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五百十七生目 麺類

 残りは焼きそば!

 兄のインカに弟のハックと共に食事中。

 夜天の星空の中食べる食事は実に良いものだ。


 焼きそばは帝国から伝わる『そうす』というものをかけた麺……

 ……という冗談は置いておこう。

 アノニマルースのある皇国にはないウスターソースを用いた焼きそばだ。


 とはいえ塩分を調整したためかなり軽くしてある。

 色合いも元々の麺のままあまり変わっていない。

 具材はキャベツに魚節に紅しょうがそして熟成肉。


 すでにソースの中に込められた野菜たちの香りがすごく立ち上ってくる!

 口を近づけ……ひとくち。

 ううん! ピリリと来る辛味!


 黒胡椒か!

 麺は反対に甘くアノニマルース内の成分場がうまく作動している事を思わせる。

 取れた品も良いものだ。


 過去に別世界からこの世界に渡ってきた誰かが記した本。

 それは私たちに農業と魔本作成の力を授けてくれた。

 かなり今もこうして助かっている。


 そして麺が具とよく合うよく合うこと!

 野菜が! 肉が! 漬物が!

 麺と混じり合って最高においしい!


 今世の中でもトップクラスのおいしさたちだった!

 肉がこの身体に合っているのもある。

 だがこう食べて満足感を覚えているとじわじわと前世の知識や記録が蘇る。


 私が何を食べたかなんて記憶はまったくないが……

 味はどうだっかという知識の方は芋づる式に引き出される。

 そう……前世ってすごかったんだなあ。


 おそらくこのぐらいの肉でやっと前世の庶民クラス。

 致し方ない部分もある。

 何せ前世は酪農と言う技術を用いて食べるための牛をたくさん用意していたからだ。


 だがここは負けてはいられない。

 私自身のサルベージした酪農知識と別世界からこの世界にやってきた人が改良を重ねたものを記した本。

 その両方をあわせて現在酪農計画を順調に進めている。


 あの農業の本は野菜に関してだけではなかった。

 酪農もあったしなんならキラーコッコの家畜化実験に関しても調べてあった。

 森の迷宮で大暴れしている恐怖の魔物キラーコッコを家畜化しようとは……なかなかニンゲンも恐れ知らず。


 しかもややだがうまく行っている。

 いわゆる超弱いキラーコッコの派生種を作り出し細かく管理して群れさせないようにして……と苦労しているそうだ。

 だから貴族だの大商人だのしか食べられない高級品。


 しかも卵の味は劣化しているらしい。

 結果的に冒険者がたまに盗んでくる卵は未だ貴重品だ。

 ちなみにキラーコッコたちの方針はできるだけ卵死守ではあるものの彼らの女王であるコッコクイーンを生かすのが最優先。


 場合によってはトカゲの尻尾切りのように卵をいくつか置いて逃げる。

 それを回収するというルーチンワークでなんとかなる。

 特性さえ知っていれば能力が偏っているので対策可能なためある程度腕の立つ冒険者がたまにそうやって入手してくる。


 昔分けてもらい食べたが確かにアレは美味しかった!

 現在酪農計画は魔物ではなく外界に棲む一般的な獣たちだがキラーコッコたちから卵もらえたらなあ……なんて妄想してしまう。

 この焼きそばの上に目玉焼きがトロリ……いけない食べたばかりなのに小腹が空いてしまう。


「お兄ちゃん、この串焼き最高だね!」

「うおお! ハックの焼きそば、口が止まらないぞ!」

「ほんと、おいしいねえ買ったの!」


 賑やかさが食事の影響で徐々に談笑の集合くらいに落ち着いてくる。

 背後の屋台の方はまだ賑やかだから魔物たちが次々来ているのにもかかわらずだ。

 吸い込まれそうな星空が静寂で辺りを包み込んでしまう。


「次は何を買おうかな……」

「あ、流れ星!」

「え!?」「どこだ!?」


 ハックの言葉に私とインカが慌てて空を見上げる。

 確かにわずかだが。

 それでも最後の煌めきだけは見えた。


 1つの白い光がキラリと輝いた一瞬がよく見えた。


「「おおー!」」

「見えた?」

「見えた!」

「これは何か良いことがあるかもね!」

「もう、これが良いことだよお姉ちゃん!」


 流れ星に気づいたのはハックだけではなかった。

 周囲からのどよめきが起き出す。

 これはまさに天からの贈り物だろう。


 そしてその贈り物効果で静寂の中の賑わいは空が白けだすまで続いた……






 こんにちは私です。

 本日は大陸の方……帝国に来ています。

 まー大山脈降りたあとの道は実に楽だ!


 今もざっとカエリラスのちょっかい出しを追い払ったところだ。

 今回は魔物たちだった。

 戦闘時の言葉の節々を捉えるに魔王を復活させるというカエリラスの言葉を甘言と感じて集うものも少なくないらしい。


 魔王って食べられるの? みたいなこっちの面々とは違って代々話を受け継いだりそもそも長寿命で記憶があったりと。

 事情はニンゲンと同じように各々あるせいで魔王がいたほうが良いとする者もいるみたいだ。

 そのせいでアノニマルースも疑われなきゃ良いんだけれど。

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