五百九生目 試験
ホワイトアイから祝福というものをもらう。
私達の体内に溶け込み不思議な感覚が分かるように。
そこで意識したら一面の景色が切り替わった。
それはなんてたとえれば良いのか。
現実に当てはめられた別情報……拡張現実……
そう! ARだ!
みんなの目にも次々と青白い光がまた映りだす。
受け取ったホワイトアイの祝福を通してホワイトアイの姿をした半透明ドラゴンたち複数が空を飛んでいるのを見た。
これがホワイトアイの見ている世界!
「その様子、視えたか」
「すっげえぜ! あれみんなホワイトアイなのか?」
「壮大だ……」
「幽霊!? 苦手なんだよ!!」
「どういう景色なんだ、これは」
ホワイトアイの問いにイタ吉やジャグナーそしてダカシが各々返す。
満足そうにホワイトアイは目を細めた。
「彼れは、儂の映し身。儂自身であり、次元を変えた所に在る者」
「次元を変えた……?」
「彼れも儂であり、隠れ潜ませている、コピィというものだな」
わかったようなわからないような。
ただまあおそらく能力なんだろうなというのは分かる。
精神生命体というだけあって理を超える何かすら手に入れているのだろう。
そうざっくり理解したところでふと視線を落とすと地面にさっきのサークルが視えた。
「……あ」
「ん? おやほんとだ」
「さっきのじゃん」
みんなが次々気づいて各々感嘆符を上げる。
やはりホワイトアイは満足そうだ。
「これで、使用可能だ」
「な、なあ、この力って何か、大丈夫なのか? 俺の中に入ったしさあ」
「知らぬ。が、不利益にはならぬ。朋友は害さぬからな」
「すっげー不安になる説明」
ジャグナーが不可思議現象についていけずに倒れ込んだ。
まあ確かになんか入れてしまって本当に大丈夫かと不安にはなる。
信じるしかあるまいか。
「彼れを視たのなら、儂が、普遍と理解しおろう。儂は、常に其方らを、空から見守ろう」
「なんか気恥ずかしいな……」
「ちゃんと見分けてくれよ? 俺がイタ吉だからな!」
ダカシの言う通りプライベートを、考えてもらいたい。
イタ吉の言葉はともかくとして。
そうして私達はホワイトアイに別れを告げ反対側への下山を始めるのだった……
下山のしかも拘束者1名かついでの大変さをとってもナメていたが。
こんにちは。私です。
水色に近い青の毛皮でケンハリマという魔物で4足の獣やっているけれど転生者で記憶はあまり保持されていなかった私です。
それでも経験はある程度引き継がれていて意識すればそれを脳内サルベージしてどうにかするんだけれども……
下山のヤバさも覚えていてもらいたかたった!
今はなんとか降りきっている。
魔王を蘇せようとする秘密結社カエリラスのひとりは魔物だからニンゲンに渡すのは難しい。
だから私達の群れアノニマルースに帰還してそこの留置所に捕らえた。
無事依頼を終えたのだけれど。
下手すると死んでいた!
登山より何倍も大変とは!
私の毛並み蒼白に!
みんなは何度か見失いかけ!
やわらいでいる天候のみが救いで!
無事降りきったときは感動で激しく身体をこすりあってしまった。
獣はわりと動きの会話が大きいからね。
感動は声以上に顔を横からゴシゴシしたりして伝えあうのだ。
さて今は。
大陸での臨死体験サバイバルは少しお休みして。
アノニマルース兵たちの新武具に関してのテストだ。
私はとある物陰に隠れ息を意識してひそめる。
場所はとある迷路のように入り組んだ閉所。
"鷹目"で先の事を正確に把握。
3体……いや"見透す眼"。
通路の角に10体以上。
誘い出して囲むつもりか。
あの鎧は私のトゲすら阻む。
まともにダメージを与えようと殴打するにしても狙わないとかなりの割合を威力軽減されてしまう。
さあ……でもやるか!
前脚からトゲを複数生やして……"針操作"で投げる!
複雑な同時空中制御の難しい部分はドライに任せて角の向こうへシュート!
「おわっ!?」「ぎゃ!?」
突然の飛来に驚きの声を上げる3体。
20ほど飛ばしたトゲに私も続いて飛び出す。
グッと恐怖から守るように3体の魔物兵が身をこらえると全面に青っぽい光が膜のようにはられる。
そこにトゲが降り注ぐと膜そして本体が衝撃に揺れる。
トゲ強打しきりすべて落ちたあとに思いっきり飛びかかり爪で切り裂く!
ついに1体目の防御膜が壊れ衝撃でひるむ。
「なっ――」「それ!」
鎧は複雑な角度をしていて殴るのはうまくやらないと威力が外に逃げてしまう。
四足型のこの魔物は私よりかは少し大きめだし額には攻撃用の刃がある。
だがら……くるりと回りつつその勢いで首側をしっぼで殴る!
そのまま後ろへかっ飛ばす。
連鎖的に後ろの2体の膜も壊されたので接近し関節を狙って踏み抜きバランスを崩してたひっくり返し叩き落とす。
この騒動で次が来るな!