五百六十生目 貫通
ポロニアとポロニア分身が3重結界したあとに全力のビームを射出。
こっちは剣ゼロエネミーを足して天から逆さを向きビームを射出。
さらに蒼竜の加護で強力になったものの……強すぎて私が吹き飛ぶわあっ!!
まずい! ビームが太くなりさらに強力になったがこのままじゃあ吹き飛ぶ!
足側に射出する魔力ビームを増してアインスの加速をフルスロットル!
身体が砕け散るかと思うほどの反動。
地上の走りで例えるなら後先考えない短距離全力疾走!
これで……やっとバランスが取れた!
ゼンリョク全開で……放つ!
「やあああああぁ!!」
ポロニアのビームを飲み込み向こうへ押し切る!
だが3重の結界ひとつめに阻まれる。
突き破らなくちゃ……耐えきられる!
「諦めよ! 何も『お前』は……できん!」
「私ひとりでは出来なくとも……私とみんなとなら!」
ヒビが入り耳心地よい音と共に割れる。
ポロニアのいる地面が大きく割れる!
あれならあまり踏ん張れない!
……2つめに衝突!
「赦されん! 『お前』は無知を矛に世界から多くを奪った!」
「赦されなくても! 赦せなくても! 未来に向かって進まなきゃ、ただいじけているだけじゃあ、何も変わらない!」
2枚目にヒビが入って……割れる。
キツイ。もう息もうまく取り込めない。
それでも!
3枚目の結界に衝突と共にポロニアのいる地面が耐えきれず大きく陥没!
不安定が増す……地面も。心も。
「お前は……『お前』は……認められるのか? こんなヤツを……」
「認められたいのなら……まず自分を認めなきゃ! みんな、ただ生きているだけで、存在して! 良いんだから!!」
3枚目にヒビが入って……
「……『ポロニア自身』も! おおおおおりやあああぁぁ!!」
貫く。
何もかもを貫き通す。
"峰打ち"と説得のための"無敵"も加え私の刃は無残にも全てを貫いた……!
「ぐおおおおあああああああっ!!」
「終わりだあああああ!!!」
ああ……
落ちる。
もはやほとんど残されたパワーはない。
行動力が多少あろうとも身体が麻痺したように動かない。
地面スレスレのところでアインスが僅かに浮かしドライが鎧を少しだけ展開して滑るように地面をえぐる。
少ししてやっと止まった。
身体は動かないが今の衝撃はしっかり痛む。
泥だらけだ。
"鷹目"でポロニアの姿を見る。
上空からみたらポロニア周辺の地面は大穴が空き普段の強固な地面らしさがまるでなくなっていた。
頑丈というよりかはもはや柔軟性を無くしてもろく割れ放題なだけ。
そしてその中央に。
ポロニアが横たわっていた。
生命力がつきかけ瀕死。分身は維持が出来ずに消滅する。
ふいに"進化"が解けた。
全力を使い果たした証だ。
身体の全てが元のケンハリマへと戻る。
反動で……言いようのない強烈な喪失感。
パワーを失ったことによる反動で虚脱感があるのはいつもどおりだけれど……今回のは幅が大きい。
このままでは心まで飲まれかねない。
「なぜ……」
声が聴こえる
この状況で発生するのはひとりしかない。
「なぜ、お前は、自らを認め、失敗も赦し、それでいて反省し、進めた……?」
今度の言葉は確かに私を指していた。
私は自身の喪失感よりそちらに心を動かすことで飲み込まれるのを防ぐ。
「なぜって……私は、みんなを信頼しているから」
それしかない。
ポロニアは……どこまで行っても孤独だったからだ。
「そうか……」
「……え?」
思わずもう動けないと思っていた身体に力がはいる。
そのことにも驚きつつ這って直接ポロニアの姿を見に移動した。
上から見上げる穴の底は……光が溢れていた。
それは美しいとすら言えるこの迷宮の龍脈光と同じだ。
それがポロニアの体全体から発せられている。
……少しずつ身体が光へと変わることで。
「な、なんで!?」
「迎えだよ。この迷宮から借りたものを全て返す時が来たのだ…………私の命はとっくに借り物だらけだ。役目を託す相手を見つける、迷宮の道具にすぎない」
「それは……どういう」
聞いたが返事はおおよそ分かって聞いていた。
それでもきかざるをえなかった。
「もう少し前から闘える身体ではない…………龍脈を無理矢理取り込んで、僅かな時のみ闘えるよう、どのみちここで終わるようにした」
ポロニアも……龍脈の力には耐えきれていなかった。
今ポロニアは身体が龍脈の光へと分解され迷宮に還されているのだ。
寿命を迎えることによって。
ポロニアの毛が徐々に浅くなり未来を見る右目が顕になる。
光が反射して照らしている……
「ここまで、あるゆる意味で倒されるとは、思わなかったがな」
「そんな……! 私はポロニアとも仲良くなれるかもって、思えてきたのに……!」
「もう十分……見せてもらったさ……その夢をな……」