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五百九十一生目 嫉妬

「トロフィーは私がグレンくんの家に届けるよ」

「うん、ありがとう!」


 砂漠の迷宮大会が終わり武の街へ戻った。

 私はこっそり空魔法"ストレージ"を発動して受け取ったトロフィーをしまう。

 今あくまで私は剣士として見られる必要があるからだ。


 大半の品は大会運営持ちで売り払った。

 が。優勝の決め手であるテテフフライト。

 これは買取不可……というより大会予算を全て使っても買えないということだったのでもてあますことに。


 これどうしようかな……原石のままだとどちらにせよ使いみちは鑑賞くらいしかない。

 ただ魔術媒体になるというのは気になるなぁ。


「後はこの金で、グレン君の装備買って、パパっと打ち上げしよう!」

「オウカさん、全部飲まないでくださいよ……」

「ようし! 祝杯の一杯でも上げるか!」


 オウカにゴウそれとダンが景気良さげな声で喜ぶ。

 ちなみに副賞は砂漠の迷宮1年間出入り自由権とのちにオウケン上級王への謁見と直接品の授与。

 オウケン上級王にはすでに会っているのでともかくとして砂漠の迷宮に堂々入れるのは良い。


 あとでアノニマルース冒険組合に話を通して直接"ファストトラベル"で行けるようにしとこう。

 そこまで厳しい縛りはないらしいのでまあ……許され……うーん……許して?

 黙認してもらおう。


「……で、どうします? あれは」

「そうだねぇ……正直飲んだあとは危ないし……」

「ん? 何のこと?」


 グレンくんだけはあまり察していない。

 グレンくんスキル選択や力の伸ばし方がかなりのうき……前衛パワータイプだからなあ。


「ん? 買い出しの話か?」


 あ。もうひとりいた。ダンが。

 前衛パワータイプは引き付けさせる役割が強いのであって探る必要は薄いからね。

 そうなるよね。向こうから来るのだから。


「……正確な位置は?」


 小声でつぶやく。

 私は把握できているためうなずく。

 この場は私に任せてもらって大丈夫というやつだ。


 一応"絶対感知"もしたけれど……そこまで隠蔽率が高い隠れ方はしていなかった。

 そもそも式典のときにも不機嫌さが隠れきれていなかった。

 そして今こちらの動きに不審を抱いている。


 なので素早く。

 剣ゼロエネミーの取っ手に手を回しつつ駆ける!

 うんあんまりこの"変装"状態じゃあ速くない!


 とは言っても全力で走ればまあまあなんとか!

 当然向こうも反応して引こうとする。

 が。道は光魔法"ディテクション"で脳内マッピング済み!


 先回りして隠れていたひとりに追いつく!


「なっ!」

「何か用でした? お仲間含めて」

「ぐっ、コイツ……!」


 ひとりが先回りされて観念したらしく全員がぞろぞろと出てくる。

 ただしみな統一されたフルフェイスな防具を頭に着て。

 なるほど見た目にはダレがダレだか。


 だけどまあにおいは全く隠せていないからバレバレだ。


「あんなお宝、我々が長年砂漠で探索し優勝してきたというのに、見たことはない!」

「不正だろう……? 『盗掘者』どもが」

「本当は証拠を掴みたかったが……直接調べさせてもらおう!」


 言いたい放題言ったあとにひとりが短剣を抜き取り私との間に投げる。

 床に短剣が転がった。

 これは……?


 あと彼らは歴代で優勝を複数とげたチームっぽいなあ。

 まああの砂漠で平然と危険エリアに足を踏み入れ続けている時点で手練だよね。

 色々と傷ついたのはなんとなくわかるけれど。


 私が短剣を目で追うだけで動かないところを見て皆が一斉にあざ笑う。


「なるほど! しかもこの街のルールすら知らないと来た!」

「これは傑作だ!」

「見たことはないと思ったが外部の奴らだったか! 余計に不正だとしか思えんな!」

「良いだろう。教えてやろう。この街では正しい決闘の行い方と受け方がある。ナイフを投げ床に置くのが仕掛ける時、ナイフを拾えば合意だ。決闘場で正式な試合をして誓いがあれば勝敗決定時に魔術的拘束で誓いを守らせる」

「こちらに受けるメリットがない」

「ふん……飲み込みは早いか。まあいい。お前が万一勝てば疑いを止め謝罪し、何でも言うことをひとつ聞いてやろう。だが……こちらが勝てばお前らの犯した罪を洗いざらい吐いてその罪によって! 1位の座から退いてもらおうか!」


 ふむ……こちらが不正していないのは確定しているからメリットしかない……だけれども。

 ユウレンの言葉が脳裏をよぎる。

 この国でも街でもなかったが決闘でハメられたと。


 相手は私が見せている気配の弱さやこっちの面々が普段の場では強そうな気配の殆どを霧散させていることで気が大きくなっているらしい。

 おそらく普段の兵として働くときも力を見せつけるように気配を発したままなのだろう。

 ふむ……



「……公平なジャッジをつけて試合にする。それで良いね?」

「……当然!」

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