五百三十四生目 物理
[デザイア 比較:かなり強い 異常化攻撃:即死]
[デザイア 古くから存在する月の神の1柱。充足と飽きを司りハリネズミの魔人として現実世界に現れる]
待って。即死って何。
えっ。そんなことできるの。
ちょっと?
騎士団長ロウソウの足元にあった魔法陣が消え生命力と行動力が2重のゲージとなった。
「さあ、ゆくぞ!」
「えええ!」
「まずは小手調べといかせてもらう。針を!」
「フン!」
ハリネズミらしく背中のトゲが逆立ったかと思うと抜けて空中にたくさん浮き上がる。
コレは"針操作"! 向こうも使えるのか!
飛んでくる! 剣ゼロエネミーを大盾モードに!
「ほう」
節々で別れ大きな盾の形をしたあとにエネルギーの膜が別れた節の間を通る。
それに針が降り注いだが貫通することなく耐えた!
威力そのものはやはり大したことはない。
反撃だ。剣ゼロエネミーを鞭剣モードに!
節を魔力でつなぎ長く伸びた剣を鞭のように振るう!
土魔力も開放だ!
「おっと!」「くっ!」
召喚獣デザイアのほうが反応が良い。
跳んでなんとかかわしたが肝心の騎士団長ロウソウは慌てて盾を構え"防御"する。
"防御"シールドをあっさり切り裂かれ彼の盾に直撃した。
「くっ……なっ!? 魔力で何重もコーティングした盾に傷が!?」
ロウソウは土魔力の爆発的力を受け後ろへ足を踏ん張りつつ押し込まれる。
耐えきったかと思ってふと目を落とした盾を見て驚いたのだろう。
先程斬った位置に大きな傷跡があるのだから。
「盾がそうだと先に腕や腰がイカれてしまうぞ。避けろ」
「針をもう一度! 早すぎて目が追いつかない……!」
再び背の針が抜けて襲撃をしかけてくる。
大盾モード! 弾く! 鞭剣モード! 薙ぎ払う!
長くしなるものは先端に行くほど加速が恐ろしく軌道も読みにくい。
デザイアがロウソウを抱え跳んで避けた。
何度も鞭剣を振り薙ぎ払う!
何度もデザイアがロウソウを抱えたまま跳んで距離をとった。
「チッ!」
デザイアの脚に刃が当たった。
ざっくりと斬れて血のかわりに光が噴き出す。
すぐに止まったが少しは痛手を与えられた。
「召喚者、お前は下がっていろ。そのかわり指示を頼んだ」
「くっ……分かった。あの剣は恐ろしく強い。宣言を使おう」
「ああ。宣言する!」
ぐっ! またあの厄介な宣言というものか!
やらせない! すぐに鞭剣を振るう!
「無駄だ! 『お前の魔法以外の攻撃はすべて無効化する!』だからな!」
ロウソウの前に出たデザイアが宣言するとともに刃が襲う!
だが切り裂くことは無かった。
デザイアが手を前に突き出していた部分に当たってそのまま勢いなく床に落ちる。
「なあっ!?」
「針!」
「はあっ!」
またデザイアの針がこっちに降り注ぐ!
慌てて手元に剣を戻して大盾モードにして防いだ。
防御は可能か。
「くっ、こっちの攻撃が無効化で、そっちは有効だなんて……!」
「これはそういう力だ……む。もしや、『魔法を両者使えなくする』というやつに出会ったことがあるのか?」
「どうしてそれを?」
確かにその召喚獣には会った。
初めての召喚獣戦相手だった。
デザイアはブツブツとなにやらつぶやく。
「プライドめ……相変わらず変なこだわりを見せおって。相手だけ封じることできただろうに……」
うわ。そういえば相手は傲慢さにこだわっていたな。
手を抜いてたので負けたんですーみたいな子どもじみた言い訳を次見たときには言われそうだ。
次に会わないのが1番。
ただ物理的な力での攻撃封印で助かった。
このホリハリー姿……魔法の方が得意だ!
「まだだ!」
「……そういえばお前、その気配に混じったもの。何かプライドから受け取ったな……? お気に入りというわけか。よかろう」
「なあ、何の話をしているんだ?」
「何、後で説明する。今は……」
ロウソウは困惑しているが逆にデザイアはやる気になったらしい。
低く身構えエネルギーが全身から満ちている。
こっちもやろう。ドライ! アインス!
(身体の動きは任せろ!)
(マホーどんどんつかおう!)
火魔法"フレイムボール"を青白く作り出し1つ高速で投げつけて戦いがさらに始まった!
「下位魔法など――ぐっ!?」
ロウソウを守る直線状にデザイアがいたため"フレイムボール"を直接受ける。
その間にロウソウは物陰へと移動。
「ま、魔力相殺!」
どうやら平然と耐え抜く予定だったらしいデザイアの身体は燃え上がり素早く手を振り払い消化する。
どうやら魔力を打ち消すスキルかなにかを使ったようだ。
だがデザイアの身体からは煙が上がり無傷ではないことを示す。
デザイアは片腕を肘から上へ突き上げて魔法を使う構えをして走り跳んだ。




