五百五十生目 対峙
一気に4方向全てから押し寄せる分身ポロニアの波。
さらにポロニア本体もついに動いた。
戦術塔の緊急ワープ用チャージはたまったが……どう動くべきだ!?
『ローズ! いってこい!』
『大丈夫なの!?』
『お前みたいに戦況をひっくり返すことは出来なくても、みな戦況を維持することならできる! そのための作戦に切り替えるだけだ。だがポロニア自体の相手はムリだ!』
『……』
『このまま行けば勝てるところをひっくり返されてたまるか! 行けローズ! なんとか用意した作戦内におさめればやつにも勝てる!』
『……分かった!』
とりあえず今の魔法は放っておく。
"ラージヒーリング"2つと光魔法"シールド"それに地魔法"クエイク"!
いけえ!
"クエイク"はポロニアのいる方向とは反対……遊撃隊もあまり足が伸びにくい私の後方に放たれる。
前線に集団が合流されるまえに地面を揺らし土魔力が波状に放たれる。
一気に広範囲吹き飛んで行ってくれた。
飛行型はなんとか出来ると祈るしか無いが大型にもダメージが入ったからかなり良い。
私は戦術塔から立ち上がり前方へと飛んだ。
怖い! 高い! アインス!
(もちろん! ヒコーコントロール!)
ふう……安定して飛んでくれた。
ただやはりめっちゃ怖いから下を見ないようにしよう。
……見なくても怖い。
ポロニアだけに集中しよう。
ポロニアは歩みを早めている。
アインスにより私も少しずつ加速する。
向こうが駆けた。
私もブーストする。
……同時に光を纏い猛烈な勢いで迫る。
壁をこえ前線を越え互いの数が少ない場所で2つの突進が衝突!
私達が直接当たるのではなく前にあるまとった大きな光同士ぶつかり合う。
光同士の衝突の勢いで火花が散る!
「ぐうう……! いい加減やめて、もらうよ……!」
「フフ……良い力を持っているな」
「グウッ!!」
やはり単純な力押しではダメか!
力負けしていたからわざと後方に飛ぶことで弾かれを軽減。
空中で数回回された後に空中受け身して風が周囲に起こり立ち直す。
ゴウッと暴風のような音と共にポロニアがいくつか光の玉を浮かべる。
攻撃か!
7個の攻撃が次々飛び込んでくる!
アインスが機動制御して飛来してくる弾丸たちをキリモミ回避し地上スレスレで加速。
つぎつぎ飛んでくる弾丸を急速な加速で避けきって……
空魔法"エクスプロージS"!
正面直線状に空間のゆがみから生まれる爆発!
前使ったときの威力よりも遥かに高くポロニアの巨大をえぐるように突き当たる!
そのまま大きく押し込んだ!
「……フン!」
だがきっちり爪で地面にとどまられる。
大きなダメージはないか。
かわりに大きな玉のような光が山なりに飛んできた!
(このていど!)
アインスは余裕を持って横に避ける。
私はその間に空魔法"ストレージ"で亜空間から剣ゼロエネミーを取り出し――
(えっ!?)
なんと避けたと思った大きな玉が全方位に炸裂!
細かくなった分高速になり私のほうにも飛んできた!
アインスの制御でも回避はしきれない。
グッ! 腹の鎧に一撃!
勢いでまた回転し距離を取らされる。
すぐに立て直し風を発生させながらアインスの力で素早く飛び回る。
"ヒーリング"を即時詠唱即時発動。
"観察"! 生命力減少2割程度……って2割減少!?
欠片でこの威力はえぐい!
今度こそ空いている精霊たちに助けてもらって"ストレージ"で亜空間から剣ゼロエネミーを取り出し"フィクゼイション"で掴んで念力のように動かす!
鞭剣モードでGO!
縦に振りよくしなってポロニアに襲いかかる!
それを軽く跳ぶように避けるポロニア。
地面に鞭剣が跳ねて土が爆ぜる。
(剣は"私"が!)
任せたドライ!
斬り払いを連続で行い剣ゼロエネミーが距離を詰める。
私は今のうちに詠唱!
土魔法"ロックボーン"! "アースレイン"!
火魔法"ヒュージフレイム"! "Fリビエイション"!
止まらないようにアインスが飛び回らせつつ有利位置を取れるように頑張っているが……
ポロニアが早い!
鞭剣を振るい素早く切りかえ長剣モードで連続突き。
そのままドリルに切りかえて回転させ突撃!
だがかわし爪で斬り払い身体をこすらせはしつつもしっかりとは入らない。
毛皮が見た目通り厚いし見た目と違って機敏。
さらにそのまま向こうも氷の魔法を放ってきた!
つぶてやらつららを避けたと思ったら今度は上から氷で出来た美しい槍が!
でも落ちてきたところをなんとかかわしたかと思ったら方向転換してまた突っ込んできた!
鎧で必死に滑らして多少の痛みと引き換えにしのぐ。
またクルッと方向転換。
どうやら突進と方向あわせを繰り返すらしい。
壊す必要があるか!