではなかった。

 ちらちらと垣間見えるものは……かわいい。


「助かった、礼を言う。それでなのだが……」


 私も向こうも互いに気にしているフシを察してクイーンが退く。

 ただ相手はこわいのかクイーンの背後に回り込み半身だけでこちらを覗いた。

 ……3羽並んで。


「……紹介する。プリンセスたちだ」

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