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五百三十一生目 暗号

 魔力の流れを追っていたらなぜか王城の地下に繋がってしまった。

 個室の中まで気配を追ってきたら本棚にたどり着く。

 今までの仕掛けからしてこれは古きからあるアレかもしれない。


「においは……特定の本にだけ残っている」


 この部屋の持ち主らしきにおいは本全体からする。

 ただそれじゃないにおいの中に特定の本しか触っていないものがある。

 本は4つ……


[7つの魔法]

[私と3人の父]

[帝国の4つの都市]

[六絵人]


 なるほどよく見るとタイトルに数字が含まれる本が多い。

 うちこの4つが正解のようだが……

 組み合わせがわからない。


 とりあえず上から順番に取ってみよう。

 7346……うん無反応。

 逆順……6437。反応なし。


 私は魔法的な仕掛けなら解けるがアナログで来られると苦戦してしまう。

 不本意の極みだがここは年の功を頼ろう。

 小声でも多分大丈夫だ。


「……そーくーん」

「呼ばれて飛び出た、どうも蒼竜君(そーくん)です!」

「……もう深くは突っ込まないです」


 突然現れたこととかなぜかりんごのような果物かじっているとか些細なことになってきた。

 それよりもここの仕掛けの解除が大事だ。


「ここの仕掛け、本棚で特定の本を順番通りに引くと奥へ行けそうなのはわかったのですが、肝心の順番がわかりません」

「なんだ! そこまで解けたならば、答えは簡単さ! 答えを言うのは簡単だが……そうだな。ヒントをあげよう」

「早くしないと見つかりますよ」


 まったくもったいぶってなかなか答えを言わないんだから。

 蒼竜は帽子の先を指でおさえカッコつける。


「本来こういうのは何も紐付けないほうがセキュリティ上良い。しかし、それでは覚えられず、近くにメモ書きを残すという意味の無さを発揮する。だから少しひねりを加えつつも何かに関連付けたようだ」

「何かって……その場合、相手の想定がついてないと」

「そこは簡単だろう? ここは王城なのは察しがついているだろう?」


 しぶしぶうなずく。

 そうかなとは思ったけれどやはりなのか。

 さわやかな笑顔を見せる蒼竜だけどどこか見る者をイラッとさせる。


「なら話は早い。ここの上級王トウトウの誕生日は3の月6だ」

「0306……でもそれは……」

「どうしたんだい? ゼロのある本ならそこに都合よく2つあるじゃないか」

「さっき、少しひねりを加えてあるといったじゃないですか。それにここを通ったらしい人物は、ゼロの本には触れていません」

「うん! 優秀な助手で助かるよ!」


 指とか鳴らさないでほしい。

 兵たちが遠くから足音鳴らしているのが聞こえるからあまり時間はないって。


「ここでもうひとり出てきてもらう。息子だ。誕生日は7の月4になる」

「じゃあもしかして! 3674……アレッ。動かない。7436……違うか」

「……ふむ。もうひとひねりいるみたいだ」


 あれ。頼りの蒼竜が考え込んでしまった。

 外れている……? いや答えには近づいているはずだ。

 さっき……0306……この間に数字を入れてみれば?

 いやこれだと最初にためした7346になってしまう。


 だとすると……!


「こうして……こう! あっ」

「おや?」


 3764。息子の誕生日の0704に王の誕生日をゼロ部分に当てはめた数字だ。

 本棚は音もなく開いて行き奥に通路が現れた。

 まさに古典的だが苦労した。


 本棚をよく見てみると0から10まで数字が豊富に揃った本棚になっていた。

 私は視覚以外に頼れたから良かったけれど自力解除は大変だな……


「やるじゃない、助手! 僕がどんなヒントを言おうか迷っている間に解くとは!」

「いや答えを悩んでましたよね! もう兵士たちがすぐそこです、急ぎましょう」

「本命へ、GOだ!」


 私達が通路に飛び込むと本棚がスッとしまる。

 そのすぐ後に足音たちと兵士の怒声が飛び込んで来たがもうわからないだろう。

 ほっと胸をなでおろした。


「もう追ってはこれないだろうね……おや」


 私達のいる場所はほとんど光が無かったが手前から順に明かりがついていく。

 魔法光だし自動でつくようになっていたのだろうか。

 細長い廊下は階段に続き地下へと誘っているようだ。


 ふたりで何も言わず足を運ぶ。

 足元からひんやりした感触が帰ってきて靴を同化させ消していたのを思い出す。

 意識するとまた靴が出てきた。


 ふたり分の靴音が石の階段を降りるたびにカツカツと鳴る。

 螺旋状に降りていく道は1つのみで道を間違えようもない。

 そして多分この先に……


 降りきってスクロールに力を込める。

 廊下の先に可視化された魔力の流れがまっすぐ奥へ続く。

 ものすごく遠回りさせられたがこの先が最初に見つけた家の深い地下だ。


 うずまく闇の奥に肌で感じる気配がひりついていた。

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