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四百七十六生目 弱点

 さらに戦い続けていた。

 私はイタ吉の傷を光魔法"ヒーリング"で癒やしてイタ吉をダンダラに当たらせる。

 ダンダラの能力は"獣"相手にとても高い能力を発揮できるが速度に対するボーナスはなかった。

 武技によりイタ吉の姿が何体も増えて高速でダンダラの周囲を取り囲み翻弄していた。


 イタ吉の武技は本物が1つで残りは影だ。

 襲いかかるイタ吉の影相手にダンダラが剣を振るってもモヤのよう消え去る。

 その背後から本物が蹴飛ばして時間稼ぎしていてくれる。


 "針操作"で手先から大量に針を生やし切り離して空中からドウを襲わせる。

 さらに剣ゼロエネミーが魔法で念力のように掴んで宙で動かし斬りかかる!


「フンッ!」


 ドウが気合を込めると全身の筋肉が一瞬だけ強く張る。

 針たちはその身体にまともに傷をつけられず落ちていった。

 剣は金棒で受け止め互いの(エフェクト)が弾け離れる。


 くっ! 土魔法!


[アーティトアン 土の針を連続で撃ち出すEスピアの強化魔法]


 私の前方から次々と直線状に地面から土の槍がたくさん生える。

 避けようと足に力を込めたドウの足元が崩壊し踏み外す。


「ん!?」


 この魔法が優秀な点は直前上の地面は発動時に予約してしまう点だ。

 土の槍たちに変化する直前だから力の圧力に弱くなっている。

 そこに立っていれば自然に壊れ踏み損ねる。


「ぐうっ!!」


 (エフェクト)を帯びた土槍たちが肉体をいくつも貫く。

 よししっかり入った!

 次の瞬間金棒で地面を思いっきり叩きながら火薬が炸裂。


 土槍を破壊しながら宙へわざと吹き飛ばされ土槍を身体から外す。

 近くの地面に転がるように落ちすぐに立て直す。

 血が1回吹き出てなんとか収まったらしい。


「やはり強い、な」

「なんなんだ今の動き……!」


 ドウが金棒をまっすぐ地面を叩くと空薬莢(やっきょう)が排出される。

 それと同時に魔力を感じたから魔法の仕組みでリロードあたりなんかありそうだなあ……気になる武器だ。

 ダンダラがそのスキの代わりに私へ斬り込んでくる。


 何とか跳んで避けつつ"影の瞼"で放つ威圧と恐怖を退ける。

 これらも本来厄介だ。

 ダンダラがドウほどレベルが高くないというので助かっているだけでこちらも十分厄介。


 例えば……今も頻繁に切り結びに混ぜ込んでくる武技であるクロス斬り。

 バッテン印に素早く2連斬りする武技で突然軌道が変わって斬り込まれる時点で厄介だが2回切り終わった後に斬撃としてゆっくりと飛来する。

 遅いから脅威ではない……と思ったのは最初だけだった。


「ぐっ! また飛ばしている!」

「潰せ! もう10個以上飛んでいるぞ!」


 ゆるく追尾しつつゆるく飛び回るこの武技。

 延々と残り続けるのだ。

 イタ吉とジャグナーが叫びつつ1つずつ岩なんかを投げたりして破壊はしている。


 おそらくアレはかなりの威力を誇るが気をつけていれば背後を取られにくい。

 その代わり延々と飛んで動く設置機雷と化したそれは立ち位置を狭く限られたものにしてしまう。

 そうして気を取られたものの意識の隙間にダンダラがやってきて。


「ジャグナー!」

「おわっ! イダッ!!」


 ジャグナーが背中を裂かれるが声掛けで気づき回避し深くは入らなかった。

 ただそれだけでジャグナーの息が荒く鮮血が舞う。

 宝石剣の1撃はどんなカスリ方でも"獣"に対して軽くない。


 光魔法"ヒーリング"を変化型で唱え飛行させジャグナーに当たると治療される。

 これでなんとか死からは遠くなった。

 だがダンダラも無事では無かったらしい。


 後退し足元を抑えている。

 見ればヒザに熊の爪痕。

 攻撃を受けながらも後ろ足蹴りでも切り返すジャグナーの戦闘スタイルだ。


「ちっ、やってくれるね」


 互いに傷を増やしつつ戦闘は続行される。

 何度も互いに当てて来たがこっちは回復するしドウは本当に体力が多く強靭。

 召喚獣増加分はなんとか削れたんだけれどね。


 ジャグナーがゆるく追尾してくる飛来斬撃をかいくぐりドウへ爪撃を飛ばす。

 ジャグナーの飛ばす爪撃は短く太く速い。

 ドウが金棒で薙ぎ払ってかち合いなんとか弾き落とす。


「おうら!」

「ん! 力比べ、か」


 そこにジャグナーが飛びつきドウは上段両手持ちで防ぐ。

 自然にそのまま力比べのように競り合う。

 私は地面に手を向け適当に掴んで花をちぎり駆けた。


「フン!」

「うぐぐぐぐ……!」


 少しずつジャグナーが押されている。

 同じ頃イタ吉はダンダラをふたたび取り囲み影と本体を入り混じって斬っていた。

 ダンダラは目を閉じて低く構える。


「……そこだ!」

「なっ!」


 影には気配が伴っている。

 だが確かに本体よりは薄い。

 そこを見抜いたらしい1撃。


 本物のイタ吉が尾を振るうとちょうどダンダラのひと振りが重なった。

 偶然ではなくしっかり当てたのだろう。

 武技の光が輝く。


 イタ吉の尾の刃から嫌な音が響きイタ吉ごと吹き飛ぶ。

 なんとか着地して身をズザーと滑り耐えた。

 しかし尾の刃にはヒビが入ってしまっているなあ。

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