五百四十五生目 開戦
新しく剣の力を引き出して剣の網をつくった!
節の間に大量に細い魔力線を生み出して繋ぎ広く広げまさに網のようになった。
これをポロニアに覆い被せよう!
「こんなもの!」
ポロニアが立ち上がり気付いて飛びかかった!
振れるとバチバチと電撃のように光が弾けポロニアは貫こうとしてた前足が弾かれる。
そのままポロニアの上に網がかぶさる。
「ぐうっ!?」
地面へと落ちた後網の端側にあった節々が地面へと刺さり土魔力がさらに呼応する。
まるで一体化するかのように完全に縛り付けた。
立ち上がろうとするポロニアを網の主成分である土魔力で弾いてまた寝かせる。
すごい!
比較時は身につけていない武具のことは考慮しないけれど……
私よりも剣ゼロエネミーの真の力の方がものすごく強いな!
まあそれを引き出しているのは私何だけれど!
きっちりそのまま抑えつけていて!
他の魔法を――
「――なるほど。少しはやるようになったようだな」
えっ!?
網から急に姿が消えた!?
ッ背後に気配!
蔦に鎧をまとわせて急いで伸ばす!
ガキン! とかち合う音。
"鷹目"で見ると背後から黒い光が爪の形をして襲い掛かってきた。
その背後に姿が徐々に現れるのはポロニア。
そういえば前の時も……そうかまた幽体化したのか!
影の爪とも言うべき黒の塊で出来た爪が私のイバラ数本に鎧をまとわせたもので必死に抑えるほどに強い。
「見せてもらおう。お前の場所で。お前の仲間と。お前の力を」
そういうとポロニアが駆けてあっと言う間に去っていく。
まずい!
影の爪……! 邪魔だ!
なんとか払って抜け出す。
地面に爪が叩きつけられてやっと消えた。
力の差を見せつけられる……けれど。
今はそれどころじゃない!
彼が向かったのはおそらくアノニマルース!
魔法をキャンセルして空魔法"ファストトラベル"を唱える。
1分……いや40秒でいける。"以心伝心"で複数のいつものメンバーに伝達だ!
『アノニマルース、緊急戦闘態勢! 戻れる者は急いで戻って! 霊獣ポロニアが来る!』
急いでアノニマルースへ"ファストトラベル"でワープしたあとに高い建物に移動。
うむむこういう時は4足で駆けたいなあ。
足を床にこするくらい低空を飛んで早く急げるもののちゃんと立体的に動く時は蹴った方が良いんだけれどね。
この建物は非常に頑強に作られておりここがいわゆる戦闘拠点だ。
中に入るとすでに慌ただしく魔物たちが行き交っている。
「様子はどう!?」
「はい! ……はい!? ローズさん!?」
周囲の視線が一斉にこちらを向きさらに騒然となる。
そりゃそうか。
「ああ、この姿? 大丈夫だから気にしないで」
「は、はい! 現状上がってきている敵影報告はありません」
「ありがとう!」
私も一応"鷹目"と"見透す眼"で偵察しているもののアノニマルースの鳥魔物たちの偵察のほうがずっと優れている。
なんとか先に間に合ったと見ていいだろう。
そのまま作戦会議室に流れ込む。
私が1番だ。
すぐにジャグナーがやってくる。
「ローズか!? 気合が入っているな!」
「うん、ばっちしね!」
「これから部下が資料を集めてくる! それまでに初の夜戦の基本を抑えておくぞ」
ジャグナーが前足を拳として手のひらと合わせた。
気合の入り方がさすが戦闘脳だ。
「暗いから見にくい……とか?」
「もちろんそうだが、そもそも昼間の戦闘員とは構成をごっそり変えていく必要がある! 昼間、どこまでも見通す目を持つ鳥でも、夜は盲目だなんて少なくないからな!」
「ああ、なるほど……」
「それに夜型は昼間型より全体的に潜んで討つことに長けている者が多い。作戦もそれ前提で行う」
確かに昼間活躍している魔物たちは夜も活躍するかというとかなり微妙。
壁の内側で予備戦力になるのは良いものの表立つのは難しいだろう。
その後ジャグナーの部下たちや戦術を取る魔物たちそれに配置が外の戦力ではなく内側の面々が集まる。
ポロニアが襲い掛かってくるまで出来る限り事前に作ってあった作戦を共有化し話し合った。
そこまで時間が取れたわけではないが罠の起動や攻撃準備はなんとか整う。
普段みんなが真面目にやっていてくれたからだろう。
そして――
「速報! 全方位から敵影出現!」
「数は……400……800……どんどん増えていきます!」
「新型も確認しました! 飛行しているそうで、偵察班が追われています!」
「カバーに入れ! まずは事前の話通りに数を減らすぞ!」
ジャグナーや各員の声が響き渡る中私は屋上へと向かう。
外に出るとそこは見晴らしの良い展望台。
軽く屋根がとりつけてある下に固定してある座椅子。
ここに座り込むと私の行動力が『装置』に吸われ循環していく。
さあ集団戦と行こう!