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四百九十八生目 不食

 ドラゴンの……ホワイトアイの瞳は未だ戦意を失ってはいない。

 ドラゴンならではの高すぎるほどの戦闘意思。

 彼も持っていたか。


「でもよドラゴン、戦うのは良いがドウ見てもボロボロじゃねーか。せめて治してからにしな」

「……一理、あるな。……グガアァァァ、ガアッ!」


 イタ吉の指摘を受けると突如とし擬音表現しづらいて唸り吠える。

 大気が震え振動が響き渡り大地すら揺れる。

 白い靄のような(エフェクト)がホワイトアイの巨体を包むと中から突き破るように身体が出てきた。


 それは氷の鎧。

 壊れかけていた肉体が氷のような結晶と一体化するように変化。

 尾も凍てつく。足りない尾先は氷結晶の鋭い槍のようなものな代わりに生えた。


「けけ形態変化……!?」

「まぁだ奥の手を隠してやがったか!」

「ふ……そちらの手は既に見せて貰った。元々(わし)だけでカタがつく。が、狩猟したくば勝手にせよ」


 "観察"……うん。ハッタリだ。

 一度貫通したからか味方認識されたからか簡単な情報だけなら見えた。

 生命力が5割程度まで癒えている……いや最大値が増えてなんとかなったのかな?

 ただその程度だ。


 劇的にレベルがあがったりはしていない。

 能力がメキメキ強くなっているわけではない。

 より戦闘向きの姿にはなっただろうが明らかに不利と踏んで私達を味方に引き込みたがっている。


 威厳な態度だがにおいが隠しきれていない。

 どこかこちらを探ったり心配したり……そんな雰囲気。

 こちらの強さはどこまで見抜いているかはわからないけれど。


 さっきの"観察"で"言語学者"の組み合わせが発動し彼の言語が分かったおかげだ。

 細かいそういう聴覚以外の言語も理解できる。

 ホワイトアイにバレたら証拠抹殺ということで敵対しかねないが。


 なにせ口調から察せられるプライドの高さよ。

 そもそもかなりの手負いの時点で引いたほうが危なくないんだからねえ。

 とりあえず行こうか。アインス。


 アインスは私の身体をふよふよ浮かせながら前へと進む。

 さすがにホワイトアイが半端じゃない大きさだからかなりの距離進んだけれど。

 なんとかホワイトアイの横に並んだ。


 イタ吉たちも服飾を武装変化させていく。

 これはオーダーメイドなのは言ったとおりだが仕掛けもある。

 行動力のスイッチでクローブレードが飛びだしたりしちゃう。

 軽鎧を仕込んであるし攻防が可能なのだ。


 これでここまで戦ってきた。

 私は脱いでいるけれど。


「じゃーわたしたちはこっちでー」

「やってやるか」「うし!」「気合十分だぜ!」

「おいおい、一気に不利になったぞ! コレどぅするんだ!?」


 アインスの言葉にみんなが続く。

 さすがに焦りの色を見せる召喚獣スターべ。

 しかし召喚者のエポニードは顔色ひとつ変えなかった。

 そもそも身体が木に近いから表情変えられるかわからないけれど。


「だだ大丈夫、キミの力は無敵だ」

「え!? そうなの!? って俺かよ! どこから来たのその過剰な自信は!?

 なにせやつらあれだろ、最近カエリラスを潰しまわっている奴らと特徴が一致している! だいたいは!」


 エポニードの言葉にスターべが食い込むようにツッコむ。

 やはりバレていたか。

 あまり隠す気はなかったし。


「……? えええと、布に覆われていた奴らではないよ?」

「目が節穴ー! 防寒具ー!! お前も着ているだろー!!」

「きき木だけに? ……あ」


 まさかのエポニードに拳握りしめて空に向かってスターべが叫んだ。

 さすがにそこまで言われて気づいたらしく小さく声をもらしていた。

 なるほど服っぽいのを召喚者エポニードは着ていると思ったがあれも防寒具か。


「ししじゃあ……なおさら全力で潰そう」

「ええい! こうなりゃやりとげてやる!」


 エポニードの態度にヤケを起こしたスターべが叫ぶ。

 3つの頭が吠えると周囲の大気が震える。

 ホワイトアイの咆哮に負けてない。


「ねえねえ、あいてのタタカイカタってなに?」

「まず宣言というものをしていたな」

「ああ! 改めて宣言! 『俺は何でも食いお前らは何も食えねえ!』 まあ喰うことだなんて魔法薬持ちのニンゲン相手ぐらいしか大きくは影響ないがな!」 

 エポニードが全身震わせながらエポニード種族の言語で命令するとスターべの3つの頭が吠える。

 う。地味に嫌な効果を……

 控えではあるが治癒薬は持ってきている。

 咆哮と共に私達に暗い色の(エフェクト)がまとわりついてから消える。

 イタ吉がとっさに雪を口の中にほうりこんだらすぐに吐き出してしまった。


「うげっ!? なんだ!? 身体が受け付けねえ!」

「フッフッフッ、末恐ろしいだろう。正直テメェらみたいなただの生き物なら、このまま俺が雲隠れすれば餓死よ餓死」

「まあ、儂はそもそも何も食わずに生きていけるがな」


 訂正。地味どころか最悪の能力だ。

 噛みつき攻撃の実質封印。私達みたいに何か食べないと生きていけない生物は向こうが何もしなくてもやられてしまう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 傲慢、色欲ときて食べていたって事は暴食だね
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