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五百二十一生目 百万

 こんにちは。私です。


 ドラーグからのしらせによりそろそろ軍の行動開始と言ったところで緊急の待ったがかかった。

 厄介な結界に帝都が覆われ進行不可能に陥っている。

 ウォンレイ王は『勇者一行』からもたらされた報告により最優先目標を変更せざるおえなくなった。


 結界の破壊だ。


 ……ウォンレイ王たちには勇者グレンくん一行が索敵能力を使いはるか遠隔の帝都の現状を見つけたことにしてある。

 その方が角が立たないと思ったからね。

 グレンくん一行はというと定期連絡によると無事大山脈を避けてゲートにたどり着いていたようだ。


 私は本日何をしているかというと……

 アノニマルース病棟で面会をしていた。

 ここにはローブを着込んだドラーグ10%の姿の分身ともうひとり……


「……グウッ! ガァ! ううあああああ!!」

「また発作が!」

「痛い? ここ!? ああ、また涙と鼻水が……今拭くね」


 寝たままドラーグに腹部を撫でられ顔を拭われるのはまだ名前すら不明の少女。

 前にドラーグが見るに見かねてボロボロの状態の彼女を回収しここで治療させている。

 生命力や骨折など肉体の損傷はだいたいは治せたが……


 彼女は粗悪なアヘン漬けにされていた。

 解毒を施しなんとか目覚めさせはしたが精神面の回復はまだまだ。

 ほとんどのことには反応しないがドラーグにだけすがる反応を見せることやドラーグ越しなら介護を受ける面を見せる。


 ただ……唯一発する言葉は。


「うううクスリ! ………うう! クスリ、クスリ……」

「あわわわ、また始まっちゃった! 大丈夫だから! クスリはいつかきっとくるから!」

「ん……」


 ……ひたすらアヘンを求め口から目から鼻から液を垂れ流す姿だ。

 過去に比べればかなり良くなったほうだ。ガタガタ震え寒がる時もある。

 担当医状態のコボルトのコルや私との考えで色々と対策を考えてはいる。


 過去みたいに苦しみの限度に死にそうになるなら鎮静することもあるが基本ドラーグに優しく看護してもらうのみ。


 鎮静剤そのものや九尾博士に手伝ってもらい開発した注射器も希少だ。

 彼女の身体もこども相手にはかなり難しいという面もある。

 睡眠薬の服用ならまだなんとかなるがコレなしでは寝られなくなってしまうので調整して出している。


 ドラーグの分身は基本的に常にそばにいてもらい話しかけたり直接世話をすることで交流をはかってもらう。

 相手の言うことは肯定しつつも実行するかは別判断とする。

 この場合はクスリ。


「あああ……すぅ……」

「ふう……落ち着きました」

「…………」

「少しずつ、間隔は開いてきているね。ドラーグに対する反応も増えてきている。ドラーグだけなのがまだまだ問題だけれど……」

「胃薬もってきました」


 未だ彼女の認識の中ではドラーグとクスリ以外は存在していないらしい。

 けれど少しずつ良くなっているのは確かだ。

 そろそろ名前くらいは聞きたい。阿片の入手経路もね。


 おそらく今は絶望をするほどに気力が失われている時なのだろう。

 痛みに反応することもさらには手足を動かすことができないほどに。

 意思すらもこうも簡単に抑えつけてしまうクスリの後遺症は恐ろしい……





 ドラーグ本体に探らせた結界魔力の経路。

 予想通り外部供給されていてそのラインは3方向から伸びていた。

 詳細な行き先は隠蔽されていたが私と協力してドラーグが解き明かし。


 莫大な力だから高度な隠蔽は困難だったらしく助かった。

 地図とだいたいの流れの行き先から推察して……

 100万人をも保有する大都市3つ付近に相手が絞られた。


 これを受けウォンレイ王は新たな指令を私達に下した。

 結界の解除のため大都市へ向かいその元を断つ!


 私が向かうのはそのうちのひとつ。

 大山脈を私が越えたそのしばらく先にあるひとつの大都市だ。

 位置的にこの地方の中心地なため多くの交通路が通っている。


 商人たちも集い発展した大都市だ。






「うわあ……」

「なんだこれ、これが大都市!?」

「こりゃあ攻め落としがいがあるだろうな……」


 イタ吉にダカシそしてジャグナーたちと共についにやってきたここ。

 目の前に広がるのは城壁すらも大きく越え高く大きく多数の建築物が建ち並び今もなお広がり続けている。

 ここには100万人ものニンゲンが住みその数に負けないほどに商人が集うそうだ。


 その証拠というわけでもないが大きく開かれた門は貨物車がひしめき合いどこを見ても人。人。人!

 全方位人だ!

 この中でも大した混乱がなく私達が移動できているのは私がホリハリーに"進化"しているから。


 ホリハリー状態でいつもの服を着れば2足歩行だし旅人風だ。

 さらにイタ吉たちはみな目立つ場所に識別輪をもっている。

 雑多の中でも光を返すこれを見れば怪しむものはほとんどいない。


 それにもうすでに人混みのなかで何も事件が起きていないという事自体が安心材料となる。

 衛兵に呼び止められることもなく普通に大都市へと足を踏み入れた。

 さあ。結界エネルギー発生源の場所を調べよう!

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