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五百十三生目 茨晶

「――と、それで色々といいましたが、やはりキモであり華は心臓部であるマジックコアです!」


 バローくんが瞳をキラキラさせながらそういい切った。

 魔法武器を作るためにバローくんの知恵を借りている。

 そのため鍛冶師のサイクロプスたちやニンゲン鍛冶師カンタもいる。


 サイクロプスサイズの巨大すぎる机の上に私達が乗りサイクロプスたちに見下されながらバローくんの講義を受けている。

 今一通りの解説が終わったところだ。


「そのマジックコアが、これらの素材?」

「ええローズさん! 魔法加速器の形状によって優先して使う素材も変わります」

「なるほど」

「例えばスティックなんかは小さいので、芯のある魔物の毛なんかを用います。幻獣あたりの毛が多いので、普通はなかなかない毛髪なんですが、数本あれば大抵大丈夫なのでトータル的には市場に良く出回ります」


 バローくんは指揮棒のように短い杖とピンと張っている緑の毛を手に取る。


「これはカーバンクルと呼ばれる魔物の毛ですね。魔力がこもるとこのように良く長く立ち上がります。ええと……逆に大きいのを! 両手杖は、このように杖の先端に宝石のようなものを取り付けたりします」


 バローくん今度は両手で抱えて持つ杖を持ち上げた。

 先端には丸く赤い玉がはめ込まれている。


「ふむふむ……って待ってくれ。それだとさっきの話と矛盾しないか? 金属はダメなんだろ?」

「確かに! でも実は特別な処理を施している場合、マジックコアにだけなら使えるのです。そうやって杖に特別な力を与えます」

「これの場合良質な粘土と魔力と赤い宝石なんかも良くまぜこね着色し焼いたものですね。基本的にこういう構図……式が成り立てば……効率良く出来上がります。アルスの法則ですね」

「ああ! なーるほど! アルスの法則か! 読んだときはさっぱりだったがここに来るのか!」

「あー、待って待って、今書き留めます」

「なんとなく私にもわかった……つまり、橋渡しとしての回路が成立していると、心臓部から無駄にエネルギーが放出されずに済むのね」

「ええ、そうです!」


 子どものバローくんが書き留めた図式と説明を必死に自身のメモに書き写す大人たち。

 なんだか奇妙な構図だがそれが将来の天才を思わせた。

 私も必死に考えに追いつく。


「マジックコアか。もちろんそれなりの者は収集できているからやり方さえ分かればそれなりのものは量産できそうだな」

「もちろん魔物の素材を埋め込んでそのまま使うこともできます。ここにはないですが、人魚の涙という一部の人魚型魔物が持つ結晶石あたりを、使った両手杖もあるそうです」

「魔物の一部が使える……ということは、ニンゲンの一部も?」

「ローズさんそれは違法です」

「ですよね」


 さっくりと返されてしまった。

 そりゃそうか。血で血を洗うバトルになってしまう。

 魔物たちも法律的に保護されていなければ危険だろうし。


「うーん、やっぱりいいですよね、魔物! 金属にはないものを兼ね備えているし樹木の足りない部分すらも補いますし!」

「我らサイクロプス(ドンプロ)種は鍛えるのは得意だが、そういったものへの適性はないはずだ」

「私はどうなんだろう……毛はともかくとして、身体のパーツは色々あるし……特に"進化"したときに」

「トゲは役立っていますよ。組み込んだ武具のデキが違う。使用者も身体の一部のように馴染むとのことです。土の加護のおかげですね」


 カンタの言う通り新武具には私のトゲを使い土の加護を適応させている。

 もしかしたら魔法武器の方にも何か使えるかもしれない。


「魔法の姿になって……と」

「おお! 相変わらずびっくりしますね! 服も着てますし……」

「うん。ええと……」


 ホリハリーという2足の"進化"をした。

 バローくんの言う通りこの姿だと一体化していた服が具現化する。

 ニンゲンぽくみえるからバローくんを前困惑させたことがある。


 それはそれとして。

 何か使えそうなものってあったかな……


「……あ、その石!」

「え? これ?」


 手癖でいじっていた胸元に生えている石をバローくんに指摘される。

 ちなみにこれに触ると精霊2体と交信できるから大事。

 そう考えるとたしかにこれは魔法加速器の役割を果たしていそう。


「これ……かなりのものな気がします」

「どれどれ……確か本で見たような……あった!」


 カンタが手元の本で1つのページを探し当てる。

 確かにそこには私の胸元にある石と酷似した絵が載っていた。


「ロゼスオーラか……まるでその魔物の血が集まったかのようなもので、現代はたまに出土する以外どの魔物がもっていたかも不明で、絶滅したと言われていますね」

「私の血、黄色なんだけれど」

「まあそこはたとえみたいなものですから……」


 本の内容から推測するには確かにこれっぽい。

 ホリハリーが"進化"せずとも存在した時代というものがあるのかもしれないなあ。

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