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五百三十七生目 制限

 ゴブリン型ハリネズミの召喚獣デザイアとその召喚者ロウソウと戦闘中。

 魔法を撃つたびに奪われてしまうが傾向が読めてきた。

 おそらくとあるハードルを乗り越えないとデザイアは魔法を奪えない。


 想像通りならばやりようはある!


「ハアッ!」

「スティールハンド!」

「奪うッ!」


 先程からこれを繰り返している。

 小さい魔法はあらかた奪われてしまった。

 ロウソウの行動力は……底をつきかけている。


「すまない! 回復する!」

「早くせよ。あまり止められん」

「ハアア!」

「グッ!」


 火魔法"エクスプロージF"に空魔法"ベンド"を組み合わせる。

 大規模な爆発が飛来する力を曲げる"ベンド"の効果でむちゃくちゃ拡散!

 多数の大爆発で一帯が燃え吹き飛ぶ!


「ぐうぅ……! 地下だぞ、何するんだ馬鹿……!」

「私は酸素は別手段で確保しているから平気!」

「ゲホッ、なんだ息が……」

「唱えさせろ、風だ」

「か、かぜまほうを……」


 向こうは直接酸素供給の魔法を覚えていたか。

 倒れこんでいるデザイアがなんとか腕を振るとロウソウの呼吸音がまともになる。

 "見透す眼"で物陰のロウソウを見たら懐から薬瓶を取り出し中身を飲み干す。


 するとじわじわと行動力が回復しだした。

 アレは確か……ウチと恵みの泉ポーションの契約をしている大商人が新発売したやつじゃないか。

 効果を行動力回復に重きを置くよう中身を選り分けたものでまだとっても高級品。


 そのかわり行動力を大幅に治す。

 お買い上げありがとう。でも困るなせっかくそこまで追い詰めたのに!


「良し! 行けそうだ! 凍てつかせ!」

「魔法は奪うだけではない!」


 デザイアが片腕を振るうと冷気の霧が広く周囲を覆う。

 ウッ。身体が凍てついてきた。

 致命傷にはならないが氷が邪魔だし肉体そのものが冷えて動かしにくい!


 範囲を広くするかわりにこちらの足止めに特化した冷凍化か。

 ふたたび自身に火魔法"フレイムエンチャント"で自身の拳や牙に炎をまとわせる。

 ジュッと炎が氷を溶かしていく。


「行け! 直接格闘!」

「ハアッ!」


 冷気の霧を突き抜けてデザイアが突撃してきた!

 格闘戦でしのげないから不利!

 後ろへ下がりつつ……アインス!


(いけぇ!)


 "フレイムウォール"が放たれ相手との間に炎の壁が生まれる。

 突っ込もうとしたデザイアは面食らって跳んで下がった。


「くっ、こんなたっぷりと……」

「スティールハンドを――」

「今はダメだ」

「やっぱり……その技制約があるんだね」


 炎の向こうでデザイアが顔をしかめる。

 種は割れたとそう言ったも同然だからね。

 さあ話しながら魔法準備!


「……なぜそう思う?」

「物理技を封じ魔法を使わせその魔法すら奪う……すごく有効な手だけれど、無限に、どこまでもという技じゃないのは、すべての魔法をどんどん奪わない時点でわかった」


 デザイアも身構える。

 炎の壁少しずつ弱まり消えるのが近いと感じているからだ。


「ほう……」

「強い魔力の場合は特に、キミが解析をしきらないと奪えない。私が魔力を変質したり暗号化したら、手間取っていたようだから。さらに威力が高ければ高いほどに召喚者の行動力を大きく使う……だからどうしても終わり際を狙うことになる」

「フン、召喚者が脆弱だと気をつけることが多くてね……」


 炎の壁がゆらぎだす。

 先に動き出したのはデザイア。


「スティールハンド!」

「ハアッ」


 炎がかき消え"フレイムウォール"が奪われる。

 まだこっちも魔法はある!


「氷魔法!」

「ダアッ」「ここだ!」


 同時に魔法が放たれる。

 デザイアはここ1番の魔法だ。

 身体を押しつぶせるほどの氷塊が生まれ私の上空を埋め尽くす。


 そしてデザイアは踏み込んだ足場がくずれた。

 私が放ったのは土魔法"アーティトアン"。

 私の前方地面が割れて土の槍が連続で飛び出す!


 "止眼"! 体感時間が極限まで伸ばされ時が止まったかのように感じる。

 あの上の氷はどう考えても走って避けるのは間に合わない。

 どうしたものか……


(用意していたひとつの魔法を防御に回すか?)

(オッケー、もうひとつでツイゲキだね!)


 "止眼"解除!

 土魔法"ソールハンマー"角度変更バージョン!

 落下してくる氷塊に向けて土の大槌が上向きに思いっきり回転!


 そして激しく衝突!

 (エフェクト)の対立でカラフルな火花が飛び散り激しく互いの力を削ぐ。

 魔力追加で……いけぇ!


「グアッ!」


 デザイアが"アーティトアン"の土槍で吹き飛んだ。

 よし向こうの集中が乱れた今なら押し切れる!

 土の大槌が少しずつ押して……


 双方大きく砕けた!

 残骸が多い! 避けきれるか!?


(任せろ!)


 ドライが身体をたくみに操作して必死に落ちてくる氷の欠片たちを避ける。

 小さい氷がまるで弾丸のように私の身体を少しずつ切り裂く。

 それでもアクロバットで大きめの塊は回避しきった!

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