四十六生目 電戦
1/20投稿分の、2/2です
やはり血とか痛みとかがあります
遠距離と接近戦を繰り返し行われる。
"私"が撃ち相手も撃つ。
相手が切り裂き"私"が刺しこむ。
特に接近戦は炎と雷の壮絶な殴り合いだ。
土槍は多く行動力を消費するから乱発はできない。
ただ現在でも地面のあちこちから土槍が生えていた。
古いのから順に崩れるがそれより早く次のが来るからだ。
決めれるとは思わないが翼をかすり脚を切り行動場所が制限される。
雷を全身に纏いながら高速で跳び回り"私"は予測して魔法を撃ち込む。
近づけば雷で焼かれながら"私"の炎の牙で焼きぬく。
地面蹴りからの電撃放射は後スキが大きい。
大きく影避けで避けてから土槍をぶち込んだ。
血を散らしながらすぐに土槍を崩して向かってくる。
観察してみてもある程度は自動で生命力が回復するらしい。
"私"が防御に徹せざるをえない時は目に見えて少しずつ治っているのを確認している。
まあ"私"もヒーリングを使うからおあいこ様か。
そうして互いに流す血の量だけが増えていた。
「この私となぜこれほどやりあえる!?」
「こっちのセリフだ!」
少なくともオジサンの進化の力は圧倒的だった。
私のも感じた力はこれまでにないほどのもの。
それでも届かない。
だから、楽しい。
ああ、互いが互いの血をかぶり、互いが互いの身を焦がす。
強敵に恋するものたちに鳴り響く讃歌。
肉を削り合う音、爆発、空気を切り裂き、大地が地形を変える。
それらは"私"たちが奏で"私"たちに送られる曲!
互いを赤く染めるまで殴り合おう!
鮮血が飛び散り合う。
雷の刃をあえてスキル防御で受け止める。
全身を焼き切るほどの痛みはアドレナリンに変わる。
そしてスキル肉斬骨断で怯まずに食らい付く。
思わぬ攻めに大烏は漏れるような悲鳴。
構わずさらに背の針に力を通わせ光をまとい刺す。
そして背の針を操作して引き抜き流れるようにタックル。
一連のコンボで相手は大きく鮮血を噴き出した。
しかしまあそれでも踏み耐える。
血は生命力が続く限りすぐに噴き出るほど出なくなる。
それに生命力自動回復系のスキルを持っているから傷そのものも治る。
"私"もヒーリングして治しはするがなかなか綱渡りを繰り返している。
相手が剣からは電気が流れ込み身体も帯電して殴ればこちらも常に痛いんだもの。
今のも危なかった。
おかげで敵は大きく傷を負ったようだが。
あの剣の威力が高すぎる。
うっかり剣がかするたびにスキル頑張るでのギリギリ耐える力頼りだ。
とっておいて良かったスキル頑張る。
もはや相手の血か"私"の血かも互いにわからなくなっているうえに焦げ焦げだ。
血と肉が焦げるにおいは"私"をそそる。
「お前、帯電している私に突っ込んで来るなんぞ、狂ってるのか!」
「お前を斃すには突っ込むしか無いだろうが!」
"私"の白っぽくキレイだった毛並みは血と焦げと無理矢理な再生を繰り返して実に赤黒い。
最高じゃないか。
相手は最初から真っ黒だからわかりづらいな。
ならば分かるほどに穴だらけにしてやるか!
突撃。
雷の剣をすれすれで避け感電を多少しても無視して身体を動かす。
普通の身体なら筋肉が悲鳴をあげて言うことを効かないがさすが。
この姿で魔法さえ使えば電気より"私"の言うことを優先してくれる。
炎の爪で裂いて避け裂いて穿つ。
近距離で火の玉を放ったりと織り交ぜる事を忘れない。
ヒーリングで死なないようにしつつもかじりついて出血を促す。
大烏も小回りの効く剣を持たない腕で殴ってきたりと工夫を凝らす。
それに行動力の減少が大烏は著しい。
ここまで戦いが長引くとは思っていなかったんだろう。
"私"もだけれどね。
魔物同士の殺し合いは体力回復同士だとこういう事もある。
楽しい時間が長く続いてくれるわけだ。
ここまで殴り合ったのはイタ吉との1戦以来だ。
"私"はついつい殺気と怒気を撒き散らす楽しみを味わいがちだ。
けれどもそれが強敵を戦い生き延びるということだ。
さあ、私の進化で秘められた力、もう少し持ってくれよ。
相手が尽きるまで!