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五百九十三生目 一刀

 決闘をしかけられ決闘場で決闘が始まった!

 私は早速抜剣し距離を詰めるために倒れ込むように足を踏み出す。

 相手の獲物は……半月剣(シャムシール)二振り。


 両手2刀。幅広かつしっかり曲線を描いたシャムシールだ。

 下段に構え剣同士を打ち鳴らし威嚇するかのような金属音。

 ……相手も駆け出した!


 細かく何歩も刻んで走り接近。

 私のほうが早かった影響で向こうよりのフィールドでぶつかる!

 武器の近接戦闘はその使い手がどの範囲から互いに迎撃できるか見極めるのが大事。


 さすがにニンゲンのプロ兵士で武の街でも高い実力を持つらしい彼が自身のリーチを理解していないわけがない。

 つまり正確に彼の張っている範囲……制空圏内に迂闊に飛び込めばそのまま迎撃されるのが目に見えている。

 "止眼"!


 こういうのは最近よく鍛えている。

 手での振りも鍛えていて良かった!

 私のリーチも感覚的に捉える。


 今おそらく互いが瞬間的に迎撃できる範囲がぎりぎりかぶっていない。

 つまりここからの足運びが重要。

 剣士は剣の振りそのものよりも自分と相手の腰から下に意識を向けるのが大事……とリビングアーマーも言っていた。


 獲物や腕それに目はちゃんと戦っている者ならば意識せずとも見てしまう。

 だから余計にしっかり意識を傾ける必要があるのが下半身。

 やつはどう動く? それを未来予測して組み立てなくては。


 "止眼"解除! 少しだけだが流れが見えた。


 互いの武器が(エフェクト)をまとい出す。

 わずかな時間の流れがとても長い。

 どう踏み込むか。


 両手で持つとリーチが下がるので片手で持っているが簡単に踏み込める範囲にまでは届かない。

 互いのリーチである円が衝突し重なり合いだす。

 まだ互いに手は出さない。


 入った瞬間に動けばそれはそれでカウンターが決められるかもしれない。

 そういう事故を私はなくしていかねば。

 今回の戦いも負けるわけにはいかないしね


 制空圏が完全にクロスして私と相手どちらももう少しで互いの範囲内に入る。

 相手が動いた!

 足運び……わずかな重心変化……予測される動きは。


(こうだな!)


 ドライが持ち前の近接戦闘センスで私より速く攻撃のルートを見きった。

 多重のフェイント予測線を無視した2本の本命。

 剣の土魔力解放! 力を込め……上段!


 ドライの補助でこちらも多数のフェイントを予測させるのに成功しているらしい。

 向こうは本命のままの軌道で来る。

 下から顔に向けての何らかの武技での一撃!


 そして私はそれにかち合うように振り下ろす!

 相手の緊張と高揚ゆえの笑顔が透視しなくても見えるようなにおいと声。

 大きく。強く。踏み込んで!


 剣が剣に刺さる。


 相手はこの事態に気づくのはコンマ何秒後か。

 私の上段振り下ろしの横斜め斬りで自慢のシャムシールが徐々に斬られているということに。

 刃と刃がかち合って欠けるでもなく斬られているという異常に!


 上に投げた物がほんの一時で下に落ちることを予測するように。

 生き物……特にニンゲンクラスの知能なら蓄積で未来を予知できる。

 予知とは今までの経験積み重ねからなる高度な予測だ。


 だからこそ……ニンゲンは。そして私のような魔物なんかも。

 全くの新しいことに出くわすとそれのただしい未来予知が出来ない。

 まっすぐ投げたボールがどの軌道をとって弾み自分の元へ向かってくるか理解している状態で……


 いきなり加速しながら明後日の方向へ跳んだらそりゃあ驚くだろう。

 刃が半分ほどまで侵入して疑問符と感嘆符が相手の口から漏れる。

 コンマウン秒の世界。


 そして……貫く!

 2つのシャムシールで受け止めていたはずなのに理不尽なほどに真っ二つ。

 むしろシャムシール側が切り払っていてもおかしくなかったが関係なく斬り伏せる。


 これが剣ゼロエネミー本来の力か……!

 凄まじいな。

 そしてそのまま相手の首にむかう刃は行く先を見失う。


 もちろんニンゲンにあたるさいは"峰打ち"を起動する予定だったが……想像より機敏だった。

 すぐに屈み剣から手を離して転がって軌道上から逃れたらしい。

 素早い身のこなしだ。


 距離を取るなり投げナイフ3本!

 目と首それに腹。

 正確にちゃんと行動力を消費して投げたらしい。


 とっさの動きなのに機敏なのはまさに慣れか。

 経験をしっかり積んで……逆に2足歩行型に慣れていない私を襲う。

 なんで2足型ってのはこんなに的が大きいのか!


 相手に対して面がでかすぎる!

 かっこよく切り捨てられれば良いが今そんな技術ないし振りかぶった後だからムリ!

 ドライ!


(おらよ!)


 ドライが瞬間的に肉体を制御して身をそらす。

 つまり相手に対して真横に見せる。

 なるほどこれなら相手から見た面が狭くなる!


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