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五百八十五生目 目的

 ミミミツが蝶嵐を引き付けてくれた。

 しかしミミミツは血煙にならず蝶にたかられていた。

 確かミミミツは全身が甘いミツで覆われているんだっけ。


 そして蝶はだいたい甘いミツを求めるもの……まさか。


「ぶ、無事、なの!?」

「もちろん! 僕は蝶嵐には襲われない。かわりに僕のミツを提供するんだ」

「共生関係ってやつなのか……」

「うん? たぶんそう」


 グレンくんの心配そうな声にあっけらかんと答えるミミミツ。

 なるほど……ミミミツは蝶嵐という最高の武器を手に入れ蝶たちは砂漠で貴重なミツを楽に手に入れられると。

 この砂漠で生き抜く手段としてすごく優秀なのだろう。


「あ! 近づかないほうが良いよ! 僕がコントロールしているわけじゃあないから、僕に蝶たちが夢中な間に走り抜けて!」

「わ、わかった!」

「協力感謝します」


 ゴウも挨拶しつつ"変装"でニンゲン型にになりカルクックに乗り込み一気に駆け抜ける!

 ついでに……"観察"


[テテフフ 非常に美しいピンクの羽を持つ蝶。宝石と同じ価値があるとニンゲンたちから思われている。しかし羽裏の地味な部分はやすりのようになっており、とおりがかりに削りとる]


 なるほど……蝶嵐の力はそれか。

 大量に嵐のように襲いかかり削り取り食い荒らし1つの大きな生物のように飲み込む。

 そして血煙しか残らないのだ。


 おぞましい……!

 そしてそれに戯れているミミミツが途端に輝いて見えた。

 私達はそそくさとその場を離れる。





 谷のさらに奥。

 ちょうど蝶たちが広く生息していたそのなか。

 不自然に地下へと続く道が隠されていた。


「ニンゲンが見ればすぐわかる程度の偽装で、かつ封じてある地下への道……しかも岩盤を掘っている」

「明らかにニンゲンの工作だね。ちょうどカルクックも入れる。行こう!」


 ゴウがブービートラップの検査をしてクリア。

 オウカの指示でみんなして地下へと潜り込んだ。

 そこからしばらくは薄暗いだけで特徴のない無骨な地下道が続く。


 ただ……それはおかしいのだ。

 岩盤の下なのに明るさがあるということは人為的にあかりがあるということ。

 魔法光ランプが設置されていた。


「魔力の線は?」

「まだこの下に続いています」


 私が検査結果を告げるとみな「やはり」といいたげな表情。

 この先に目的のもの。

 結界に魔力を送信している器械があるということだ。





 しばらく黙々と進むと部屋にたどり着く。

 私達のほかにカルクックがいた。

 簡易的な烏骨鶏(カルクック)小屋……ということはやはり。


「先客がいますね。警戒を」


 ゴウの静かな言葉にみな武器を抜く。

 私ももちろん剣ゼロエネミーを構えた。

 かわりにカルクックからは降りてここにつないでおく。


「じゃあ〜休んどくから。なんかしらんが、帰るときは置いてかないでくれ〜」

「うん、もちろん」


 この先は扉があるだけ。

 ニンゲンが通れるサイズのみ。

 うーん『ネオハリー』になっておきたいけれど条件がととのっていない。


 ネオハリーへの"進化"はわずかながら龍脈の力を必要とする。

 龍脈がわずかに霧状に噴出している龍穴や龍脈の流れがある場所が見つかれば……

 "絶対感知"!


(あ! これって……!)


 でかしたアインス!

 場所的に……先に進んでからどうにかするしかない。

 みんなを見渡してうなずき先へと歩みを進めることにした。


 扉を開き……一気に乗り込む!

 その私達を出迎えたのは。





「ハハハ……! 実に素晴らしいッ! 見ていたが、見事な手際だッ!」


 見事な弁髪をした豪快なおじいさんだった。

 傍らにはローブを着込んだニンゲンと水晶玉。

 水晶玉には外の景色が映っている……


 ゴウが弓を背負い直し膝をつく。

 頭を下げるその姿は王への謁見。


「オウケン様!」

「オウケン上級王!?」


 オウカが驚き慌てて武器をしまう。

 なるほど……なんとなくわかった。

 この街にいる上級王様か!


 私達も武器をしまい膝を折ろうと――


「良いッ! 許すッ! 面を上げ、立って話せ。武人としてもてなそうッ!」

「ありがとうございます」


 今度はスッとゴウとオウカが立ち上がる。

 さすがに慣れているようだ。

 私達も後に続く。


「貴殿らの目的は分かっておるッ! これだろッ?」


 上級王オウケンが手を上げると背後に光が灯る。

 奥の部屋に魔力送信装置が見えた。

 控えている人物もいるようだ。


「……そうです」

「最近あまり外の情報が入ってこないからなッ、どうなっているかと思っていたが……ウォンレイ王の印を持つものが来たと聴いてッ、もしやと思ったわッ!」

「はい。私達がウォンレイ王の使いですよ」


 オウカが懐からウォンレイ王の紋章が刻まれた指輪を取り出す。

 それを見て上級王オウケンは強くうなずいた。

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