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四百九十五生目 浮遊

 山を登る。

 もう二度と登りたくないなという思いを込めつつ。

 魔法の補助と鍛えた身体がなきゃこんなところまで来れるはずもなかったと考えつつ。


 静寂な10合と9合の境目。

 ここから上をグルグルと回り込みながら登れば頂上にたどりつく。

 私達はこの周辺を移動しながらドラゴンを探すこととなる。


 呼んでない時は来るのにこういう時はなかなかこないもので。

 補助魔法ひと通りかけ終えつつ周囲を探っているもののなにせだだっ広い。

 縦に大きく伸びているだけとも言えるが私が主に拾えるのは横の範囲だ。


 上空数百m上のことだなんてわからないし見てもただ白が広がるだけ。


「こねえなあ、ドラゴン」

「こういう時に限って来ないねえ。わざと気配を外に放っているんだけれど」

「ああ、だからか。なんだかいつもよりざわつくと思った」

「……本当にそれだけか?」


 イタ吉の愚痴に返すとジャグナーが乗ってきた。

 ただダカシは何か引っかかるらしく考え込む。


「どしたの?」

「……いや、やっぱり何でもな――」


 ドン!

 響く重低音が一気に私達に警戒心を募らせる。

 今の響きの発生源は……上か!?


「な、なんだ!?」

「あそこ! 煙が!」

「ドラゴン……? じゃないのか?」

「とにかく行ってみないと! でも遠いな!」


 モクモクと黒煙が白に混じって山頂から立ち込めている。

 ただこっから山頂はまっすぐ行けるならともかくまともにルート考えながら行くとすると時間がかかる。

 まずココらへんはほとんどニンゲンも立ち入っていない。


 なのでデータも少なくこの急勾配を迂回しながら少しずつ上に行く道を探し少しでも安全な崖を必死に駆け上がり……とやらなくてはならない。

 だがそれだとあのドラゴンがいそうなポイントに事件が起きている今間に合わない可能性がある。


 確かに改めて言われればそして爆発も起こったあとの今は無視できないざわつきが身体を駆け巡っている。

 急がなければならないのは確かだがエアハリーに"進化"してもいけるのは私だけ……どうしたら……


(うーん……あ、あった! そらのドラゴンさんから、ノウリョクかりれるよ!)


 そらのドラゴン……ああ、あの地面が少なく雲海の上にある迷宮か!

 あそこで部下たちと共にそのドラゴンに乗り巨大にトランスした氷エレメンタル魔物を倒したなあ。

 とりあえずエアハリーにならないと。アインスはそれを用意して!


 4つの魔力を発生させ組み合わせる。

 本来混じらないそれらが混ざり合うその時に。

 爆発的パワーが体内を駆け巡る!


 "進化"!

 エアハリー!

 全体的に小型化して代わりに背中からは針でできた骨格のような翼。


「お、おいローズ!? その姿、ひとりで行く気か?」

「いや、ちょっと待ってい――」


 また轟音!

 遥か空から新たな爆発音!

 今度のはまた大きい!


「ん? ……あ! あれ!!」


 ダカシが慌てて首を向けた先。

 そこは私達より遥か上ではあるが……

 頂上よりも前。


 雪が崩壊している。


 これが表すことは。すなわち。


「「雪崩だーー!!」」


 雪山で気をつけなくてはいけないバッドイベントトップクラスの事。

 大きな音と振動による雪崩。

 しかもしっかり私達の方向に来ている!?


「ろ、ローズ! 転移魔法を!」

「無理、ここじゃあ環境で妨害されている! そのかわり……」


 ジャグナーが慌てて指示してくれたがここではワープ系は不可能なのだ。

 ただもう少しで……


(できた! 体かりるね! とぶよーー!!)


 身体の支配権がアインスに移る。

 この時はなんというかいつも不思議な感覚なのだが身体の感覚は同じなのに私が一切身体を動かせないのだ。

 やろうと思えばできるけれどそれで無理矢理奪う時はそうないし。


 アインスが身体を操作しエアハリーの能力を使いこなし空中へ浮く。

 私はもうこれだけで腹の底が冷える思いだ……


「みんな! シゼンタイでよろしく!」

「うん? その声の感じは?」

「あー、アインスか……後で説明するわ」

「なんかするらしいぞ、大丈夫なんだろうな?」


 私の身体から風を思わせる(エフェクト)が発生する。

 地面へと広がりダカシたちまで包んだ。

 するとダカシたちがふわりと空に浮かびだした!


「そうれ!」


 みんなの身体が宙にふわりと浮いた。

 突然のことにみな困惑しジャグナーなんかは泳ぐかのように暴れだす。


「おおおお! おい! これ大丈夫なのか!」

「ダイジョーブだからあばれないで! チョーセイしづらい!」


 暴れ疲れたのか話を素直に聞いたのか諦めたらしくだらりと垂れるような姿勢で固まった。

 借りてきた猫かな。


 この能力思い出したけれど飛行魔法だ。

 キラーコッコが使っていたのは自身のみだったけれどこれは他者へ放つものか。

 飛ばしたり飛んでいる相手なら地面に叩きつけたり出来そうだね。



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