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六百七生目 蛇鶏

 キラーコッコの偵察が索敵に成功し天敵を見つけた。

 しかしそれは同時にこの後襲われるということも示している。


「真っ直ぐ頭と右翼の間から接近中! 数は1!」

「来るのか!? ヤツが!」

「我らが最後の砦が……」「俺も死んでやつも殺す」「もうおしまいだあ!」「叫ぶしか無い!」


 さっきまで理路整然と並んでいたキラーコッコたちがざわめきだす。

 まさに世の終わりを告げられたようで――


「落ち着けッ!! 訓練どおりに動け!」

「「り、了解!」」


 一瞬にしてまた整えられた空間が戻った。

 美しいほどに流れるように動いてる。

 コッコクイーンが抑えきれない焦りが見えたのを私は見逃さなかった。





 私は今回見学となった。

 見学といってもこの一回で出来うる限り情報を集めなくてはならない。

 事前情報が正しければ今回の相手はキラーコッコたちが締め上げるのに苦戦はしないだろうとのこと。


「良いか、ヤツは我々と違って目に特徴がある。見られるな。見られたら死ぬと思え」

「ええっ」


 条件が厳しい……

 私はコッコクイーンとともに高めの場所に隠れている。

 見られたら終わりってホラー映画みたいだ。


 一体どんな猛攻をするタイプなのだろうか。

 想像するだに恐ろしい。

 先手を取れたため陣形形成に成功。


 位置についたキラーコッコたちを横目に接近してくる足音に視線を向ける。

 その姿は……鶏だった。

 いや本当に鶏だ。マジか。


 ただキラーコッコたちは白色レグホンなのに対して相手の鶏は闘鶏。

 非常に気性の荒い鶏なのは知っているが……ってそれだけじゃない!

 尾が蛇だ!


 蛇の頭が尾先であちこち見て回っている。

 あれはまずい。私の知識が当たりなら蛇のピット器官とかいうやつで赤外線を探知しているはずだ。

 コッコたちの霊体化や木の向こうに隠れても赤外線は防げない。


 それをやはり何度か交えた経験からか理解しているらしく正面に10匹ほど待ち構えていてた。

 キラーコッコの鳥かごを蛇が見て蛇のかわりに闘鶏が鳴く。


「コケァアアアァッ!!」


[コカトリス Lv.20 比較:まあまあ弱い]

[コカトリス 3つの頭はそれぞれに意志があり役割分担している。また睨みつけることで相手の自由を奪える。群れ無いかわりに3つの思考で生き抜くのだ]


 頭が3つ!? ……本当だ大きな闘鶏の身体の影にいる。

 きっちり背後警戒しているらしい。

 あれは厄介だ。


「ヤツは他の軍を落としたことで調子づいているようだ……だがここは他とは違う。我々は負けて強くなった。特殊訓練の成果を今見せる時だ」


 コカトリスを隠れながら見つめるコッコクイーン。

 そのつぶやきは自分に対して言い聞かせているようにも聞こえた。


 先手はもちろんキラーコッコ側から。 吠えているコカトリスに向かって10羽が一斉に魔法を放つ!

 影で出来た玉や影から伸びるかぎ爪が襲いかかる!


 それを見てコカトリスが顔をしかめた。

 ……"見透す目"!

 心理は……なるほど言葉がわからないので雰囲気だけだがどうやら行動に失敗した事にイラッときたらしい。


 おそらくは何か別の行動を誘いたかったのだろう。

 キラーコッコたちが普通やるものといえば……音波攻撃か!

 そういえばキラーコッコたち10羽が騒いでもコカトリスは何ら微動だにしていない。


 おそらくは音の耐性……いや無効持ちだろう。

 天敵と言われるだけある。

 放たれた魔法は跳んで回避しつつ"防御"してダメージ軽減。


 ドカドカと魔法は飛んだもののある程度拡散して撃っていたため多くは当たっていない。

 ただその代わり確実に少しは入った。

 ……あまりきいてなさそうなあたり霊魔法にも少し強そうだ。


 そして土煙からのがれたコカトリス野瞳が輝く。

 前方にいた1羽のキラーコッコが急に霊体化が解け苦しみながらそのままピクリとも動かなくなってしまった。

 "観察"!


[キラーコッコ 状態変化:石化]

[石化 肉体が硬直して一切動けなくなる。また身体がもろくなってしまう]


 石化! 神話生物のと同じじゃないか。

 効果がエグすぎる。確実に避けたい。


 1羽落ちたものの脇目も振らずキラーコッコたちは立ち向かう。

 コカトリスのサイズはあくまでキラーコッコたちより大きいぐらい。

 尾の蛇も細く丸呑みもできないから接近しても平気という判断か。


 それでもあの目は危険だ。

 キラーコッコが籠で闘鶏部分を殴れば尾の蛇が睨んで落とす。

 背後から尾の蛇に対して籠の足がひっかけば闘鶏が睨んで石化。

 それと単純に1対多に長けている様子。


 3方向の視線は常時別の脳で処理され同じ身体を通じて動く。

 つまりコカトリスは1体で3体分の動きができる。

 しかも息はバッチリだ。


 気づいたら残り5羽しか残っていない…

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