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五十三生目 鶏肉

 戦場の時間だコラー!!

 いきなり突撃してきた"私"に驚き相手が呪い絶叫をかましてきた。

 だが想定内、こちらも大音波ぶつけるッ!

 激しい音のぶつかり合いに音が認識出来なくなるほどの広がり。

 だが"私"は光魔法の無音化(スニーク)を同時に準備しておいた。

 何も音を無効化するのはそちらだけの専売特許ではない。

 まあこっちは聞こえなくなる程度で、吹き飛ばす力まで抑えれない。

 さて。

 今"私"は無音の中をかけている。

 戦闘中でそれは本来ならあまりよろしくない。

 だが今は彼らの絶叫の中突っ込む必要があるから仕方ないね。


 まずは目の前の一体目!

 炎の爪で鳥籠を斬り裂く!

 金属が溶ける感触とともに鳥籠が裂けた!

 中にいた本体の雄鶏が霊化が解けて姿を表す。

 もちろん逃さずザクリと一閃。

 首を刎ねても生き続けるらしい鶏だが今回は死んだようだ。


 首から派手に噴き出す血はもちろん"私"がいただく。

 まだまだ足んないね。

 あと18体?

 どんどん狩っていこう。


[対象の言語を学習 +経験]

 おっと、言葉がわかるようになったらしい。

 まあ、今音を塞いでるからなんて言ってるかはわからない。

 ただ呪い絶叫をしようとしているのはわかる。

 呪い部分はともかく物理的なダメージはあまりよろしくない。

 痛みはスパイスだが動けなくなるのはNGだ。

 適度に影避けして走り回り回避しまくる。

 その間に種族術の針操作。

 背から引き抜いた針たちを飛ばす。

 いけ! 千本針!

 燃えている針が鳥籠を掴んだ脚に刺さったり鳥籠を溶かし壊したりと大活躍。

 地面に落ちて壊れた鳥籠から慌てて逃げる雄鶏達は"私"が直々に出向いて首を跳ねる。

 壊す、追う、跳ねる!

 壊す、追う、跳ねる!


 さすがに何度も同じ手で斃されるほど彼らも馬鹿ではない。

 黒い影の塊のような球体がいくつも飛んできた。

 おそらく霊魔法の攻撃だ。

 跳ねられそうになった仲間たちを守るように撃ち込まれると流石に痛い。

 まあ、喰らってスキル肉斬骨断を発動させてその力で首跳ねてるんだけど。

 相手から見れば攻撃が当たったのに動きが止まらないから恐ろしく見えるだろうか。

 ヒーリングが必要な程度には痛いんだよ?


 さらにオジサンが横から土槍を生やして鳥籠たちを破壊した。

 こちらに狙いをつければオジサンが、オジサンに狙いをつければ"私"が攻める。

 この調子でガンガン首を刎ねよう。




 ただ強いことは本当に強い。

 オジサンにも魔法でスニークをかけて呪い効果を防いでいるものの数の暴力。

 鳥籠で殴ってきたりもするし霊魔法玉もある。

 さらに音波自体が広い範囲をカバーする物理攻撃。

 こちらのサウンドウェーブはまったくの無効化なのにあっちの音波は痛みと吹き飛ばし効果は来る。

 なかなか上位スキルみたいな理不尽さだ。


 避けても避けてもタイミングをずらして数で押して殴ってくる。

 その度に反撃するが限度がある!

 距離をとって回復していればやはり霊魔法玉を撃ち込まれてしまう。

 オジサンもこれに苦戦したらしい。


 だが負ける気はしない!


 当然雄鶏たちもそうだろう。

 鳥籠を壊されたら逃げていたがとうとう反撃をするようになってきた。

 そこに霊魔法が降り注ぐ。

 抵抗されれば首に差し込んでもなかなか生命力が削れない。

 白色レグホンのように見えるが脚さばきは飼いならされたそれではない。

 クチバシではなく連続蹴りを叩き込んでくる。

 しかも爪が鋭い!

 "私"も顔に筋を作りながら何とか反撃。

 このぐらいの殴り合いのほうが楽しいねえ!


