五百三生目 変身
「混ぜてもらおうか」
「ゲッ、来た!」
尊厳な雰囲気の声のままだがホワイトアイは"観察"する限り疲労気味だ。
自動回復するスキルがあるようだがのこり生命力4割で行動力はもっと減っていて3割。
さっきの大技がなかなかキマったがその分の疲れは出ている。
上空から大口を開け普段は取り込まない大気を吸い込む。
そして口の中でエネルギーが収束し光の玉に。
そこから青白い光線が放たれた!
「へへ変化、フライト」
「ぬおぉはええっ!」
腕にまた翼が取り付くような変化をしエポニードもスターべの持つ紐を掴んで戦線離脱した。
ドライが操る剣ゼロエネミーもすぐ跡を追う。
地面へ光線が着弾。爆発!
「うわあおっ!」
スターべが爆発により吹き飛びバランスを崩す。
それでもなんとか飛行しようとするあたりはとんでもないが……
剣ゼロエネミーの脅威は止まらない!
そのまま追尾しまるで投げつけたかのように直線コース!
ストレートにスターべの横腹を貫く!
「ぐふっ!?」
そのまま地面へと放物線状っぽく地面へ叩き込む。
当然紐でつながっていたエポニードも同じに地面へ叩き込まれた。
食われないようにすぐに剣ゼロエネミーを離す。
「っ! 少なくとも意識は奪ったと思っ――」
「そこーっ!」
空から急加速してエポニードに落下蹴り!
くの字に折れ曲がり周囲の地面が割れ凹む。
体重はそうない形態だが速度で上乗せだ!
くるりと飛んで離れ構え直す。
召喚獣と召喚者の両者なんとか立ち上がってきた。
エポニードはあと3割ほどだが……
「この手は使いたくなかったが……エポニード、アレを!」
「……ん」
エポニードかスターべへ何かを投げつける。
受け取るとこちらに見せつけたあとに飲み込んだ。
なんというか……丸薬的な?
「うげっ、クソマズイ!」
「こないならこっちから……!」
アインスが飛びかかろうとする。
だがその時に急激に膨らむ気配と同時に光が空気ごと私の身体を吹き飛ばす。
「わあっ!?」
なんとか空中でブレーキ。
ふたたび向き合うとこの冬山の雪が溶けるほどの熱を携えたスターべが。
エポニードが振動しながら帝国語で語る。
「だだ大変化!」
「うおおおおぉぉ!!」
スターべの全身が一気に変わっていく!
3つ頭の角が巨大化し毛皮に龍鱗が混じっていく。
もともと虎の頭ではあったが牙が巨大化。
腕には翼。胸は飛ぶために筋肉が肥大化し手先は熱を持った鎌へまた変化。
さらに腹は傷がふさがり割れ腹筋型の虫のような甲殻に覆われる。
腰にも覆ったかと思うと竜の尾が生える。
あの尾……食べていたホワイトアイのものだ。
さらに脚がライオンのそれのようになりかぎ爪をむき出しにした。
「大・変・化!」
「ぜーんぶかわった!?」
さらに"観測"するにエポニードが生命力1ゲージ分回復している。
つまり残り1本と3割。
せっかく減らしたのに!
気配からして強さが前よりも跳ね上がっている。
まさに奥の手らしい。
「虚仮威しは、通用せぬぞ」
ホワイトアイが上空からはばたき青白い光の風を放つ。
低温の風がスターべに迫り……
「それは、どうかなぁ!!」
「すすスラッシュ」
空中へと飛んだスターべが横回転し熱の鎌から大量の斬撃が飛ぶ。
赤の光が飛ぶ刃としてかち合う。
連続で撃ち合い相殺しあうたび光が飛び散り爆音か鳴る。
大量の赤い光と強靭な青白い光。
押されてしまったのは……
「何!?」
ホワイトアイの次弾が間に合う前に炎の斬撃が飛来。
そのままホワイトアイを何重にも切り裂く!
「ぐぉ、があぁっ! こんなことが!」
緊急的に下がったがその勢いでバランスを崩し地面へと不時着。
恐ろしい質量と共に地面をえぐりつつすべっていく。
よかった。ギリギリ生きているらしく悪態ついている。
「おっしゃぁ! トドメを――なっ!」
ホワイトアイの方へ飛んで行こうとしたスターべに飛来する物体。
高速でやってきたそれを避けようとスターべが身をひねるがカスる。
次の瞬間爆発した!
「げほうっ!?」
「こっちは直ったし、ちょうど良い位置だったからな!」
「ついでに食べられないやつにしておいた」
「爆発するやつだぜ!」
ジャグナーたちのバリスタだ!
しかも食べられないために爆発性のものに変えたらしい。
よし。改めて私とアインスそしてドライで。
「サポートしてー! こんどこそ、たおす!」
「「おお!」」
(なにかスキを作れれば剣ゼロエネミーを突っ込ませられるぞ)
スキか……スキをうむのは今みたいにスターべが吹き飛ぶ必要があるなあ。