五百四生目 悪食
ホワイトアイは実質敗退しバリスタ組による迎撃が続いている。
ただバリスタの射撃は絶対当たるわけじゃない。
最初のはあたったが2発目は今避けられあちこちで爆発している。
爆発……そうだ。
"ストックセーブ"した魔法の組み合わせをロード。
威力を高めるため集中して……
「ちいっ! 邪魔なんだよ!」
「「うわあっ!」」
バリスタの操作組に直接鎌の斬撃が飛ぶ。
避けたり防御してしのぎつつバリスタの矢を放ち反撃。
よし魔法できた!
土魔法と火魔法の組み合わせ。
ちょうど相手の大口分程度の大きめの石ができた。
魔法として相手へ飛ばす!
「それっ!」
「そんなもの、食ってやる!」
召喚獣スターべが3つのうち中央の口でかぶりつき……
カッ! と輝く。
激しく爆破!
前も使った石手榴弾だ。
衝撃をスイッチとして炸裂するから相性が良い。
「よし!」
「んーーー!!」
まさかの出来事だったらしくまともに受け身もできず吹っ飛んで転がる。
3つの頭ともまるこげで目を回している様子。
スターべは封じている今!
(行け!)
剣ゼロエネミーをドライが飛ばしエポニードを襲う。
大剣モードのゼロエネミーをエポニードはしなやかな身体で回避しムチのようにしならせて弾く。
だがこちらも手を休めない。
ブンブンと十字に切り回り"回転切り"もしてやっと大きく1回大きく入る。
でもダメージは大きめだ。
横に大きく入ったところ両腕でなんとかガードし立っているが痛々しいほどに切れ込みが入っている。
出樹液ダメージは……もう止まってしまっているのか与えられない。
(ならもう一度!)
むっ。スターべが起きてくる!
そこに合わせてバリスタ隊が追撃!
スターべが跳ぶ方向を切り替えバリスタから逃れる。
「すすスラッシュ」
「ららららぁ!」
変わりに熱鎌から斬撃を乱打しバリスタ3つと3匹を切り裂いていく。
ただ命中率は低めであくまで牽制が目的のようだ。
ダカシたちは"防御"してしのいでいる。
攻撃が落ち着いて着地したところを火魔法"エクスプロージF"!
いきなり収束する魔力に驚き鎌で防ごうとしたころに爆発!
下側に仕掛けたからスターべは爆風を受けて宙に浮き飛ばされた。
「何っ!?」
「おお〜」
アインスはスターべから目を離さないで。
本当は強制的に距離を取らせた今アインスをエポニードの追撃に回したいんだけれどスターべも見張らなくてはならない。
幸い"鷹目"で見て剣ゼロエネミーを振るっているドライはエポニードを押している。
「ぐっ、それ以上、やらせるか!」
「すすスパイク」
スターべの全身にまた私のトゲが生えなんとか地に降り立つと靴裏スパイクのように使って自身を地面に支える。
そのまま大量にトゲを剣ゼロエネミーに放ってきた!
少しなら弾けるが多勢に無勢。
すぐに跳ね飛ばされてしまったのでドライが慌てて私の付近へと戻す。
今度はトゲがこちらに来た!
大盾モード! 防ぐ!
「そんなこともできるのか!?」
スターべの驚き声と共にトゲが降り注ぐ。
大盾にガリガリ当たってすごい音!
それでもなんとかしのぐ。
「さあ、まだまだだ!」
戦いはしんどく体感上かなり続いた。
本当に数分程度ではあるんだろうけれどやりとりが高速かつ高破壊力で気が抜けない。
今もスターべに噛みつかれかけ慌てて下がった。
変わりにエポニードに対して"ズタ裂き"!
エポニードの長い足に赤い光をまとった剣ゼロエネミーの1撃が当たってエポニードに引かせる。
両者距離を取って並び立ち構え直す。
スターべの特性はだんだん理解できていた。
スターべは魔法すらも先程の石壁のように食べてしまうがその前に爆発すれば食べられない。
こちらの魔法は相手の大きな回復手段になるから危険ではあるが選べば大丈夫。
"ヒーリング"で自身を癒しつつアインスに立ち回ってもらう。
空中にふよふよ浮いていたのを急加速。
相手も足を動かしだした。
トゲ投げはダメだ。
さっきから試すたびに刺さったあとに喰われてしまう。
回復される量は少ないがダメージ与えた分くらいは回復されてしまう。
そのかわり相手は自食は無理らしい。 自身が撒いたトゲには目もくれない。
いわゆる自分を食べて生き延びられるかみたいな面なのだろう。
「全然ドラゴンやらバリスタたちの元には行かせてくれねぇな……ただ、だいぶ分かってきたぜ」
必死に向こうに行かせないようにかばっているだけある。
バリスタも発射されるのは良いが本体が食べられると元も子もないから必死に守っている。
そのかわり矢の爆発援護はかなり良い。
「ふふフルストーム」
「らああああああぁっ!!」
「うっ! パワ〜が!?」
跳ね上がった!?
思わず気圧されるほどのエネルギーがスターべに渦巻く。
1番大きいのが来る!