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五百十生目 包囲

「ぐはあっ!」

「来たか!?」「もう倒された!?」「強っ」


 とある閉所での戦闘中。

 敵魔物兵を3体掃討したらついかでゾロゾロとやってきた。

 どう動くかを思考しないと囲まれる。


 正面にいて狭い場所ということに変わりはない。

 切り抜けるルートを想定し……突撃!


「うわあきた!」「攻撃だ攻撃!」


 数で押すために前方からは直接の攻撃。

 さらに後方からは魔法の炎や氷が飛び交う。

 ドライ!


(大丈夫だ、補助行動は任せろ)


 振り下ろされる爪をかいくぐりつつさらに踏み込んで前脚で殴る。

 そしてトゲを伸ばして薄い腹部の方に刺し殴りそのまま投げ飛ばす。

 攻撃がまさかの防がれ方をしたもうひとりの前衛が飛んできた味方に戸惑ううちに接近!


 2足型のその魔物兵の鎧が構造上どうしても弱い関節狙いで爪で裂く。

 崩れたら蹴り飛ばしつつトゲを伸ばして更に背後の相手へ刺す。

 高速で移動しながらの攻撃だから魔法が被弾することなく避けきれる。


 攻撃がかち合って押し切り……


「なぜ刃を爪で!?」


 重そうな斧のひと振りは身体でつるりと受け流しつつ顔面を後ろ足で蹴り飛ばして……!


「ウソッ!?」


 防御を縫うように走り飛んでくる炎をかき消し連続で叩き込んで。

 まさに渡り飛ぶように殴り込む。


「「ぐわぁ!?」」


 最後の相手に思いっきりのしかかって頭を床に叩き込む!


「ど、どこにそんな重さが……」


 ふう。なんとか殲滅できた。

 私もいい加減ちゃんと技術磨く必要があったからね。

 ちょうど良い機会だ。


 騒ぎを聞きつけここに集まってきている足音がする。

 ここから次の角までは少し遠いか。


「いたぞ!」

「撃て撃て!」


 人型2体がもっているのは銃か!

 研究所のような迷宮で大量入手したは良いものの単発式で威力も低かった銃。

 それをみんなで改造したものだ。


 どれほどかというと……

 撃ってきた!

 射撃音が鳴り響き(エフェクト)を纏った弾丸が突っ込んでくる!


 だが狙いは直線状だ。

 細長い通路だから確かにふつうなら避けられないが……ダッシュ!

 そして壁へ跳んで……そのまま走る!


「壁走り!?」「は、早い!」


 狙いを変えれば即座に位置を変え反対側の壁も伝いそのまま2匹へタックル!

 こちとら身軽なのだ。

 重装備の弱点も知っている。


 そのまま押し倒し踏みつけ隣の相手は長めの銃を前足ではたき落とす。

 そのまま流れるように防具の関節部などを狙い切り裂けばおとなしくなった。

 まだまだ連続でやってくるっぽい。


 後方からの足音を聞きながら前へと駆け次の曲がり角にいる相手をはたき倒しさらに前へ。

 そのように流れを繰り返して……





「うーん、これはさすがに……」


 少し開けた場所に出たかと思いきや周囲に大量の兵士たち。

 さらに設置型の銃座やバリスタさらには爆発物の用意に石がたくさんで上方にも陣取って待ち構えている。

 これは『魔法を使わない』で"進化"も出来ない今では無理だ。


 おとなしく座ってから両前脚を上げ降参した。


「はーい! お疲れ様ですー!各々撤収準備してください!」


 その場を指揮していた部隊長から指示が飛ぶ。

 すると先程までの緊張感とはまるで違って開放されて空気が流れ出した。

 ざわつきつつも置いてあるものなどを片し始めている。






「ふう、今回は結構行けたと思うんだけどやっぱり新防具が強いね……」

「おつかれさん。みんなもう治療は済んでいる」


 私は別室で運動した後の紅茶をもらっていた。

 皿に入ったのを舌ですくって飲む。

 向かい側にいるのは熊のジャグナーだ。


「こっちでもデータはとったが、実際どうだった?」

「厄介だね。なれるまで手間取ったし、強者でも吹き飛ばそうとしたら逆に受け止められるだろうから」


 そう。今回私は魔物兵たちの新防具テストのために訓練をかねて戦闘をしていたのだ。

 ただ私は魔法を縛ることになったため結構大変だった。

 なにせ「何も縛りなかったら勝負になんねーよ、こっちも初なんだから」とジャグナーに言われてしまって……


 まあ正直今回のやり方が次も通じる気はしない。

 おそらく新武具の弱点も理解して対策を取ってくれるだろう。

 そのためのデータ集めなんだし。


「ただ最後のアレはやりすぎじゃない?」

「仕方ねえだろ、最終エリアまで踏み込まれちまったんだ。新武具を着て参加している兵100匹中85匹倒されているから、もうあそこにかけるしかなかっただよ」

「訓練用の屋内型戦闘エリア、実際は上空からデータ取るために吹き抜けなのを利用するのは、反則に近いよ……」

「逆だ、戦いってのは相手の思い込みを利用して反則だと思わせるのが定石。屋内という想定であっても天井を改造してはいけないというルールはない。戦いは、反則こそが王道だ」


 上空からデータ収集用の鳥魔物が観測するために屋内設定ながら天井はない。

 そこを逆利用されて罠を仕掛けられたのが今回の敗因だ。

 魔法も使えなかったしね。


 まあ……訓練でよかったとしか言えないや。

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