五百四十九生目 狙撃
分身ポロニア軍と交戦中。
戦術塔でカバーしているものの飛行型や魔法型がかなり強い。
さらに大型に至っては前回よりも強力になっている……
『だ、ダメだ! 隊の防衛ラインを大型が蹴散らしました!』
『ウオオオォ! ぐっ! みんなでひっついても、勢いが落ちない!』
『壁上から大型種を継続射撃中! 早い……! 結界にダメージが!』
結界は4箇所分で分けて展開してあるが壊れたら私が戦術塔で直す必要がありしかも時間がかかる。
破られないのが1番。
『私が大型撃退したほうがいい!?』
『いや、そこまでは大丈夫だ。遊撃部隊が今行った』
『あっ! みんなが!』
9時方向の崖上に並び立つ影。
結界に対して武技で壊そうとしていた大型に対してその影たちは降り立った。
インカにイタ吉それにアヅキだ。
アヅキは実は前にトランスしていた。
そして自身の力を使いこなせるように鍛え直して再び舞い戻った。
その姿は……まるで前世で言う烏天狗。
山伏のような服は羽根や魔力などで作られ片手に魔法でつくった風を起こす羽根のような扇子を持つ。
背中の錫杖が目立つ容姿。
詳しくは後で。今はその能力だ。
飛び上がり大型の頭上を取ると扇子ではたく。
強烈な風の魔力が吹き荒れ弾かれるように大型の頭が殴られた。
体勢を戻す前に次を。さらに次。そして振りおろして地面に伏せさせた。
そこをインカとイタ吉が追撃にいく。
こっちは大丈夫そうだ。
3時の方を見ると巨大な影が2つ。
まあまだ大型ゴーレムサイズのたぬ吉が乗り込む草たぬきゴーレム。
そして翼を広げたらポロニアよりも大きなドラーグ100%形態。
ドラーグもホンキの戦闘らしく色彩が違和感を感じるカラー。
ソレは本来のドラーグのカラーでありながら色が何も目に帰ってきていない時と同じ色。
巨大な穴の深い闇と同じで『認識できない何か』がそこにあるように見える。
アレだと腕の動きがシルエットすらわからないから戦闘は厳しいし何より怖い。
あ。距離感見誤って大型がドラーグにぶつかった。
攻撃タイミングとして光まといをやってないからほとんど効果がない。
何が起こったかイマイチ理解出来ないまま大型が質量の暴力で殴り飛ばされる。
そこにたぬ吉草ゴーレム含め周囲の魔物たちが一気に接近戦を仕掛ける。
取り囲んでボコボコにしだしたから救援情報にさえ気をつけていれば平気かな。
それ! 正面側壁付近の魔物たちに光魔法"ヒーリングラージ"!
『た、助かった……』『ありがとう!』
『よしいい感じだ。お前さんから見て正面と背後側の大型種を少し脅かしてやってくれ。交戦中だからさっきみたいな大岩はダメだ』
『うん、わかった』
各地から味方と敵の魔法音が鳴り響く。
爆音や雷撃それに暴風。
接近して攻防が激しくなっていて回復要請がどんどん来る!
精霊たち3つ分の魔法枠は光魔法"ヒーリングラージ"に当ててとにかく連打。
自分自身は攻撃魔法の中でも狙撃系を使おう。
聖魔法の……
[スモールシューティングスター 細長い極光を遠く速く飛ばして攻撃する]
この魔法は当たる場所が局所的になる。
そのかわりピンポイントに高威力だ。
今は戦術塔の力でこの距離でも減衰せずに当たるはず。
問題はざっくりと狙えないところだ。
ちゃあんと強化されている"鷹目"でズームして狙い……
『ピンポイント狙撃魔法で頑張って狙うけれど、射線上に入らないように通達して!』
『おう、当たったら痛いじゃ済まないだろうしな……』
慎重に魔力を高めていく。
頭上付近に光の小さな玉が生まれ強く輝き出す。
……今だ!
ヒュン! と光の玉が一瞬で向こうまで飛んでいく。
尾を引いて見た目はキレイだ。
しかし速度は見てから反応可能なものではない。
全く減衰せずに大型分身の背にたどり着く。
こちらを見て気付いた時にはもう遅い。
大型分身の全身に光り輝く光がきらめいた!
大型種が苦しみだし悶えて倒れる。
最初はピンポイントではあるが着弾後全身に聖エネルギーが全身に爆発的に広まる。
駆け巡るダメージは相当なはずだ。
"ヒーリングラージ"を各地救援が必要なところにバラまきつつもうひとつ"SSスター"を用意。
狙いを慎重に……
『今度は私から見て背後のやつを狙うよ!』
『おう、あっちは結界にヒビが入っている。さらに前線が疲弊しだしているから頼む!』
飛んでけ!
光がまっすぐ飛びまさに光の速さで着弾。
うん。しっかり輝きが見て取れた。
さらに続けて……揺れた!?
『ついに大将のおでましか……それと4方向同時に大量出現! 一気に押し寄せてくるぞ!』
ポロニアが動いたのか! しかもまた一気に押し寄せるのが4方向に!
魔法の危険性で分けたか!
たしかにコレは……ピンチ。