五百四十四生目 足元
新たなる"進化"の姿で"神化"というものになりネオハリーという新しい姿になった!
それは良いのだがなんだかこれまでとは何本も線が違う姿だ。
2足歩行の全部のせプラスたなびく少し破れたように見えるマントに頭からヤギのような立派なツノ。
魔とか邪とか言われそうなルックスは完全に予想外。
まあそれは"進化"という特性上仕方ないが……
『蒼竜の加護』ってなんだ。『神使』って一体?
やはりあの偉そうな声は蒼竜だったか。
だいぶ知っている蒼竜からボイスチェンジしていたが。
そこらへんを調べたいのはやまやまだが……私長く思考しすぎていない?
現実世界に思考を戻す。
あれ。あまり時間がたった気配がない。
「なぜ迷宮がお前に力を貸したのか……その答えも、今見せてもらおう!」
「えっ、いきなり!」
まだ身体の使い方があまりよく分かっていないというのに!
そうだ"観察"!
[ポロニアLv.60 比較:とても強い]
……よし! 相手の足元に及んだ!
もちろん今のままでは勝算はないが……
どうする! どうやる!?
相手は少し跳んで下がりそのまま勢いをつけて光を纏って突進してきた!
……あれ? "止眼"ほどじゃあないけど集中したらまるで時の流れが変わったかのようにゆっくりに?
(頭の処理速度が段違いみたいだな。これなら出来る。真正面から受けるのはいくらなんでも無理だが……さばくことなら!)
頼んだよドライ!
なるほど思考速度が増しているのか!
迫りくる速度に角度いつくるのかハッキリとわかる。
こちらも動き出す。
どう使えるかわからないけれど……
とにかく『守り』『避けて』『反撃』しなくては。
まずはこの鎧をうまく……え!
全身から大量の針が変化した鎧が前面と足元に!?
(グラハリー本来の力も問題なく使えるらしい。いや、それ以上か)
ソレじゃあ今度は回避だ。
防御と同時に行ってインパクト位置をズラし衝撃を横にそらすんだ!
フワリと僅かに足元が浮く。
(お! モンダイなくうけそう!)
この重さで!?
エアハリーはあくまで自身を小型化しているのが前提。
今はグラハリーの鎧で100キロは越えているはず……もういいや!
足元をギリギリ浮かして移動!
向こうから見たらいきなり鉄塊が発生したあげく動き出したように見えるだろう。
しかもなめらかなスライド移動!
ガン! と激しい衝突音が左側から聴こえる。
おや。手元や胸元から繋がっていた鎧が切り離された?
うそ。使い捨て大丈夫なのか!
(大丈夫らしい……)
なんだこりゃ!
え。ええと。落ち着け。
次は相手が鉄塊を吹き飛ばしている間に回り込んで反撃だ!
すれ違う真横。
互いの視線がかち合う。
さすがにポロニアは気付いたか。
振り向いて反撃――おっとっとっとっ!?
ドライが背のイバラを一斉に伸ばしすれ違いざまに"叩き付け"し足元を"すくい上げ"て"ズタ裂き"を叩き込み"乱れ突き"する!
イバラは確かに私の腕のような感覚だがここまで同時に1つ1つ別に武技を放てるとは!
ビシバシと厚い毛皮に阻まれ大した痛みを与えられていないが……
それでも重ねることで完全にすれ違うその時にはついに足元を乱し突進の勢いがアダとなる。
勢いよくころんだのだ。
うそん。ここまで強くなっているとは。
いやまあそれでもあの突進一回喰らえば私の身体はペチャンコ確定みたいなもんだろうけれど。
(なにボケーッとしてるんだ! お前も追撃するんだよ!)
あ! ドライそうか。
私は……距離があるし魔法を!
胸の石ロゼスオーラに振れると精霊たちからも興奮や歓喜の気持ちがなんだか流れ込んでくる。
「このっ……」
ポロニアが起きようとしている。
詠唱だ!
視れる精霊の数は……3に増えている!
聖魔法"ブリンクスター"! 土魔法"Eディストラクション"!
火魔法"フレイムボール"! 私自身は空魔法"フィクゼイション"!
いけえ!
「――やりおったなッ!」
立ち上がろうとする背中に"フレイムボール"を放つ!
まさに目にも止まらぬ速度で青白い炎が飛びポロニアの背を焼いた。
「っ!」
まだほとんど入ってない!
けれどわずかにひるんだ。
ここで"フィクゼイション"でさきほど弾かれた剣ゼロエネミーを掴む。
念力のように操作し……あれっ!?
なんだろう。前よりも力を感じる。
そう言えば持ち手の力に呼応するみたいなこと言っていたっけ。
今までは剣が力を引き出していたけれど。
今なら剣の力を引き出せる!
展開!
剣の節が鞭剣のときのようにバラバラになる。
間が魔力でつながるが……細く複雑に! 何本も!
より強靭に複数繋がった節たちが広がってゆきポロニアすらも覆う『網』となる
新ワザ! 剣の網だ!