 霊魔法の玉は連射が出来ず一度ためるまで2秒ほどかかっている。

 さらに使った後に少し安定させて次の狙いをつけるスキ。

 あくまで頭数で押してきているだけだ。

 針操作でモリモリ飛ばして弾幕には弾幕で対抗。

 こちらは数の多い針でふたり分出来る利点がある。

 針を抜いたらヒーリングすればまた生やして引っこ抜く。

 その間に目の前の雄鶏を突いて噛んで蹴られて斬り裂く!

 よし、なんとか生命力ほぼなし。

 首を跳ねておこう。


 瀕死の雄鶏の首を炎のともった爪に行動力を注ぎ込んで光らせて差し込む。

 スパッと時間にすれば一瞬の薙ぎ払い。

 爪先から伝わる柔らかな羽毛に裂かれるぐにゃりとした肉。

 骨が硬質な感触を残してすぐに気道と食道の特徴的な弾力。

 そしてまたぐにゃりとした肉の感触と共に突き抜ける。

 この変わりゆく感触がいかに悦ばしいか!

 爪先から伝わる感触がやみつきにさせる。


 さらに落とした身体の切断面を口に頬張る。

 焼かれた表面から遅れて血が飛び出してくる。

 それを"私"は口内で受けた。

 ああ、素晴らしい!

 生命が"私"の中に流れ込んでくる!

 飲みきれない分が派手に溢れる!

 温もりが雪で冷える身体を中から優しく暖めてくれる。

 ギューッと吸い上げた後に骨髄を舐めるのは幸せの時。


 肉の断面を長い舌でプルプルとした弾力が返ってきてうっとりする。

 さらに牙で荒く肉と骨を裂いたら独特の生の感触が跳ね返してくる。

 それを歯で刻めばツミレが味わえた。


 おっと、これ以上はまずいか。

 なぜか攻撃が止んでいたからちょっと夢中になってしまった。


 くるりと首を相手に向けて笑い掛ける。

 今どこまで血が飛んでいるかはよくわからないが口周りにもたくさん飛んだな。

 ぺろりと。

 舐めとった。


 私が一歩踏み込めば鳥籠たちが1つ下がる。

 しかし下がった先にはオジサン。

 右へ左へと次の攻撃を避けようと鳥籠たちが慌てた移動をし始めた。

 もっともっと血が欲しいのだ、10ほどまだいるじゃないか。

 さあさあさあ、追いかけ回してやろう!


 フレイムボールをぶつけストーンショットで鳥籠を壊しフレイムガードで炎をまとってからの体当たり。

 羽毛に着火した相手が火消しする前に針操作で突き殺す。

 キラーコッコの丸焼きいっちょあがり!


 立ち向かってきた時はよかったものの、ついには敵わないと思ったら脆いなー。

 パニックをおこして呪い絶叫をしっちゃかめっちゃか撃ち込んでる。

 あちこちの地面でえぐれが出来るが、タイミングさえ合わせればさっくりと突破できる。

 先程までの連携は数が多ければの技だったのだろう。

 オジサンが追いかけ回しているのも含めて残りは7羽程度。


 もちろんこのまま血の祭典を続けても良いがそれではダメだと頭の片隅で囁く。

 "私"としては不服だが、まあいい。

 スキル峰打ち使っても出血はするさ!


 鳥籠を破壊してそこにグサグサと気を失うまで針を差し込む。

 峰打ちと無敵のスキルを効かせるのを忘れずに。

 引き抜かれれば血が一瞬強く噴き出る。

 生命力さえあればすぐに止まりはするけどね。

 それを存分に浴びつつ気絶確認。

 うん、生きてるけど完全に意識を失っている。


 それを繰り返す!

 ガンッ! ザクッ! ガシャン! グサリ!!

 ドンドン! ゴン! メキツ! グサリ!!




 オジサンが斃したり逃げられたものはいるが結果的に5羽足元に転がっている。

 スニークが解け耳に音が戻ってきた。


「オジサン、聴こえる?」

「ああ。それは、どうする」


 "私"は一旦深呼吸。

 戦場の時は終わり、私が戻る。


 さて、とりあえず全滅は避けさせた。

 全て奪い殺すというのは先の実りがなくなるし、倫理的にも最悪だ。

 生き残させれる奴は多いほうが良いと生かしておいてもらったけれど……

 とりあえず、みんな身体の傷を治そうか。

 そんで雄鶏たちには無敵も上乗せ。


 うええ、口の中が気持ち悪いよぅ。

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