五百三十九生目 解答
召喚獣デザイアと召喚者ロウソウによる試練を突破した!
試練結果を伝えるとどちらも嬉しそうな顔を浮かべていた。
蒼竜は押し付けられたことも加味するとイラッとくる笑顔だが。
「うむ。本当に、本当にありがたい。ぜひワシらと共に、この国を取り返してはくれまいか?」
「そのことなんですが……」
空魔法"ストレージ"で異空間から銅の指輪を取り出し見せる。
ウォンレイ王の指輪だ。
「私、そもそもウォンレイ王との協力者を探していたんです。こちらからも、よろしくお願いできますか?」
「これは……本物のようで。わかりました。それを見せられたら、もはや疑いようもないでしょう。我ら抗戦組織も加わることにしましょう……と言いたいところなのですが……」
トウトウ王が言葉をにごらせる。
「ええと、もしやまだなにか……」
「実は、抗戦組織はそんなには連絡が出来る環境ではないのです。他の2つの大都市の上級王たちも抗戦組織の一員ではあるが、特に最近は連絡も取れず、各々動くこととなっておるのです」
「ええっ」
「それに、各自試練の内容は異なるので、それを突破されなければ、そもそもカエリラスとの約束を守れませんから……」
「誰かが試練を攻略するしか無い、ということさ」
蒼竜がそうシメることで肩を落とさざるおえない。
そりゃそうか。
脅されているんだったね……
「……今、他の2都市にも攻略者たちが向かっています。おそらくそのうち着くかと」
「ええ。お手数おかけします」
「とりあえず、やるべきことはやろうか」
なにかあったっけ?
そう思っていたらトウトウ王が懐からひとつの古めかしい鍵を出す。
これタダの鍵に見えるが魔法で構成されている……
「これが、あの結界にエネルギーを送っている物を、解除する装置です。私では使えない。ぜひ壊してやってください」
「……ああ! 承ります」
「助手、少し本来の目的忘れていたね?」
うぐっ。
こういうときだけ妙に鋭いな!
戦いですっかり身体が熱くなってそれどころじゃなかったのだ。
アレだけ戦えばそりゃあ脳内物質はでまくるもの。
魔法の鍵を受け取り先程の部屋へ戻る。
あんまり物がなかったはずの空間の惨状に目をそむけつつ咥えた鍵を中央台座にさしこむ。
小さな防御結界が消えてエネルギーの送信が止まった。
「そうれ!」
蒼竜が掛け声と共に珠を叩いたらあっさりヒビが入り砕け散った。
ご機嫌そうだ。
「これで、少しは状況も良くなりますわい」
「そんじゃあこんなシンキくさいところからは出ようか。彼も本格的な手当しないといけないしね」
ロウソウは魔法で治したけれどちゃんと診たわけじゃあないからね。
気絶したままだし。
みんなで隠し通路を通り入り口だった家まで退避した……
「ふう……こんなものかな」
私の姿は"変装"でなんとか前のロゼハリーのようにしてごまかした。
2足歩行2足ほこーう。
"鷹目"を鏡のようにして細部まで違和感なく再現できているかチェック……よし。
「――というわけで、ワシらはお話した通り白旗を上げることにしますわい。うまく雲隠れしつつ街がやられんようにしましょうかの」
「ん、助手も準備できたようだね」
「周囲に人影はありません。探知も何もないようです」
「ええ。ではお元気で」
私と蒼竜はふたりに別れを告げて家の外へ。
彼らは彼らで戦いを続ける必要があるようだ。
私達は……
「……ねえそーくん、なんで私"進化"ができなくなってしまったんだろう」
「ふむ、何か相手にされたのかい?」
「実は、最後にデザイアに何かされて……何かを身体に取り込んだみたいなんだけれど、そうしたら"進化"が解けちゃって」
「……ほほう! なーるほど、ふむふむ!」
蒼竜が私をじっと見てそれから何か分かったかのようにウンウンとうなずく。
おお。これは期待できそう。
「何かわかったの?」
「それはね……ヒミツだ!」
「えっ」
蒼竜は口元に人差し指を立てる。
また悪い癖が……!
「いや、本当に困っているんだよ!」
「何、これは自ずと解き明かされるものだからね! 僕が解答したら、白けてしまう」
「そういうのいいんで……」
でもこうなったら教えてくれないだろうなあ。
「何、不安がることはない。キミにとってかなり有益なことになるはずだからね! 然るとき然る場所に導かれれば、それは為る。神の助手であることも、きっと役立つはずさ」
「それってどういう……」
「じゃあ、またどこかで!」
あっ!
また風のようにいなくなった。
なんなんだあの神は……
「――あそうだ! 宿とお金ないかな? さっき使い果たしちゃって」
唐突に戻ってきた。
………………
なんかすごく疲れた……