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五百三十生目 上級

 蒼竜と共に地下を探索中。

 結界へ魔力を送り込む源に近づいているはずだ。

 また不審な金属扉を見つけたわけだが……


 "見透す眼"! うーん透かしてみたものの何かまた別の廊下に繋がっているように見える。

 さらに下へと向かっているのは間違いないかな。


「とりあえず開けてみましょう」

「うん! 今度もまかせたまえ! ヤッ!」


 また蒼竜は気軽に金属扉をふっとばし罠ごと破壊した……






 先程までとは打って変わって急に気品を感じる場所に出た。

 ふつうの民家に比べても豪華絢爛というか……

 明らかにタダの家でもましてや地下水道でもない。


「ここは……?」

「そこは、助手が自身で真実を見つけ出すんだよ。じゃあ……あ、ここは潜んで移動したほうが良いかもね。じゃ」


 またスタスタと先に行ってしまった……

 それにしても何か知っている口ぶりだったが。

 そういう事をわざわざ言わないのもイラってくる。


 とりあえず言われたとおり気配を消し階段を下っていく。

 そのまま下にたどり着き廊下の物陰に身を潜めた。

 スクロールを持つ手に力を込める。


 魔力の流れを表す青い光が再び可視化される。

 これは私にだけ見えているから隠密性は平気。

 うーん。それにしても何かがおかしい。


 方角がズレているというか。

 家の真下地下あたりにあるようだったのに結構すでに横移動していてたどり着かない。

 まだこの光は前方奥を示している。


 スクロールを開いて可視部分を細部化し……

 よし魔力の残り香だ。

 それにしてもなんだかいい香りがする……


 腹が空くほうのではなく高級感あふれる植物たちのかおりだ。

 廊下を曲がってその先へ。

 扉は……一つしかないから蒼竜もここから出ていったのだろう。


 鍵が閉められる扉だが開いている。

 蒼竜が開いたのだろう。

 向こう側に誰もいないことを探りつつ扉を開く。


「おお……!」


 なんだここは!?

 開けた空間。きらびやかな飾り。

 どこをとっても豪華絢爛。


 お金を集めきって形にしたような開いた空間。

 咲き乱れた花たちが地下なのを忘れさせるほどだ。

 この広間が無人だとは……む!


 足音! 金属の音も多数。

 どこか隠れる場所は……上への階段そばが湾曲していて影になっている!

 あそこに隠れて……でもまだ姿が見えている。


 空魔法"ステルス"!

 姿が現実世界からかき消える。

 ただし私からも何も干渉できない。


 魔法を詠唱して水中呼吸用の呪文を唱えて……


「風よ、我が身を満たす酸素を。レスプレイション」


 短縮して唱え終わると肺を空気が満ちるのを実感する。

 空気も得られないからこうやって確保するわけだ。

 酸素とはいいつつ地上の空気と配合はあまり変わらない。


 足音が近づいてきた。

 階段上から複数の踏みしめる音が聞こえる。

 絨毯を踏む音的に駆けているな。


「探せ! 今の異常音はなんだ!」

「賊が侵入したかもしれん」

「しかしここから侵入されるのか……?」


 剣を抜いた兵士たちがなだれ込んできた!?

 しかも町中で見る彼らよりもなんだか豪華。

 ここは敵の場所ではないの?


「急げ! 上級王を安心させねば」


 えっ。

 ここで上級王のことが?

 おかしい……情報が合わない。


 私が潜入した家は商いの街にいる上級王の城とはかなりかけ離れた位置にある。

 つまりここが城のはずはないのだが……

 みたところどうも上級王の城にしか思えない。


 ……もしかして。

 家と地下水道の間にあった異空間。

 あれはワープもかねていたのか!?


 ただ……だとすると余計に謎だ。

 なぜカエリラスの仕組みであるはずの魔力送信を追ったらここにくるんだ!?


「か、鍵が!? ここの扉、開きます!」

「何!? そこは王族の脱出用の……ええい! なんとかして犯人を探し出すんだ! すぐに!」


 兵士たちはあたりに散らばりやがて私が入ってきた扉が開封されているのに気付いたらしい。

 駆け足で扉の向こうへとかけていった。

 私も移動を開始しよう。


 "ステルス"は身を隠すものの万全ではない。

 行動力を多く消費しつづけるうえ"魔感"のたぐいでは場合により看破される。

 じっとしていればそれらもコントロールしやすく安全だ。


 "ステルス"を解除し意識して靴に隠れていてもらう。

 足から靴の感覚が消えてかわりに肉球の脚が地につく。

 これで無音になれる。


 そのまま急いで駆けて反対側にある複数の扉のうち魔力の残り香があるひとつへと入っていった。

 扉の奥はこれまた美しい個室。

 ただ生活感も感じられるから誰かの部屋なのかもしれない。


 残り香はその生活感とは無関係に動いている。

 所有者ではないということだ。

 本棚に一直線に繋がっている。


 うーん? 本棚……今までの仕掛け……

 もしや古きからあるあの仕掛けか?

 だとしたら……においを探ってみる。

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